きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は113円台前半に下落している。朝方発表になった米小売売上高や消費者物価(CPI)が予想を下回ったことがドル売りを強めた。米国債利回りも低下し、市場の一部では今回の指標を受けて、6月利上げに対する確信がやや揺らいでいるようだ。CMEが算出しているFEDウォッチでの6月利上げの確率は前日の83%から74%に低下している。 ただ、小売売上高については前回の上方修正分も加味すれば、第1四半期の個人消費の回復を期待できそうな内容ではある。予想自体がかなり高めだった感もある。その割には反応は派手だった印象。今回の指標に対する市場の期待感がかなり高かったのかもしれない。 エバンス・シカゴ連銀総裁が「インフレ見通しが不透明ならば、利上げは1回で良い」と述べていたことも圧迫した模様。次回6月FOMCは13、14日に予定されているが、来週以降の指標やFOMCメンバーからの発言を市場は確認したいようだ。 ドル円はこのところ、急ピッチな上げを見せていただけに、利益確定売りの背中を押されたようだ。113円台前半まで下落し、フィボナッチ水準がある113.35付近を下回ってきている。目先は10日線が113円ちょうど付近に来ており意識される。 ユーロドルは1.09ドル台を回復。きょうの上げで21日線がサポートされ、リバウンドの流れは温存された格好。市場ではECBの出口戦略への期待が高まっているが、ドイツ誌によると、ECBは経済成長に対する下振れリスクはほぼないというメッセージを年央から伝え始めたい考えだという。報道によるとECBは7月から出口戦略を金融市場に準備させ、秋にはその計画を提示するという。来年初めから月間の債券購入額を100億ユーロまたは200億ユーロずつ縮小させ、2018年末からは必要に応じて政策金利を引き上げるとも伝えていた。 ポンドは対ドルでは上昇したものの、対ユーロ、円では下落しており、従来よりは上値が重くなった印象もある。前日の英中銀政策委員会(MPC)では利上げ、利下げ双方に可能性を残し、カーニー総裁は慎重姿勢を堅持していた。市場が思っているほどに英中銀は、利上げバイアスには傾いていない様子もうかがえる。 メイ首相が総選挙を表明して以降、英EU離脱交渉に対する楽観的な見方からポンドはリバウンドの流れに方向転換しているがここに来て、メイ首相が6月8日の選挙で勝利しても、離脱交渉はそう英国に有利になるほど簡単ではないとの見方もあるようだ。 今後、物価高による消費減速も警戒される中、英中銀の利上げは市場の期待ほど早くはならないのではとの疑問も出始めているようで、このところのポンドの強気な見方に一服感も出てきている。 みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
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