イベント待ちで全体的に様子見気分が強い=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場は様子見気分が強く、ドル円も110円台半ばでの狭い範囲での振幅に終始した。先週の米雇用統計後の下落から一服はしていたものの、上値は依然として重い。今週のECB理事会や英総選挙、そしてコミーFBI前長官の議会証言といった重要イベントを控える中、方向感はないようだ。

 FRBの6月利上げは確実視されているものの、先週の米雇用統計を受けて市場では、その後の利上げや成長についてやや疑問も出てきている模様。米国債利回りが5ヵ月ぶりの低水準まで下げる中、ドル・円は110.35付近に来ている200日線水準まで下げて来ている。下値では買いも出てきているようだが、一方で上値を追う動きも見られておらず、110円台半ばの水準を超えると売り圧力も強いようだ。

 なお、朝方発表になったISM非製造業景気指数は予想を若干下回ったものの、予想の範囲内。新規受注は前回から低下したものの、前回分がかなり高かった反動も出たものと思われる。一方、雇用の方は強い数字となっており、労働市場の力強さを裏付けている。ただ、他の新規製造業受注や耐久財受注の確報値とあわせると全体的には弱めの数字ではある。

 ユーロドルは1.12台半ばでの推移。ロンドン時間には戻り売りも出ていたものの、1.12ドル台はしっかりと維持している。今週のECB理事会を巡って神経質な動きも見られているようだ。ガイダンスを出口戦略に向けて変更してくる可能性が高まっているが、既にその辺は織り込み済みであり、どのように変更してくるかがポイント。一部には、内容次第では材料出つくし感が一旦出る可能性も指摘されている。ただ、その場合でも資金がドルに向かう気配がなければ、下げは短期的との見方も一方であるようだ。

 ポンドは堅調な動き。週末にロンドンで再びテロが発生したことから、週明けのポンドは下に窓を開けて始まった。しかし、8日の英総選挙に関する世論調査でメイ首相率いる保守党の優勢が伝わると買い戻しも入り、窓は完全に埋める展開となっている。

 世論調査通り保守党が勝利した場合、メイ首相の基盤が強化されることから、ポンドはポジティブな反応も予想されるが、一部からは続かないとの見方も出ている。英EU離脱交渉が本格化されてくるが、総選挙を控えたメルケル独首相の強硬姿勢も想定され、交渉は難航を極めるとも見られている。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美 

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