19日からの週は、相場の方向性が明確ではなかった。原油相場の下落が最も目立つ動きとなっており、その影響がリスク回避圧力として波及した。株式市場の調整を受けて米債利回りがやや低下する一方で、ドル円以外の各主要通貨ではドル高の動きが優勢。クロス円の下押しに各通貨が上値を抑えられる図式となっている。ドル円はドル高と円高のせめぎ合いとなって、111円台からは離れにくい相場が続いている。週初はダドリーNY連銀総裁が今後の利上げに前向きな発言を行ったことでドル円にもドル買いの動きが勢い付いたが、その後は原油安と株安の動きに上値が抑えられている。また、年内の米利上げについてはインフレ上昇見通しの鈍化の影響もみられている。CMEフェドウォッチによると今年12月会合での利上げ確率は5割をやや下回る程度。ポンドは金融当局者発言に神経質に振幅。カーニー英中銀総裁は早期の利上げを否定する一方で、ホールデン委員は年後半には刺激策の一部解除望ましいと延べ、ポンド相場は日替わりで方向が変化した。 (19日) 東京市場で、ドル円は111円挟みの展開。前週末のNY市場では利益確定売りなどで一時111円台を割り込んだ。週明け早朝の取引では、やや頭の重い状況がみられたが、すぐに111円台を回復。日経平均が2万円台を回復、株高の動きがドル円やクロス円の買い戻しを誘った格好。ただ、ドル円の高値は111.14レベルまでと値幅は限定的。ユーロドルは1.12挟み。ロウ豪中銀総裁が景気動向に前向きな発言を行った豪ドルも、それほど目立った動意なく0.76台前半での推移。 ロンドン市場は、小動き。この日は主要な英欧経済統計の発表がなく、手掛かり難。週明けの欧州株が堅調に推移、NY原油先物が反発するなどリスク動向は安定しており、為替市場ではやや円売りが先行。ただ、円安の動きは限定的。このあとのNY市場ではダドリーNY連銀総裁の講演が予定されており、その内容を見極めたいとのムードも。ドル円は111円近辺での揉み合い。格付け会社ムーディーズは豪州の大手4銀行の格付けをAa2からAa3に引き下げると発表、豪ドルは一時下落。しかし、株高などに支えられてすぐに下げを消した。 NY市場は、ドル買いが優勢。米株式市場で、ダウ平均は最高値を更新。米債利回りが上昇し、ドル円をサポートした。一時111.60近辺まで上昇。ダドリーNY連銀総裁の発言が伝わっており、インフレへ鈍化の懸念は指摘していたものの、景気拡大はまだ長く続くと確信していると述べていた。市場では利上げに前向きな姿勢と捉えていた。ユーロドルは1.12ドルを再び割り込んだ。一時1.1150近辺まで下落。ポンドドルは1.27台前半まで下落。デービス英EU離脱担当相は、英国はEUの単一市場と関税同盟から離脱し、自由貿易協定の締結を要請すると述べていた。 (20日) 東京市場は、ドル買いが優勢。前日のNY市場で報じられたダドリーNY連銀総裁による利上げに前向きな発言の影響が残り、ドル円は朝方に111.78近辺まで上昇。ハト派で知られるエバンス・シカゴ連銀総裁の講演が朝方報じられ、同氏にしては比較的前向きな姿勢を示したことも、ドル買いに寄与。日経平均の上げ幅が200円超となるなどドル円の買い材料が多かった。しかし、112円台乗せには至らず、111円台半ばへと買い一服。 ロンドン市場では、ポンドが急落した。カーニー英中銀総裁のマンションハウス演説での発言が背景。「インフレ圧力は抑制、利上げするときではない」とした。市場では早期利上げ観測が後退しており、英債利回りが低下、ポンド売りが強まった。ポンド円は142円台を割り込み141円台前半へと急落。先週の英MPC後の上昇を消した。その他主要通貨は比較的小動き。ドル円は11.79レベルまで買われたあと、再び111.50割れ水準まで反落。総じて円売りは一服している。 NY市場は、総じてドル買いが優勢だが、ドル円は上値が重かった。ムニューシン米財務長官がドル高が輸出には不利な面も、と述べたことでドル円は111.30近辺まで下落。ただ、111円台は堅持している。一方、ユーロドルは1.11台前半に下落。特段のユーロ売り材料は見られなかったがロンドンフィキシングにかけて見切り売りが出たもよう。ユーロ円も123円台まで一時下落。ポンド円は引き続き軟調で、一時140円台半ばまで下落。カーニー総裁発言が尾を引いた。 (21日) 東京市場は、リスク回避ムードでドル円の上値が重かった。東京を含めてアジア株式市場が軟調地合いとなると、ドル円は111.20近辺まで一時下落。前日の上昇局面で111.80レベルでの売りの上昇を阻まれたことで短期筋がドル買いポジションを整理した面も。ただ、午後に日経平均が100円超安となってもドル円は111円台はしっかりと維持。ポンドは小動き。対円ではドル円とともに軟調も、対ドルでは揉み合いが続いた。 ロンドン市場では、ポンドが急反発。ホールデン英金融政策(MPC)委員が、年後半には刺激策の一部解除望ましい、と述べたことが背景。ポンドドルは1.26台前半から1.07台乗せへ、ポンド円も140円台から141.38近辺まで急伸。その他主要通貨は円買いが先行。欧州株の軟調な動きが重石。ドル円は111.07レベルまで下落。ユーロ円は123円台後半へと下押しも、その後は124円台乗せへと反発。 NY市場は、後半になってドル売りが優勢になった。米中古住宅販売件数は予想を上回る内容となりドル円も買いの反応を見せたが、一時的な動きに留まっている。市場の関心は原油に向かった。米週間在庫統計では在庫の取り崩しとなったが、原油相場の買いは一時的。その後売りが続いたことで、株安や米国債利回りの低下を招いた。ドル円は111円台後半から再び111円台前半へと下落。ユーロドルは1.1165近辺まで上昇。 (22日) 東京市場で、ドル円は軟調。前日の海外市場からの原油安、それに誘発された米債利回り低下や米株安などがリスク回避の円買い圧力となっている。ドル円は東京市場で一時111円割れまで下押し。資源国通貨売り・円買いの動きもみられた。 ロンドン市場では、円買いの動きは落ち着いた。総じて静かな取引。欧州株は売り先行で取引を開始したが、次第に下げ幅を縮小。独DAX指数は一時プラスに転じる場面があった。NY原油先物は42ドル台半ばから後半へとやや下げ渋り。ドル円は111円挟みでの取引から111.30近辺まで小反発。クロス円もやや円安方向に。英DUPの議員が29日までに保守党と閣外協力で合意する可能性高いと述べた。英製造業受注指数は約30年ぶりの高水準。ポンドは反応薄だった。 NY市場では、ドルの買い戻しがやや優勢。原油相場が下げ一服となり、ドル円は一時111.45近辺まで上昇。米インフレ鈍化懸念から米国債利回りの下げが続いており、きょうの10年債利回りは一時2.13%台まで低下。しかし、先日のFOMC以前よりは米国債利回りの下げに対するドル円の反応は緩くなっている印象も。ユーロドルは1.1150割れへと軟化。米株はダウが小幅安、ナスダックが小幅高と値動きは落ち着いた。 (23日) 東京市場は、小動き。ドル円は111.23から111.43での20銭レンジに留まった。ユーロドルは23ポイント、豪ドル/ドルは19ポイントなど、ほぼ膠着相場。ドル円に関してはFOMC後のドル高円安の流れが意識され下値では買いが入るものの、今週半ばから111円台後半で売りが入る展開が続いており、高値での買いに慎重姿勢が見られた。日本株や原油先物も小動き。 ロンドン市場は、序盤にポンドやユーロが買われたが、次第に値動きが鈍った。欧州株が軟調に始まるも、ユーロドルは1.1188近辺、ポンドドルは1.2744近辺へと高値を伸ばした。前日の海外市場での高値を上抜けてショートカバーが入ったもよう。ユーロ円やポンド円も買われた。しかし、取引中盤にかけてはロンドン朝方の水準へと押し戻されており、方向性は乏しい。ドル円は111円台前半での揉み合いのなかで、一時111.16近辺に安値を広げた。独欧PMIには反応薄。 NY市場でドル円は111円台前半での推移が続いた。きょうの為替市場は欧州通貨が買われており、相対的にドル売りが優勢となっている。しかし、円売りも出ていたのであろうか、ドル売り・円売りの中、ドル円は111円台前半での小幅な振幅に終始した。NY時間のレンジは20銭程度。この日はブラード・セントルイス連銀総裁とメスター・クリーブランド連銀総裁の講演が伝わっていた。ブラード連銀総裁は前日のインタビューと同様に慎重姿勢を示していたが、メスター総裁はタカ派な姿勢を堅持していた。特に大きな反応を見せることもなかった。一方、ユーロドルは1.12ドル台を一時回復。
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