きょうのNY為替市場、午後に公表された5月分のFOMC議事録を受けて為替市場ではドル売りが強まった。声明では「景気減速が一過性であるという証拠を待つのが賢明」と言及しており、その文言に敏感に反応したようだ。 ただ、バランスシート縮小に関しては大半が年内開始を支持しており、引き締めは近く適切になる公算大とも言及していた。また、個人消費は今後数ヵ月で回復を予想。 ドルは米国債利回りの下げにつられて売りが強まったが、市場では6月利上げ期待が後退した印象はなく、CMEのFEDウォッチでは逆に、6月利上げの確率を80%超まで上昇させている。 ドル円は議事録後の反応への期待から前半は112円台を回復していたが、議事録を受けて111円台半ばに押し戻されている。きょうの動きでドル円は10日線と21日線のデットクロスを示現しており、明日以降の動きが注目される。 一方、ユーロドルは議事録を受け買いが再び優勢となり、1.12台を回復している。ECBの出口戦略への期待から買い意欲も旺盛で底堅い動きが続いている。 きょうECBは金融安定化報告を発表しており、ドラギ総裁やコンスタンシオ副総裁の発言も伝わっていた。両者とも市場の期待とは裏腹に慎重姿勢を崩しておらず、ドラギ総裁は「基調インフレは引き続き低調」と述べていた。一方、フォワードガイダンスに関しては「逸脱する理由はなく、利上げより前に量的緩和解除が先になる」との見解を示している。また、コンスタンシオ副総裁は賃金上昇の鈍さがインフレ目標達成の障害になる可能性を指摘していた。 出口戦略に舵を切ったとしても注意深いアプローチが必要との見解を示した格好。 また、きょうはカナダドルの買いが強まっており、カナダ円は83円台に上昇している。カナダ中銀が金融政策委員会を行い、声明で「現在の刺激策は“現段階”では適切」との文言に市場は、まもなく正常化に転じる可能性を強めたようだ。「原油安に対する国内経済の調整は概ね完了。直近のデータは心強い」とも述べていた。 みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
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