今週のまとめ7日17日から7月21日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 17日からの週は、ドル安の流れが続くなかで、各国の金融政策スタンスの差が浮き彫りになった。ドル安は先週末の米消費者物価指数および小売売上高が弱かったことが引き続き背景。加えて、オバマケア代替法案の断念やロシアゲート疑惑などで米トランプ政権への信認が後退したこともドル相場を圧迫した。

 個別通貨では、ユーロや豪ドルが堅調。円は中立、ポンドは軟調だった。ユーロにとってはECB理事会が注目材料。金融政策は予想通り据え置きとなり、ドラギ総裁会見に関心が集まった。全般に慎重姿勢が堅持されたものの、秋には決定を下すとの発言に市場での出口戦略に向けた思惑が広がった。ユーロドルは1.16台へと上昇。豪ドルは豪中銀議事録での成長に前向きな見方を好感、鉄鉱石や原油相場の堅調さも下支えとなった。円相場は112円台から111円台へとジリ安。日銀決定会合では物価目標の達成時期を2019年度ごろへと先送りされた。緩和姿勢継続でドル円の売り圧力は緩和されている。ポンドドルは1.29台へと逆行安。EU離脱をめぐる政治不透明感があったほか、英経済統計が強弱まちまちで神経質な反応を呼んでいた。


(17日)
 東京市場は、海の日の祝日で休場。

 ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ドル円は112円台後半が重く、112.40近辺まで下押し。ユーロドルは1.1435レベルまで売られたあとは1.1460台へと反発。先週末に発表された米消費者物価指数と小売売上高が予想を下回ったことでドルが売られたが、週明けもその圧力が残っている。この日発表された6月ユーロ圏消費者物価指数・確報値は予想通りの結果で、目立った反応はみられず。豪ドルは先週末からの高値圏での揉み合い。対ドルは0.78台前半、対円は88円付近。アジア時間に発表された一連の中国経済統計はGDP+6.9%など良好な結果だった。

 NY市場は、全体的にドル売りの動き。ドル円は一時112.35近辺まで下押し。ただ、その後は112.85近辺まで買い戻された。日銀の緩和姿勢維持への思惑との見方があった。ユーロドルは堅調。1.14台前半から1.1485近辺まで上昇。ショートカバーを誘発。今週のECB理事会で出口戦略に向けて声明を一歩前進させてくるとの思惑もあったもよう。その他では、ビットコインの急落が話題となっていた。ソフトウエアについて競合する2種類の更新版の採用が検討されているという。
 
(18日)
 東京市場は、ドルが全面安。ドル円は一時112円割れ。ユーロドルは節目の1.15台に乗せている。豪ドル/ドルの上昇が目立っており、0.77台から0.79台乗せまで買われた。豪中銀議事録で経済成長見通しに明るさが示されたことに反応。NZドル/ドルは、朝方発表されたCPIが弱く0.72台後半まで売られたが、その後はドル安圧力に0.73台半ばへと買い戻されている。

 ロンドン市場では、総じてドル売りが優勢。ドル円は一時111.99レベルまで下落したあとは、112円台前半での揉み合い。ユーロドルは1.1564レベルに高値を伸ばしている。東京市場での1.15台乗せから一段高となった。一方、ポンドドルは序盤に1.3126レベルまで買われたあとは、一連の英物価指標が予想ほど伸びなかったことで1.3015近辺まで反落。ポンド円は147円台から145円台へ下落。豪ドルは対ドルで0.79台乗せ、対円でも一時89円台乗せと堅調。

 NY市場で、ドル円は111円台に下落。111.70近辺まで安値を広げた。米ダウ平均の下落、米債利回り低下などリスク回避のムードも。米ヘルスケア法案について米上院共和党内でまとまることができなかったことが不安材料となった面も。ユーロドルは1.15台後半まで一時上昇した。ユーロ買いについてはECB理事会を控えた思惑や、その他主要通貨が軟調なことが買いの受け皿となった面も。

(19日)
 東京市場は、ドル安進行は一服も戻りは鈍かった。ドル円は111.88レベルまで下押しされたあと112円台前半へと買い戻し。ユーロドルは前日NY午後からの軟調な動きが継続、1.15台前半での取引。一方、豪ドル/ドルは0.79台前半と前日からの高値圏を維持。

 ロンドン市場は、ユーロの上値が重かった。ユーロドルは1.1550レベルが重く1.1515レベルまで下押し。ユーロ円は129円台半ばから一時129.00レベルまで下落。あすのECB理事会を控えて、これまでのユーロ買いに調整が入る格好。ポンドは小動き。ドル円は112円を挟んだ揉み合い。NY市場での米住宅指標発表を控えて様子見ムードに。

 NY市場では、ドル円が一段安。一時111.55近辺まで下落。米国債利回りの低下に反応。ただ、その後は111.90近辺まで下げ渋り。あすの日銀金融政策決定会合で緩和姿勢の維持が見込まれており、ECBなどとの姿勢の差が円売り材料とみられた。ユーロドルはロンドン市場から引き続き上値が重かった。ポンドも軟調。対円では一時145円台前半まで下落。あすの英小売指標発表を控えており、弱めの数字への警戒感があったもよう。

(20日)
 東京市場は、日銀決定会合結果を受けてやや円安。物価目標達成時期を2019年度ごろへ先送り。黒田日銀総裁の任期内に目標に達成出来ないとの見通しに市場は反応した。ドル円は111円台から112.10近辺まで上昇。豪ドルは雇用統計が強かったことで買われたが、すぐに値を戻した。ユーロは対ドルで頭が重い。1.15台前半でジリ安。

 ロンドン市場では、ECB理事会の結果待ちの中ややドル買いが優勢。ポンドドルは1.30台前半から1.30台割れへ。英貿易担当相が、EU離脱交渉がなくても生き残れると発言したことが材料視されていた。英小売売上高は予想外の上振れとなったが、ポンド買いは一時的。ユーロドルは一時1.15台割れもすぐに1.15台に戻している。ドル円は112円付近から一時112.42レベルまで上昇。黒田日銀総裁会見では、緩和姿勢の維持が示された。

 NY市場では、ドル売り・ユーロ買いが優勢。ECB理事会やドラギ総裁会見を通過してユーロ買いが強まった。秋にも決定を下すとの発言が、市場に出口戦略への思惑を広げた。ただ、全般的には慎重な現状維持との声もあった。加えて、トランプ大統領のロシア疑惑に関する報道がドル売りを加速させた。昨年の米大統領選挙におけるトランプ氏陣営とロシアとのつながりを捜査しているモラー特別検察官が、捜査の対象をトランプ氏や関係者のビジネスに関わる様々な取引についてまで拡大している、と報じられた。ユーロドルは1.16台乗せから1.1650近辺まで上伸。ドル円は111.50近辺まで下落。

(21日)
 東京市場では、オセアニア通貨に動意がみられた。NZドルは、買いが広がった。財務相が現状のNZドル高について現水準を容認する姿勢を示したことが背景。一方、豪ドルは急落。豪中銀副総裁が議事録で示された中立金利議論について、特別な意味を読み取るべきではない、他の中銀が金利を上げたからと言って自動的に上げるものではないと発言。豪ドル/NZドルは一気に100ポイント以上値を落とした。ドル円は112円ちょうど近辺、ユーロドルは1.16台前半で揉み合い。

 ロンドン市場は、ドル売りが継続。ユーロドルは1.1677レベルと2015年8月以来の高値水準をつけた。その後は1.16台での揉み合い。ポンドドルは1.30台乗せから1.3020近辺へ上昇。ドル円は111円台後半からジリ安となり、取引中盤には111.50割れに。米債利回りの小幅低下に素直に反応している。この時間帯は目立った取引材料に欠けており、前日のドル安圧力が残る格好となっている。市場では米政治情勢の不透明感を指摘する声もでていた。

 NY市場はドル売りが強まった。ドル円はNY時間に入って一本調子の下げを見せ、111円割れ寸前まで下落した。前日は200日線の水準が維持されていたが、112円台が重かったことでロング勢もモメンタムを失っているようだ。本日は米国債利回りも原油も米株も軟化したことからドル円も見切売りが強まった模様。 

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