ドル円は111.35円付近まで下落 リバランスの動きも峠を越す=NY為替後半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 NY時間の終盤に入ってドル円は戻り売りが続いており、111.35円と本日安値圏での推移となっている。きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って戻り売りが強まった。朝方発表の米新規失業保険申請件数が予想以上だったことをきかっけに売りが強まった。前日は月末期末要因のリバランスに伴うドル買いが指摘され、ドル円も112円台まで上昇していたが、実際に月末になってその動きも峠を越したのか、きょうは売りが優勢となった。また、米株式市場でダウ平均が下げ幅を拡大していることもドル円を下押ししている。

 市場ではリスク回避とFRBの早期出口戦略への期待、そして、インフレ上昇の想定以上の長期化が警戒されている。その中でドルは買いが強まっている状況。ただ、市場の一部からは、23年第1四半期までに2回の利上げを織り込むのは時期尚早との指摘も出ている。市場はFRBの利上げ意欲について判断を誤り続けてきた長い歴史があるとした上で、パンデミックとそれが長期的な成長に与え得る影響を巡る不透明を踏まえ、FRBは景気見通しにもっと安心できるまで利上げを急がないと指摘している。

 また、今後数カ月のうちにFOMCメンバーの一新が起こる可能性があり、その結果、FOMCがハト派に傾斜する可能性にも言及している。パウエルFRB議長の続投も未定で、クラリダ、クオールズ両副議長の任期満了が今年中および来年序盤に控えていることを考えると特にそうだと分析した。

 ユーロドルは一時1.15ドル台半ばまで下落。米株に売りが強まっており、ダウ平均の下げ幅が一時400ドルを超える中でリスク回避のドル買いが出ていた。ユーロドルは昨年7月以来の低水準に下落しており、21日線を下放れる動きが加速している。

 この日発表の9月のドイツ消費者物価指数(CPI)速報値は前年比4.1%と約30年ぶりの高水準の伸びを示し、インフレが加速していた。ただ、ECBは慎重姿勢を堅持するとの見方が根強く、FRBや英中銀との金融政策の格差拡大が見込まれており、ユーロの上値を重くしている。

 市場からは、ドイツ10年債利回りがプラス圏に復活するのはかなりの時間がかかる可能性も指摘されている。2つのシナリオを基にした推計で、1番目はECBは2025年まで利上げを待つというハト派シナリオと、2番目はインフレ上昇によりECBが早期利上げを目指し、23年に利上げ開始、25年末までに0%まで戻すというタカ派シナリオ。その2つのシナリオに各々、55対45のウェートをかけた推計で、今年末のドイツ10年債利回りは-0.20%、23年末でプラスを回復し、0.05%付近を見込んでいるという。

 ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.35ドル台まで回復する場面もみられた。市場は英中銀が年末までに利上げを開始する可能性を織り込む動きも出ている。しかし、英中銀が11月または12月の金融政策委員会(MPC)で、その決定を導くための指標が非常に限られているとの指摘も出ている。

 GDPのデータは改訂が何度もあることから、現時点で予測が難しく、一時解雇後の労働関連のデータもまだ利用できないという。12月のMPCまでには10月分のデータがあるが、それは金利決定の基礎となるものはほとんどないという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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