米株の上値が依然重い中で、ドル円は再び110円台に下落=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY株式市場、米株の上値が依然として重い中で、ドル円は再び110円台に下落。米国債利回りの上昇が続く中で米株式市場はIT・ハイテク株中心に売りが続いており、株式市場を圧迫している。FRBはインフレ上昇は一時的とのスタンスを崩していないが、サプライチェーンのボトルネックが依然解消されない中で、想定以上にインフレ上昇が長引くのではとの懸念が市場に広がっているようだ。そのような中で、FRBが早期の出口戦略に着手との見方も根強い。

 しかし一部からは、FRBは2013年のテーパー・タントラムからの教訓を学んでおり、しばらく慎重姿勢を緩めないとの見方も出ている。2013年にFRBが資産購入減少を示唆した後、米国債利回りが急上昇し市場の混乱を招いていた。

 不確実な状況が依然として米経済を制約している中で、刺激策の早期解除はない。インフレを巡る議論は沸騰しているものの、主要国も利上げ開始には距離を置いている状況で、2023年まで利上げはないという。実際に2023年に利上げを開始したとしても、2025年の政策金利は1%程度に留まり、金利上昇のペースは緩やかなものになるとしている。

 ユーロドルは買い戻しが続き、1.1640ドル近辺まで一時上昇。ユーロ買いというよりもむしろ、ドル売りに伴う買い戻しといった印象が強い。先週までの下げで過熱感も出ており、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは先週、一時26と下げ過ぎの基準となっている30を下回っていた。

 ただ、最近のドルの上昇はなお終わっておらず、上値では戻り売りを推奨する向きも依然として多いようだ。年末までにユーロドルは1.14ドルに下落する可能性があるという。今年の残りの期間の力強い米経済指標がFRBの政策期待を緩やかにタカ派に傾け続け、ドルを支援するという。また、欧州ではガソリン価格高騰が予想され、欧州経済への悪影響がECBを更に慎重にさせる可能性もあるという。また、中国経済への不透明感が広がっているが、米国よりも欧州のほうが悪影響が大きい点もユーロを圧迫するとしている。

 ポンドドルも買い戻しが続き、一時1.3640ドル近辺まで上昇する場面もみられた。本日の21日線が1.37ドルちょうど付近に来ているが、その水準まで戻せるか注目される。ただ、ポンドにネガティブな見方も出ている。サプライチェーンのボトルネックと英消費者信頼感の低下が短期的な英経済見通しを圧迫し、ポンドは年末にかけて下落する可能性があるという。英経済の下振れリスクがインフレの上振れリスクを上回っており、市場では2022年に英中銀による3回の利上げを織り込む動きも出ているものの、それは行き過ぎであると市場が考える可能性があるという。ポンドドルの年末予想を従来の1.40ドル台から1.33ドル台に修正している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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