きょうのNY為替市場はドルの買戻しが優勢となった。一連のトランプ大統領のロシア疑惑で、前日から市場は不安定な動きを強めていた。為替市場ではドル売り・円買いが強まり、本日のドル円は一時110円台前半まで急落する場面も見られた。 ロンドン時間の欧州株も大幅安となっていた中、前日急落していた米株式市場の動きが注目されたが、寄り付きこそ売りが先行したものの、プラス圏に浮上したことからドル円も買い安心感が膨らんだ。今週に入ってドル・円は350ポイント急落しており、急ピッチな下げにやや行き過ぎ感も出ていた。 更に午後になって米株と伴にドルは買い戻しが加速し、ドル円はストップを巻き込んで瞬間的に111.75付近まで買い戻される場面も見られている。 この日はメスター・クリーブランド連銀総裁の発言が伝わっており、FRBが後手に回ることを警戒する必要性を繰り返し指摘した。市場では先週の米消費者物価(CPI)や小売売上高が予想を下回る内容で、6月利上げ期待もやや後退していた。そのような中、今週はFOMCメンバーの発言が注目だったが、メスター総裁の発言は従来と変化がなかったようだ。 ただ、トランプ騒動は当面続きそうで、米司法省は前日、大統領選へのロシア関与疑惑をめぐる捜査について、特別検察官にモラー元FBI長官を任命した。トランプ大統領の弾劾の可能性を含め、しばらく情勢は混沌としそうだが、市場の一部からは、時間もかかり、次第に市場の興味も薄れて行くのではとの楽観的な見方もあるようだ。いずれにしろ、もう少し動向は注目される。 一方、ユーロドルは戻り売りが優勢となった。午後になると一時1.10台に値を落とす場面も見られている。トランプ騒動によるドル売りの受け皿となっていたユーロだが、リスク回避の動きもきょうは一服しており、ユーロも上げを一服させた模様。 市場ではECBの出口戦略への期待が高まっており、来月の理事会ではそれに向けてガイダンスを変更してくるのではとの期待が高まっている。ただ、きょうのECB議事要旨は慎重な意見も多く、景気の下振れリスクや、インフレ見通しの低さが指摘されていた。しかし、5月の理事会後に発表になっている経済指標の強さから、ガイダンス変更への期待は温存されている。 みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
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