為替相場まとめ7月7日から7月11日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 7日からの週は、トランプ米大統領の関税政策を巡る発言やを中心にドル高や円安が優勢だった。週前半は米関税強化への警戒感からリスク回避の円買いが一時進んだが、BRICS協調国への追加関税方針や日本・韓国への関税発動延期などを受けて、ドル買い・円売りが優勢となった。先週末の米雇用統計が強かったことがドル買い圧力となったことの影響もあったもよう。ドル円は144円台前半から週後半には147円台を試す場面も見られた。ユーロドルやポンドドルはドル高圧力で下落し、1.17台前半や1.35台まで水準を切り下げた。クロス円は全体的に円売り優勢で推移し、ユーロ円や豪ドル円も高値圏を維持。参院選を控えた財政拡張政策への思惑で本邦超長期債売り(利回り上昇)となり、日本売り的な円安につながる面も指摘された。米FOMC議事録や中銀政策の影響もあり、週末にかけては調整も入ったが、全体としてはドル高・円安の流れが鮮明な週だった。

(7日)
 東京市場では、ドル買いが優勢。ドル円は、午前に一時144.23付近まで弱含んだ。米関税政策への警戒感などからリスク回避の動きでやや円が買われた。トランプ米大統領が関税に関する手紙を最大15カ国に送ると発表し、日米貿易合意の不透明感が重石となった。しかし、午後は一転してドル高に振れ、一時145.16付近まで上昇。トランプ米大統領が新興国グループのBRICSに協調する国に対して、10%の追加関税を課す方針を示したことから、新興国通貨安・ドル高となった。これを受けてユーロドルは午後に一時1.1750付近まで、ポンドドルは1.3604付近、豪ドル/ドルは0.6500付近まで水準を切り下げた。クロス円はまちまち。ユーロ円は170.73付近まで上昇した一方、豪ドル円は94.25付近まで一時下落した。

 ロンドン市場は、ドル買いが継続。東京市場で、トランプ米大統領が「BRICSに協調する国は10%の追加関税に直面、この方針に例外はない」と反米政策をけん制したことが背景。BRICS通貨などが売られ、ドルが買われている。この動きが主要通貨にもドル買い圧力となって広がっている。ドル円は東京午前の144円台前半から買われ続けており、ロンドン市場では145.50台へと高値を伸ばしている。ユーロドルは1.1790付近から1.1720付近へ、ポンドドルは1..3660付近から1.3575付近へと下押しされている。円相場にとっては東京午後に本邦超長期債売り・利回り上昇となったことが円売り圧力となる面も加わった。ユーロ円は170円台後半、ポンド円は198円近くへと高値を伸ばしている。トランプ関税への警戒感があることで、米株先物・時間外取引は上値重く推移も、欧州株は比較的堅調。EUは米国との貿易交渉で進展があったと表明している。

 NY市場では、ドル円の上昇が継続。一本調子の上げを演じ、146円台に上昇した。トランプ大統領が本日、8月1日から日本からの輸入品に25%の関税を課すと投稿したことで円安の動きが加速。ドル円は146円台に上昇し、一時146.25円付近まで上昇。100日線に顔合わせした。本日の為替市場はドル高が優勢となったこともドル円をサポート。先週の米雇用統計が予想外の強さだったことでドルの見直し買いが続いた面が指摘される。ユーロドルは1.17ドル台前半まで値を落とす展開。ユーロ圏の財政刺激策拡大が成長を押し上げるとの楽観的な見方が、ドル高が進む中でも、ユーロの下げを抑制しているとの見方があった。ポンドドルは1.36台前半で上下動し、方向感のない展開が継続。21日線を下回る場面も見られたものの、その水準は維持され、上向きトレンドは持続。ただ、労働党政権が福祉改革案を撤回したことによる影響が続いており、それがポンドの重石となっているとの指摘があった。

(8日)
 東京市場では、ドル安と円安の動き。トランプ大統領が日本や韓国などに8月1日から25%の追加関税を課すと発表、発動日が延期されたことでドル売りが強まり、ユーロドルは1.1750付近まで上昇した。一方、ドル円は日本経済の鈍化懸念や与党の参議院選での苦戦、国債発行による信用不安などから円売りが進み、146.45前後まで上昇。その後は反落し145.80台まで下落したが、再び146円台を回復している。ユーロ円は円売りとユーロ買いの両面を受けて171.80台まで上昇。豪中銀が予想に反して政策金利を据え置いたことで、豪ドルは対ドル・対円ともに急騰し、その後も高値圏で推移した。

 ロンドン市場は、トランプ関税を受けたドル売りが一巡している。ロンドン序盤は東京市場の流れを受けて、ドル円は再び146円台割れへと軟化、ユーロドルは1.17台後半へ、ポンドドルは1.36台半ばへと上昇した。しかし、ドル安は続かず、足元ではドル買い方向に押し戻されている。ドル円は146台前半へ再び上昇。ユーロドルは1.17台前半へ反落。ポンドドルは1.35台後半へと本日の安値を広げている。ロンドン時間にはユーロ買い・ポンド売りのフローが再び持ち込まれている。クロス円は総じて円安水準で取引されており、ユーロ円は171円台後半、豪ドル円は95円台後半での推移。豪ドル円は豪中銀の予想外の政策金利据え置きの影響が残り、堅調に推移している。一方で、ポンド円は対ユーロでの売り圧力の影響で、199円台半ばから198円台後半へと下押しされている。

 NY市場では、ドル円が147円台を試す動き。、序盤はドル高が優勢となったほか、トランプ関税の発表を受けた円安も続き、ドル円は147円台を試す動き見られた。ただ、後半になると動きは一服、円台半ばに伸び悩んだ。ユーロドルは戻り売りが続き、一時1.17を割り込む場面も見られた。ただ、1.17台を割り込むと押し目買いも入るようで、大台は維持されている。EUと米国の通商交渉は続いているが、近く合意への期待感がユーロを下支えしている。ポンドドルは戻り売りに押され、一時1.35台前半まで下落、21日線を一時下回っていた。しかし、後半にはその水準付近まで戻している。ドルが反発する一方、英財政不安の強まりもポンドの重石となっているもよう。英国では労働党政権が、党内議員からの反発を受けて福祉改革案に大幅な譲歩を余儀なくされた。

(9日)
 東京市場では、円売りが継続、ドル円は6月23日以来の高値水準となった。米早期利下げ期待の後退やトランプ関税を受けた円売り、日本経済への懸念などがドル円を押し上げている。午後には147.18近辺に高値を伸ばした。ただし過熱感もあり、ロンドン市場前には146円台へと調整されている。クロス円も堅調で、ユーロ円は172.28近辺まで上昇し、その後も高値圏を維持。ユーロドルは一時1.1702近辺まで下落したが、その後は反発し底堅かった。NZ中銀は予想通り政策金利を据え置き、発表後は一時NZドル買いも見られたが、すぐに売りに転じた。豪中銀も前日の据え置き後、豪中銀副総裁発言で一時売られたが下げ分は戻している。

 ロンドン市場は、円安に調整の動きが入っている。東京市場で広がった円安の動きは一服しており、ドル円は147円台割れから146円台半ばへと反落。ユーロ円は172円台割れから171円台半ばへ、ポンド円は200円手前水準から199円付近へと軟化している。この日は対ポンドでもユーロが軟調に推移しており、ユーロ相場の上値も重い。ユーロドルは1.17台前半での揉み合い。ポンドドルも1.35台後半から1.36台乗せ水準での小幅振幅。欧州株は堅調に推移している。欧州ではEUと米国との貿易交渉で合意に向けた動きが進展することが期待されているもよう。米10年債利回りは4.40%近辺と前日NY終値を挟んだ推移。この時間帯は関税関連の新規材料はみられず、主要な経済指標発表もなし。手掛かり難となっている。

 NY市場では、ドル円が一時146円台前半まで下落した。ただ、100日移動平均線上を維持し、底堅さも意識された。午後発表の6月FOMC議事録では、関税による物価上昇リスクが指摘され、追加利下げへの慎重姿勢が示された。一方で、景気減速や労働市場の緩やかな悪化を受けた9月利下げの可能性も議論された。この内容を受けてややドル安となったが、市場は関税ニュースに敏感に反応し、買い戻しも続いた。ユーロドルは1.17台前半で方向感のない展開が続き、一時1.16ドル台に下落する場面もすぐに戻した。ポンドドルは1.36付近で小動き。英経済指標の悪化や財政混乱などを背景に、英中銀の早期利下げ観測が強まっており、ポンドの先行きは不透明感が増しているようだ。

(10日)
 東京市場で、ドル円は下に往って来い。前日のドル安・円高傾向を引き継ぎ、午前中に145.76付近まで下落したが、米10年債利回りの上昇を受けて反発し、一時146.41円まで上昇した。その後は146.20円台を中心に小動きとなった。ユーロドルは朝方に1.1750付近まで上昇したが、上値が重く1.1730台まで押し戻された。ユーロ円も午前に171.18円付近まで円高が進んだ後、午後には171.76円付近まで上昇し、全体的にドル円・ユーロ円ともに下落後の反発が目立つ展開だった。

 ロンドン市場は、前日終値付近に戻す動き。東京午前にはドル売りが広がったが、その後は一服。ロンドン序盤にはドルの反発も一巡。欧州・ロンドン時間には特段の新規材料に欠けるなか、ポジション調整の動きに終始している印象だ。ドル円は146円台前半での揉み合い、ユーロドルは1.17台前半で上値重く推移。ポンドドルは1.36をやや下回る動き。クロス円はまちまち。ユーロ円は171円台前半、ポンド円は198円台後半と前日比でやや円高水準。豪ドル円は96円付近へと上昇しており、円安の動きが継続。トランプ米大統領が8月1日の関税発効についてさらなる延長を否定、ブラジルに対しては50%関税賦課を表明している。しかし、市場ではTACO取引との観測が根強く、目立った警戒反応は示していない。
 
 NY市場では、ドル高が優勢となるなか、ドル円は振幅。ドル円は一時146円台後半まで買い戻されたものの、終盤に伸び悩んだ。ウォラーFRB理事が7月利下げの可能性に再言及していたことがドルを圧迫していた。関税については、トランプ大統領からの発表が続いているが、関税が貿易相手に広範囲に適用されれば、他国以上に米国への影響が大きいと見られている。関税政策のほか、FRBの独立性を巡る不確実性、財政不安、米国資産からの分散などが、ドル安要因として挙げられ、中長期的なドル安を見込む声は多い。しかし、関税とインフレ期待、目先のFRBの動向から考えれば、短期的にはドル高との見解も少なくない。そのような中、アナリストからは、方向感のない展開がしばらく続く可能性があるとの指摘も出ている。ユーロドルは1.16台に下落。ポンドドルも序盤は戻り売りが優勢となり、一時1.3535ドル付近まで下落。
 
(11日)
 東京市場は、ドル買いが優勢。ドル円は朝方には146.14近辺まで下落する場面があったが、トランプ米大統領がほとんどの国に15~20%の包括関税を課す方針を示したことで、米国の物価上昇懸念や利下げ先送り観測が強まり、再びドル買いが進行。午後には午後には一時147.18近辺まで上昇した。その後の調整は146.80付近までにとどまっている。ユーロドルは1.17台を回復して始まったが、関税発言で再びドル高となり1.1665ドルまで下落。その後は1.1680ドル付近での揉み合いとなった。ユーロ円はドル主導の展開となるなかでやや不安定な動き。午前に一時170.81近辺まで下落後、午後には171.77近辺まで反発した。

 ロンドン市場は、ドル高が一服。東京午前にトランプ米大統領が「カナダに8月1日から35%関税を課す」「ほとんどの国に一律15%-20%の関税を課す」と発言したことがドル買いの動きを広げた。特にドル/カナダドルでのドル買いが急速だった。これを受けてドル円は147円台乗せ、ユーロドルは1.16台後半へ、ポンドドルは1.35台半ばへと下落した。ロンドン朝方には5月の英月次GDPが発表され、予想外のマイナス成長となった。これを受けてポンド売りが広がった。足元ではポンドドルは1.35台前半に一段と下押しされている。対ユーロでもポンド売りが強まっている。ポンド主導の展開となるなかで、ドル円は146円台後半、ユーロドルは1.17手前水準と東京午前のドル高の動きは一服している。クロス円はまちまち。ユーロ円が172円手前へと買われる一方で、ポンド円は199円台割れから198円台半ばへと反落している。ECB高官からは利下げに関する見方が分かれた。シュナーベル理事は追加利下げのハードルは極めて高いとした。一方、パネッタ伊中銀総裁はデフレ圧力が強まる場合には金融緩和継続が必要とした。

 NY市場でドル円は147円台半ばまで上げ幅を拡大した。本日145円台後半に来ている100日線できっちりとサポートされており、反転の兆しを強めている。6月高値の148円ちょうど付近が次の上値抵抗として意識され、これを上抜ければ200日線に向けた上昇余地が広がる。 むしろ、円安の方が目立っていた印象もあった。円は主要通貨の中で対ドルで最も弱い通貨となっている。参院選で自公の苦戦が伝えられており、政治情勢の流動化を嫌っている模様。外貨準備が第1四半期に、過去に例のない規模で円からスイスフランへシフトしているとのIMFのレポートも出ていた。

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