25日からの週は、ドル相場が反発。先週のタカ派的なFOMCに続いて、今週のイエレンFRB議長講演でも小幅で着実な利上げペースが示唆された。また、トランプ政権が税制改革案を発表するとしたことで、米債利回りが大幅に上昇したこともドル買い材料。発表後は、法人減税など一連の発表内容が事前報道どおりだったことで、週末にかけてやや調整も入っている。また、週明けにはドイツ総選挙やNZ総選挙で与党勢力が勝利したが、それぞれ議席を減らした。北朝鮮外相が米国の行動について宣戦布告に相当すると発言し緊張が高まった。ただ、週を通して株式市場が大崩れする場面はみられず、米債利回りを下支えした。日本では安倍首相が衆院解散を表明したが円相場に特段の混乱はみられなかった。 (25日) 東京市場で、ドル円は112円台前半で小動き。そのなかでNZドル売りが目立った。週末のNZ総選挙で与党国民党が第一党確保も過半数を確保できず、野党労働党が大きく議席を伸ばしたことが売りにつながった。一方、週末のドイツ総選挙では、与党連合が第一党を確保したものの、過半数には届かず。ユーロ売りの反応で始まったが、次第に下げ渋り。 ロンドン市場では、ユーロ安と円高の動き。ドイツと日本の政治不透明感が背景。週末のドイツ総選挙結果を受けて今後の連立政権交渉が難航しそうだとの見方が広がった。極右勢力の躍進が、スペイン・カタルニャ州の独立運動を活発化させるとの警戒も。ユーロドルは1.19台割れ、ユーロ円は133円割れ寸前に。ポンドはEU離脱交渉の難航が売りを誘った。そのなかでドル円は112円台前半から一時111円台に下落。安倍首相が会見で衆院解散に言及、日本にも政治不透明感が。 NY市場では、北朝鮮リスクが再燃。市場にリスク回避ムードが強まった。ドル円は一時111円台半ばと先週末安値を下回る動き。北朝鮮外相が「トランプ大統領の発言は宣戦布告に相当する」と述べた。ドル円とともにクロス円も下落。ユーロ円の131円台への下げとともにユーロドルは1.18台前半まで下落。ユーロドルはFOMC直後の安値を下回っており、10日線と21日線のデッドクロスも示現、テクニカル面での売りも警戒される動きとなった。 (26日) 東京市場で、ドル円は上値の重い値動き。北朝鮮リスクが背景。アジア株はほぼ全面安。リスク警戒感が広がった。ドル円は111円台半ばから後半の安値圏での取引が続いた。ユーロドルは安値から買戻しが入っていたが、海外勢の参加を前に再び軟調地合い。ドイツ連邦議会選挙の結果を嫌気した動きに加え、スペイン・カタルーニャでの住民投票への警戒感もユーロの重石に。 ロンドン市場では、ユーロ売りが強まった。引き続きドイツの連立政権をめぐる不透明感や、スペイン・カタルニャ州の10月1日の住民投票などへの警戒感が広がっている。また、来年2月にはギリシャの銀行にストレステストを実施するとの報道でギリシャ銀行株が急落しており、不安材料は多い。ユーロドルは1.17台に下落、ユーロ円は132円割れ。ポンドや豪ドルにも売りが波及。一方、ドル円は111.50近辺でサポートされ112円手前へと下げ渋り。 NY市場では、ドル買いが優勢。イエレンFRB議長のタカ派姿勢が背景。「FOMCはゆっくりし過ぎないよう注意すべき。時間をかけた小幅利上げなければ景気過熱のリスク」などと引締めに前向きな見解だった。ドル円は112円台を回復。ユーロドルは1.1760近辺まで下落、、21日線から完全に下放れる展開が見られており、テクニカル的にも下値不安が強まっている。カナダドルは上昇。カナダのモルノー財務相が「現在の経済からすれば追加利上げが予想される」と述べたことに反応した。 (27日) 東京市場は、小動き。ドル円は112円台前半での推移と、前日NY市場でイエレン議長が利上げに前向きな姿勢を示したことで買われた後の高値水準を維持。 NZドルは対ドルで0.72台での揉み合い。明日のNZ中銀金融政策理事会を前に様子見ムード。ユーロは1.17台後半のユーロ安圏で小動き。1.18を回復する勢いには欠けた。 ロンドン市場では、ドル買いが優勢。前日のイエレンFRB議長の発言がタカ派的ととらえられたことや、きょうの米税制改革についてのトランプ演説への期待感などがドル高の背景。米債利回りが上昇している。ドル円は112円台半ばから113円台をつける動き。ポンドドル1.34台割れ、ユーロドル1.17台前半などへと下落。ただ、ポンドは英小売指数が大幅改善したことで取引中盤には買い戻しが入る場面も。 NY市場は、ドル買いが一服。期末を控えていることや、本日のトランプ大統領の税制改革案の発表を控えて調整も出ているもよう。ドル円はNY朝方に7月14日以来の113円台に上昇。米耐久財受注が予想を上回ったことも好材料。しかし、上昇して始まった米株の上値が重く、ドル円は一時112.50割れまで戻り売りに。ユーロドルは1.17台前半から1.1770近辺まで反発。カナダドルは下落。カナダ中銀総裁は「経済は力強いが、賃金の伸びは予想よりも鈍い。金利に予め決まった道筋はない」としており、カナダ円は90円台半ばへ下落。 (28日) 東京市場は、ドル買いが再燃。トランプ政権の税制改革の大枠発表を好感して、ドルはほぼ全面高となった。ドル円は112円台後半から113円台乗せへ。ユーロドルは1.17台半ばから1.1720近辺へ下押し。米10年債利回りは2.35%に上昇。NZドルは軟調。NZ中銀は政策金利据え置きを発表、当面の緩和姿勢維持を示唆した。対ドルで0.72台割れ。 ロンドン市場は、ドル買いに調整売りが入った。ドル円は113円はさみの取引から取引中盤には112.50台まで下げた。ユーロドルは1.17台前半に下押しされたあとは買い戻され、1.1785近辺に高値を伸ばした。ユーロ圏景況感の上振れが好材料だった。ポンドドルは神経質な振幅をへて、1.34台乗せへと上昇。カーニー英中銀総裁から利上げに関する発言が出なかったことで売られる場面があった、EU離脱交渉で一部進展がみられたことが買いを誘ったもよう。 NY市場は、ドル買い一服。この日は特にドル売り材料はみられなかったが、ロンドン市場の流れを受けて戻り売りが優勢。ドル円は112.50水準を割り込み、終盤には112.20台まで下押し。ユーロドルは序盤に1.18台をつけた。その後は1.1780-90で膠着している。市場では期末に向けた実需のドル売り観測がでていた。前日発表の米税制改革案については、今後の議会での動きにヘルスケア法案と同様の不透明感があるとの観測も。 (29日) 東京市場は、ドル買いが優勢。ドル円は早朝からジリ高となり午後には112.60台まで上昇。 昨日の海外市場で1.18台を一時付けたユーロドルが1.17台後半で頭を抑えられるなど、ドルは底堅かった。日経平均は小安く引けたが、午前の下げ幅を大方は解消しており、売り圧力は限定的だった。月末・期末を控えて取引は手控えられ気味。 ロンドン市場は、ドル買いが一服。米債利回りの低下に反応して、ドル円は一時112.50割れとなった。欧州通貨取引が活発。朝方からユーロ買い・ポンド売りが持ち込まれた。その後発表された英GDP確報値が下方修正、ドイツ失業統計は予想外の強い結果となり、ユーロドルは一時1.18台乗せ、ポンドドルは1.33台半ばへと下押し。カーニー英中銀総裁は、金利は今後数ヶ月で上昇するだろうと繰り返す一方で、消費者信用とEU離脱がリスク材料と指摘していた。総じて大きな流れは出ず、月末・期末でフロー主導の展開。 NY市場は、次期FRB議長めぐる報道で上下動した。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、トランプ大統領とムニューシン米財務長官がきのう、ウォーシュ元FRB理事と面談したと伝えたことをきっかけにドルは買い戻しが強まった。来年2月初めに任期切れを向かえるイエレンFRB議長の後任探しが本格化しつつあるが、その候補としてウォーシュ氏に潜在的な能力があるか協議したという。一方、舌も乾かぬうちにブルームバーグが関係者の話として、トランプ大統領は他のFRB議長候補とも面談したとし、FRB議長レースの結果はまだ見えないと伝えた。この報道で今度はドル売りが強まっている。ただ、全体的に方向感を強める動きまでは無く、レンジ内で上下動した程度ではあった。トランプ大統領は向こう2、3週間の間に決めたいと記者団に語っている。ドル円は112.20から112.75の間で上下動。
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