米国の利上げ期待の高まりなどを背景に、ドル高の流れが強まっています。 9月のFOMCでの参加メンバーによる金利見通し(ドットプロット)で、16名中12名が年内の利上げを織り込む見通しを示し、市場でも利上げ期待が拡大。 今週行われたイエレン議長の講演では「緩やか過ぎる政策調整に当局は慎重になるべきだ」と、利上げを遅らせすぎることへの警戒感を示し、慎重な議長にしては珍しいほどはっきりと追加利上げに前向きな姿勢を示しています。 CMEが近位先物市場動向から割り出している各FOMCでの利上げ確率をみると、9月前半の時点では、12月のFOMCまでの利上げ確率は約3割程度と、据え置きが大勢でした。 その後、米消費者物価指数の強さを受けてFOMC前に約5割に上昇。FOMCを受けて7割前後に上昇まで高まり、イエレン議長の講演後には8割近い数字となっています。 このように12月までの米利上げ期待が相当に強まる中で、利上げ決定の鍵となるFRBの2つの命題「雇用の最大化」「インフレターゲット前後での物価の安定」への注目度も高まっています。 そうした中、来週金曜日は9月の雇用統計が発表されます。実は今回の雇用統計、予想が大きく割れており、相当難しい数字となりそうです。 その背景にあるのが、8月末から9月にかけて米国メキシコ湾岸を襲った一連のハリケーン。雇用統計の基準日である12日というと、ハリケーンイルマがようやく勢力を弱めたあたり、全米第4の都市ヒューストンでのハービーの影響もまだ残る中で、雇用者の数字にかなりのブレが出そうです。 専門家の予想を見ても、前月比マイナス圏から20万人超えまでと、かなりの幅が見られます。 前回の前月比15.6万人増自体がそれほど高い数字でもありませんが、今回は、それと比べても弱めの数字が全般に予想されており、中央値は7.5万人増となっています。上下に大きくブレる可能性も含め注意したいところです。 失業率は前回と同じ4.4%の見込み。 もう一つの注目材料物価動向との関連もあり注目度が高い平均時給は、前月比+0.3%、前年比+2.6%と前回の+0.1%、+2.5%から上昇見込み。雇用市場はそれなりに弱くても、これまでの堅調な推移がある分、ある程度の余裕がありますが、物価の鈍化傾向はかなり厳しい状況が続いているだけに、平均時給が予想通り上昇してくると利上げへの期待感が強まります。 みんかぶ「KlugFX」山岡和雅
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。