為替相場まとめ11月23日から11月27日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 23日からの週は、神経質に振幅も、全般的にはドル売りが優勢だった。週明けはアストラゼネカのワクチン開発の進展、米政権移行の動きなどが株式市場に好感された。為替市場でもリスク選好的なドル売りが先行。しかし、週明けNY市場では一時ドル買いの動きが強まる場面があった。ドル買いの明確な材料もなく、市場でのポジション調整との見方が広がった。その後は株高の動きが続く中で再びドル売りの流れに回帰した。ユーロドルは1.19台、ポンドドルは1.34台、豪ドル/ドルは0.73台などへと水準を上げた。週後半は調整ムードに転じた。3万ドルの節目をつけたNYダウが反落。世界的に株式市場の利益確定売りが広がった。木曜日の米感謝祭、金曜日のブラックフライデーなどで年末商戦の行方が気がかりとなるなかで、市場は調整に動いたもよう。ドル円は一時103円台へと下落。クロス円も高値圏から押し戻される動きとなっている。ただ、ドル相場全体ではドル安の流れが維持されており、根強い動きであることが印象付けられている。そのなかでポンド相場は不安定。週明けは英国とEUとの貿易交渉の合意への期待が広がったが、一連の協議を経ても双方の溝は残ったままとなり、週末には双方からの歩み寄りがみられないことでポンドが売られる場面も。来週にかけてもポンド相場が不安定になりそうだ。


(23日)
 東京市場は「勤労感謝の日」のため休場。

 ロンドン市場では、ポンド買いが優勢。アストラゼネカのワクチン報道や英欧貿易交渉への合意期待などが背景。アストラゼネカのワクチンが平均70%の有効性と報じられた。年内にはワクチン供給を開始する計画だという。感染拡大が深刻化している英国への供給計画も報じられており、ポンド買いの動きが広がった。また、きょうも英国とEUとの貿易交渉が継続するとバルニエ氏が表明しており、合意に向けて努力しているとした。一部報道では今週中に暫定合意されるとの観測もでていた。ポンドドルは1.33台前半から後半へと上昇、ポンド円は138円台前半から後半へと上昇。続いてユーロも買われている。ユーロドルは1.19近辺へユーロ円は123円台前半で高値を伸ばしている。ドル円は103円台後半での揉み合いとなっているが、ややドル売りに押されている。欧州株や米株先物が堅調に推移しており、リスク選好の動きになっている。ユーロ圏や英国の11月PMI速報値は10月から悪化したが、市場ではワクチン供給への期待が勝っているようだ。

 NY市場で、ドル円は買い戻しが強まった。ショートカバーが一気にに強まり、104.50付近まで上昇。ユーロドルは1.19台から1.18ちょうど付近まで一時急速に下落。 ただ、足元の経済指標は弱い。この日発表の11月のユーロ圏PMIはサービス業が弱さが目立ち、経済活動は11月に縮小へと逆戻り。12月のECBの追加緩和や、EU予算がポーランドとハンガリーの反対で成立が遅延し、1月に開始を予定していた復興基金も微妙な情勢となる中、ユーロ自体に良い話はあまり見当たらない。ポンドドルは一時1.32台まで急速に下落。ただ、ロンドン時間には1.34手前まで一時上昇している。引き続き英国とEUの貿易交渉への期待がポンドをサポートした格好。きょうはアストラゼネカと英オックスフォード大のワクチン候補が平均70%、投与法によっては最大90%の有効性を示したとの中間報告を行った。ファイザー、独ビオンテックの95%よりは低い数値ではあるものの、市場はワクチン開発への期待をさらに高めている。米国債利回りや米株式市場でダウ平均が上昇。今週は感謝祭ウィークだが、それに向けてポジションの巻き戻しがまとまって出た可能性もありそうだ。

(24日)
 東京市場では、NZドルが上昇。ロバートソンNZ財務相が、オア中銀総裁に宛てた書簡で直近の住宅価格上昇への懸念を示した。新型コロナウイルス対応での量的緩和策などの影響を警戒しており、中銀の目標として住宅価格の安定を加える可能性を示している。これにより中銀はこれ以上の緩和が難しくなるとの思惑が広がり、NZドルが急騰、対ドルで0.6930前後か0.6988まで上値を伸ばした。その他主要通貨では、前日のドル高にやや調整の動き。ドル円は前日高値圏の104.60台では上値が重くなり、104.30台まで反落。ユーロドルは1.1840台から50台での揉み合い。ユーロ円は124円手前で上値を抑えられた。

 ロンドン市場では、リスク選好的なドル売りが先行。新型コロナワクチン開発の進展で、年内の普及が期待されていることや、米国での政権移行が始動したことが景気支援策への期待につながっている。欧州株、米株先物がともに堅調に推移。ドル安が進行するなかで、NZドルは対ドルで一時0.70台をつけて、2018年6月以来の高値水準となった。ロンドン時間には豪ドルの堅調な動きも目立ち、対ドルは0.73台後半まで上昇。ユーロドルは1.19台手前へ、ポンドドルは1.33台後半へと本日の高値を広げた。ドル円は104円台前半で上値重く推移。クロス円は総じて円安方向に動いているが、足元では上昇一服となっている。ドイツ第3四半期GDP確報値は前期比+8.5%に上方改定。11月ドイツZEW景況感は90.7と前回の92.5から低下も、事前予想ほどは落ち込まず。一方、11月フランス企業景況感は79と前回の90から大幅に悪化。11月の英CBI小売調査統計は-25と前回から2カ月連続で低下したが、事前予想よりも落ち込みは少なかった。 

 NY市場では、ポジション調整に神経質な展開。ドル円はNY時間に入って買い戻しを強め107.75近辺まで一時上昇。買い材料は特段みられず、前日同様の調整主導の動き。今週は感謝祭ウィークとなり、断続的なポジション巻き戻しがでていたようだ。ただ、市場の雰囲気は良好。トランプ政権がバイデン政権への移行プロセスに着手し始めたのではとの期待が高まっている。バイデン氏が次期財務長官にイエレンFRB前議長を指名する意向を示していることも市場はポジティブに捉えているようだ。ユーロドルは序盤に1.18台前半に値を落としていたが、下値でも買い意欲も旺盛で1.18台後半へと戻した。株式市場でダウ平均が3万ドルの大台に乗せ、原油も45ドル台まで一時急伸。リスク選好のドル売りが根強い。ユーロ自体にはさえない経済統計など買い材料はなかった。ポンドドルは1.32台に一時下落したあとは、1.33台半ばへと戻した。ポンドはドル安トレンドを最も享受しているようだ。英国とEUの貿易交渉の合意への期待感がポンドを押し上げており、合意に至った場合はポンド上昇が期待されている。ただ、離脱後の英経済回復への不透明感も指摘されていた。

(25日)
 東京市場は、小動き。ドル円は104円台半ば前後での推移。朝方に104.38近辺まで下押し。その後の買い戻しは104.60近辺まで。木曜日米国市場が休場(感謝祭)、金曜日は米株式・債券市場が短縮取引と週末にかけて取引参加者が減る見通しとなっていることもあり、積極的な取引を手控える流れとなった。ユーロドルは1.19台を回復。前日海外市場では1.19台手前で上値を抑えられ、1.1840近辺まで値を落としたが、その後再び買われた経緯があった。東京午前も買いが続き、1.19台を回復。高値を1.1910付近へと伸ばした。ユーロ円は124.48レベルまで高値を伸ばしたあとは、上げ一服に。

 ロンドン市場では、欧州通貨が振幅。ユーロドルは朝方のドル売り局面で1.1930近辺まで上昇。今月9日につけた高値1.1920レベルを超えて、9月初頭以来のユーロ高水準となった。その後、欧州株がマイナスに転じるなかで、1.1880台まで反落した。ユーロ円も124円台半ばまで上昇したあとは、調整売りに124.10台まで反落した。スナク英財務相による歳出見直し発表を控えてポンド相場もユーロと同様に買いが先行した。対ドルでは1.3384近辺へと買われ、前日高値を上回った。その後はドルが買い戻されて1.3304近辺まで反落。EUとの自由貿易協定をめぐる協議について、早期の暫定合意期待が広がるものの、対立点の解消が進まず、協議が物別れに終わる可能性が残っているということで、市場の警戒感を誘っている。ドル円は104.40台を中心とした小動きに終始している。

 NY市場では、ポンドに買い戻しが入った。ポンドドルは1.33ちょうど付近まで下落していたが、NY時間に入って買い戻しが優勢となり1.33台後半へと上昇。スナク英財務相が財政見通しを公表しており、2020-21会計年度の財政赤字は3940億ポンド、国債発行予定額は4855億ポンドに増加など予想を上回る見通しを示した。また、今年の英経済については11.3%の300年ぶりの大幅な縮小を見込んでいることを明らかにした。ユーロドルは1.19付近での狭いレンジでの値動き。明日からの米感謝祭休暇を前に模様眺めの雰囲気が強まっているもよう。ただ、底堅さは堅持している。一部からは、明日からの米感謝祭休暇で市場参加者が少なくなることが予想される中、休暇中にユーロドルはボラティリティが高まる可能性も指摘されている。ドル円は戻り売りに押され、一時104円台前半に下落。米感謝祭休場を控えて、週初のドル円上昇に調整が入っているようだ。FOMC議事録では「現行の購入ペースを直ちに変更する必要はない」としたものの、「状況は変更を正当化する可能性」「債券購入のガイダンス強化の必要性」に言及していた。

(26日)
 東京市場は、ややドル安も、落ち着いた値動きになっている。米国市場が感謝祭で休場ということもあり、ドル円は104円台前半での揉み合いが続いた。全般にはドル売りのムードもあるなかで、昼にかけては104.26近辺まで軟化したが、前日NY市場での安値圏で下げ止まっている。ユーロドルは1.1930前後での推移。NY市場の高値を超えるなどユーロ高ドル安基調が継続。1.20超えを付けた9月初め以来の高値圏推移となっている。押し目がほとんど見られず、午前中に1.1929を付けた後の押し目は1.1921レベルまで。午後もしっかりで1.1930を付ける動きをみせた。ただ、値幅は総じて限定的だった。

 ロンドン市場では、ドル売り先行からドル買い戻しに転じた。朝方はドル売りが優勢で、ドル円は104.36近辺から104.22近辺へと下落。ユーロドルは1.1940近辺へと買われて、直近高値を更新した。しかし、上昇して始まった欧州株が下げに転じたことを受けて、その後は欧州通貨売りが優勢に。ユーロドルは節目の1.19を割り込むところまで下落した。この後の米感謝祭で取引参加者が減少するとみられる仲撫で、ポジション調整の動きが強まった格好。ポンドドルは朝方に1.3397近辺まで買われたが、1.34台には載せきれず反落。1.3340台まで下落している。スナク英財務相が英国とEUとの自由貿易協定の協議について、合意のためにいかなる犠牲も払うということはすべきでないと発言。アイルランド外相が協議は非常に難しい局面と発言するなど、大詰めを迎える協議の合意について不透明感が出ていることもポンド売りにつながった。クロス円が軟調。ユーロ円は124.57近辺まで買われたあと、一時124円台割れに。ポンド円は139.80付近が重く、139.10近辺へと下押しされた。

 NY市場は「感謝祭」の祝日のため休場。

(27日)
 東京市場で、ドル円は104円割れへと下落。朝方には米感謝祭での膠着状態を受けて104.20近辺で取引を開始。午前9時過ぎからドル売り・円買いの動きが強まり、いったん104円ちょうど付近で下げ止まるも、その後の戻りは限定的。午後には103.90近辺へと一段と下落した。市場では月末を前にした実需関連の売りや、株式の調整を警戒した円買いなどが観測された。売りが先行した日経平均は午後には買い戻され107円安で引けたが、ドル円は104円付近から離れず。ユーロドルは1.18台後半から1.19台前半へとしっかりとした値動き。前日ロンドン市場で下げに巻き戻しが入った。中国が豪州産ワインの反ダンピング課税を決めたことを受けて、豪ドル売りの反応も、すぐに買い戻しが入った。

 ロンドン市場では、ポンドが下落している。序盤は欧州株や米株先物が堅調な動きを見せたことを受けて、ドル円やクロス円が買い戻される動きがみられた。東京市場から引き続きドル安の動きにポンドドルは1.33台後半、ユーロドルは1.19台前半で高値をやや広げている。ドル円は104円台を回復。しかし、ポンドは下落に転じている。バルニエEU首席交渉官が現時点では合意が可能とは言えず、交渉は継続としたことを受けて売り圧力がかかった。さらに、ジョンソン英首相が、EUとは大きな相違が依然残っており、通商合意の成立はEU次第、と述べたことでポンド売りが強まった。ポンドドルは1.33台前半へと下押しされ、ポンド円は139円台前半から138円台後半へと下落。前日の米感謝祭休場に続いて、きょうもNY市場は株式・債券市場が短縮取引となる。様子見ムードが広がるなかで、ポンドの波乱の動きが目立つ格好になっている。

 NY市場はドル売りが強まり、ドル円も一時103円台に再び値を落とした。きょうのドル円は東京時間に103円台に下落していたが、感謝祭明けの米株式先物が上昇したこともあり104円台に戻していた。しかし、ドル安は根強く再び下値模索となったようだ。目先は今週の安値103.70付近が下値メドとして意識される。

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