日本を除く先進国が金融緩和からの出口へ向かう中 注目を集めた先週のイエレン議長による半期議会証言では 市場の期待に反して議長は慎重な姿勢を維持してきました。 年内の追加利上げ期待がやや後退したということでドル売りが進む格好に。 とはいえ、米国は昨年12月の利上げ開始からすでに3回の利上げを実施。 ペースはともかく利上げモードに入っており、 9月にはバランスシートの縮小開始も期待される状況です。 その他の国を見ると カナダが先週7年ぶりの利上げを実施。 声明では景気見通しの上方修正などもあり、今後の利上げモード継続が期待されています。 緩和姿勢が目立っていた欧州も、 先月のECBフォーラムでドラギECB総裁、カーニー英中銀総裁が ともに比較的前向きな姿勢を示しており、今後に期待が高まる状況。 一方、日銀は6日に2月以来3度目となる指値オペを実施。 金利上昇を許さないという姿勢をアピールしており、対照的な状況です。 利上げムードが広がる日本以外の主要国と、緩和維持の日本という構図が出来つつある中 今週はECBと日銀の金融政策発表が予定されています。 19日、20日に行われる日銀金融政策決定会合。 こちらでは政策金利の現状維持が確定的。 注目は経済・物価情勢の展望(いわゆる展望レポート)となりそうです。 年に8回開催される日銀金融政策決定会合のうち、半分の4回で発表される展望レポート。 今回、特に注目されているのは物価上昇率の見通しです。 世界的に物価の鈍化傾向が目立つ中、直近5月のコアCPIは、 日銀の想定よりもかなり低い前年比+0.4%にとどまっています。 もちろんまだ期間はありますが、この状況でこれまでの見通し 2017年度に前年度比+1.4%、2018年度に前年度比+1.7%を実現することは かなり非現実的に近いといえます。 また、この流れを踏まえ、18年度ごろとなっている 2%の物価上昇率目標の達成時期についても 現実的な達成がかなり厳しいという印象です。 こうした状況を踏まえ、 今回の展望レポートで17年度の物価見通しをおそらく1.0%前後に引き下げてくると思われます。 18年度もある程度は引き下げを実施、 物価目標の先送りをどうするかの議論といったところでしょうか。 物価目標については本来は先送りにするべきでしょうが 期待インフレ率の低下にもつながりかねず、 悪影響も考えられることからかなり厳しい判断となりそうです。 目標達成時期の先送りや、物価見通しの想定以上の引き下げが見られると 円売りの動きが広がりそうです。 みんかぶ「KlugFX」山岡和雅
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。