ドル円は108円台に一時下落 前日同様に一時リスク回避の雰囲気も=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場でドル円は売りが優勢となり108円台に一時下落した。きょうも原油安をきかっけに米国債利回りが下げに転じ、米株も一時伸び悩んだ。前日同様に市場には若干リスク回避の雰囲気も広がり、ドル円を押し下げていた模様。市場では中国のIT企業への取り締まりに関する新たな懸念やデルタ株の感染再拡大が市場の雰囲気を圧迫している模様。米企業決算は前向きな報告が多いものの相殺できない状況のようだ。

 早期に109円台に完全に戻せないようであれば、下向きの流れが強まりそうな雰囲気も出ているが、108円台半ばの水準と108.35円付近が目先の下値メドとして意識される。ただ、きょうは一応、109円台は維持したものの、戻りは鈍い印象。

 ユーロドルはNY時間に入って戻り売りが優勢となり、一時1.1860ドル付近まで値を落とした。ロンドン時間には買い戻しも見られていたが、1.19ドル台には慎重な中、前日同様にNY時間に入ってリスク回避の雰囲気もやや強まっていることから、ユーロドルも戻り売りに押される展開。リバウンド相場が後退した雰囲気まではまだないが、1.1850ドル付近にフィボナッチ38.2%戻しの水準が来ており、目先のポイントとして意識される。

 リスク回避のドル買いがユーロドルを圧迫している印象だが、ドル高が更に強まれば1.18ドル割れの可能性もある。ただ、市場からは下げは限定的との声も聞かれる。また、ドル資産のユーロ資産に対する利回りのアドバンデージがユーロドルを圧迫するとの見解は正当化されていないとの見方もあるようだ。もし、その見解が本当であれば、今後、ユーロドルは上値の重い展開が続くであろう。しかし、長期のインフレ調整後の米国債とドイツ国債の実質利回りは2012年以降同水準にはなく、ユーロドルは長期均衡水準を遥かに下回って取引されており、リスクとしては、ユーロ安よりもユーロ高のほうが高いとの指摘も聞かれる。

 ポンドドルもNY時間に入って戻り売りに押され、一時1.38ドル台に値を落とした。ロンドン時間には1.3940ドル近辺まで上昇し、100日線を回復していたものの、再び下回っている格好。本日の100日線は1.3925ドル付近に来ている。リバウンド相場が終了した気配までは無いが、ロング勢もやや不安感を感じ始めているのかもしれない。

 ただ、ポンドに強気な見方も出ている。今週の英中銀金融政策委員会(MPC)が予想以上に慎重なトーンであれば、ポンドは下落する可能性があるが、一時的な下げに留まるという。最近の感染鈍化傾向と、疫学の第1人者であるファーガソン教授の「パンデミックは9月下旬または10月までに概ね終了する可能性」との見解を留意すれば、ポンドへの強気見通しに自信を持っているとしている。7月中旬に英政府は大部分の制限解除に踏み切ったが、それを評価する上で次の数週間が重要になる。感染がさほど上昇しなければ、規制が再び厳しくなることはないとの確信が強まり、景気回復を持続可能にするという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。