※今週から11月末、12月末の確率でお伝えします 今週のドル円は上値追いが一服していた。ドル円は9月の下旬から買いの勢いが加速し、短期間で上げ幅はすでに500ポイントに達している。さすがに過熱感は否めず、ロング勢からの利益確定売りが出ても致し方ないところではある。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは一時76まで上昇し、買われ過ぎの基準である70を上回っていた。 こういった局面で重要なのは下げないということだ。利益確定売りから113円台に値を落とすものの、直ぐに下値での押し目買いが入り売りが強まる気配はない。典型的なブル相場といった感じだ。週末には113.50円まで値を落としたものの、今週の値動きは見た限りでは大きな心理的節目である115円をまだ視野に入れていることは間違いなさそうだ。 一方、今週のドル自体は戻り売りが優勢となっている。それ以上に円安がドル円をサポートしていた。いまの為替市場の注目点は世界的な高インフレ、サプライチェーン問題、人材不足、そして、エネルギー価格高騰、中国経済といったところで、それらを背景にした中銀の動きといえよう。FRBやECB,英中銀といった主要各国の中銀が緩和策解除に舵を切り始める中で、日銀は一人取り残されている格好となっている。金融政策の方向感格差が円を売りやすくしているとも言える。 もっとも、各国の国債利回りが上昇しており、日本国債もそれなりに上昇しているが、日銀がイールドカーブコントロールを実施していることもあり、他国と比較すると上げは鈍い。当然、金利差を注目したいところではあるが、インフレの影響を控除した実質利回り格差で見れば、景色は違ってくることは留意される。 さて、下記の確率を見ると、上値期待は一服し、下値期待が高まっている。116円と112円に着目してみると、11月までに116円に到達する確率は前週の48.8%から30.4%に若干低下した。一方、112円は41.1%から53.9%へ上昇している。今週は114円台でのもみ合いから113円台半ばに下落したことから、確率的にも下値期待が高まったものと思われる。 典型的なブル相場で115円を視野に入れていることは間違いなさそうだが、確率的には「115円台に到達した後を考えると不安も出ている」といった印象だ。 ◆来週以降11月30日までに各ポイントを1度でも付ける確率 ()は先週末 117円:15.2%(29.8%) 116円:30.4%(48.6%) 113.50円(週末終値) 112円:53.9%(41.1%) 111円:30.3%(21.2%) 110円:14.7%(10.0%) ◆来週以降12月31日までに各ポイントを1度でも付ける確率 ()は先週末 117円:29.3%(41.9%) 116円:45.0%(60.1%) 113.50円(週末終値) 112円:65.8%(53.4%) 111円:45.8%(36.3%) 110円:29.5%(22.9%) ※ドル円のオプション取引から算出 【各通貨ペアのトレンド】 ()は前週 ◆ドル円(USD/JPY) 中期 上げトレンド継続 短期 ↑↑↑(↑↑↑) ◆ユーロ円(EUR/JPY) 中期 中立から上へトレンド変化 短期 ↑↑↑(↑↑↑) ◆ポンド円(GBP/JPY) 中期 上げトレンド継続 短期 ↑↑↑(↑↑↑) ◆豪ドル円(AUD/JPY) 中期 上げトレンド継続 短期 ↑↑↑(↑↑↑) ◆ユーロドル(EUR/USD) 中期 下げトレンド継続 短期 →(↓↓↓) ◆ポンドドル(GBP/USD) 中期 下から中立へトレンド変化 短期 ↑↑(↑) MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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