ここにきて、ドル売りの流れが強まる中、米景気動向、特に利上げ見通しに影響が出る材料への市場の反応がやや神経質になっています。 先週もFOMC声明のある意味微妙な変化がドル売りを誘う場面が見られました。 そうした中、来週から8月のスタートということもあり、月一のビッグイベントでもある米雇用統計(7月)の発表が4日金曜日に予定されています。 前回6月分の雇用統計は注目度の高い非農業部門雇用者数が+22.2万人の好結果を記録しました。 市場の事前予想は18万人前後でしたので、かなりの高水準。節目である20万人の大台も超え、市場に米労働市場の堅調さを印象付けました。 また、4月分が3.3万人、5月分が1.4万人の上方修正。とくに5月分の数字は、速報値が弱めだっただけに、上方修正が安心感を与えました(修正後でも15.2万人と少し弱いですが)。 失業率は0.1ポイント悪化の4.4%に。ただし、こちらは5月分の数字が、16年ぶりの低水準というかなりの好結果となったことの反動。 労働参加率が0.1ポイント改善(62.7%→62.8%)しており、その分もあって、あまり問題視されませんでした。 (一般的に労働参加率が上がると失業率が悪化します) そうした中で、市場の警戒感を誘ったのが平均時給の伸びの鈍さです。 平均時給は前月比、前年比ともに予想を下回りました。さらに、5月分の数字がともに下方修正されるというかなり弱めの結果に。 インフレ鈍化懸念がもともとある中で、賃金の伸びが鈍いということで、警戒感が強まりました。 その後のブレイナードFRB理事やイエレンFRB議長によるインフレ鈍化関連の発言を受けた懸念などにもつながって、ドル売りを誘う要因となっています。 こうした状況を受けての来週金曜日の雇用統計です。 非農業部門雇用者数の予想は前月比+18.3万人。20万人の大台は割り込みますが、まずまずといったところでしょう。 失業率は16年ぶりの低水準であった5月に並ぶ4.3%へ改善の見込み。 注目される平均時給は前月比が+0.3%と前回から改善も、前年比が+2.4%と前回を下回る伸びの見込みです。 全体を通して予想通りだとすると、まずまずという印象です。 9月のバランスシート調整については期待が広がりそう。12月の利上げについては可能性が意識されるものの、決め手に欠けるという現状の市場の見通しに、大きな変化はなさそうです。 みんかぶ「KlugFX」山岡和雅
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