ドル円は105円台での堅調な動き MPC受けポンドに買い強まる=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 NY為替市場はきょうもドル買いが優勢となる中、ドル円も105円台での堅調な動きを続け、105円台半ばまで上昇した。日本の輸出企業やオプション勢など105円台での売りオーダーも並んでいるようだが、着々とこなしているようだ。

 NY時間に入って米国債利回りは上げ幅を縮小しているものの、きょうは米10年債利回りで一時1.16%付近まで上昇しており、ドル円のショートカバーを誘発したようだ。ただ、今回の上げの特徴だが、株高にもかかわらず、円安の動きまではみられておらず、専らドル高によるところが大きい。米国での感染拡大がピークアウトの気配が出る、人々の行動制限が解除され、加えて追加経済対策とワクチン接種拡大への期待で、市場はインフレ期待を高めている。米国債のイールドカーブはスティープ化が顕著となっており、5年債と30年債の利回り格差は2015年以来の水準まで拡大。

 ドルの大きな流れの変化と見ている向きはまだ少数派なものの、もうしばらく買い戻しが続くとの期待から、ドル円も自律反発への期待を高めている。目先は200日線が105.60円付近に来ており、この水準をうかがう動きが見られている。

 ユーロドルは売りが続き、大きな心理的節目の1.20ドルを割り込んだ。目先のサポートとして意識された1.1960/65ドル付近に下げ幅を広げた。1.20ドルはユーロ発足以来の値動きの中間値にあたり、ECBも注目しているポイントとも言われている。一部のECB理事からはこのところのユーロ高をけん制する発言が出ており、マイナス金利の深掘りの可能性まで示唆していた。それが功を奏したとは思われないが、結果往来といったところなのかもしれない。

 ただ、市場からは下値ではユーロ買いを推奨する声も聞かれる。ポジション状況のデータからは、投資家の選好の急激な変化は見られていないという。一方でユーロ買いの復活には1.22ドルまで上昇する必要があるとも指摘していた。

 きょうはポンド買いが目立った。全体的にドル買い戻しの流れが続いているにもかかわらず、ポンドドルは一時1.37ドルちょうど付近まで上昇する場面がみられた。きっかけは英中銀金融政策委員会(MPC)で、英中銀が予想以上にマイナス金利に消極的な姿勢を強調したことが市場に驚きを与えた模様。

 英中銀は予想通りに政策金利及び、国債、社債計8950億ポンドの資産購入枠を据え置いた。一部からは利下げ、または追加緩和のサプライズもあるのではとの声も出ていた。市場の最大の注目はマイナス金利についての英中銀の見解だったが、きょうの英中銀はその雰囲気は強調せず、逆に市場の期待に冷水を注いだ格好となった。英中銀は「ある時点でマイナス金利を導入する意図があるというシグナルを送りたくない」と述べたうえで、「将来必要に応じてそうする能力を提供するための準備を開始することが適切」としている。英中銀はマイナス金利には消極的な姿勢を引き続き強調している。

 今回のMPCを受けて市場は年内の利下げ期待を完全に後退させており、英中銀は少なくとも向こう半年は動かないとの見方も出ている。ポンドドルの本日の21日線は1.3655ドル付近に来ているが、その水準まで上昇しており、明日以降の動きが注目される。ただ、ドル買い戻し圧力が強まる中で、目先はこれ以上の上値は期待しづらいとの声も聞かれる。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。