年内最終売買日のドル円は売りが優勢となっている。NY時間に入ってシカゴPMIが予想以上に強い内容となったことでドル買いも見られ、132円台前半に下げ渋ったものの、再び131円台に値を落している。 来年は円高を見込む声が多くなっている。先日の日銀決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)の調整自体は、黒田総裁が緩和解除に本格的に舵を切ったわけではなさそうだが、市場はイベントを見て、来年の日銀は本格的に緩和解除に舵を切るとの見方を強めている。特に来年4月の総裁交代でその動きが活発化するのではと期待しているようだ。 日本も米欧ほどではないが、消費者物価指数(CPI)が上昇していることが背景。ただし、米欧に比べて日本の平均賃金がさほど上昇していない点が決定的な違いとなっている。その意味でも春の春闘の行方が気になるところで、労働者側はベースアップ(ベア)と定期昇給分を合わせて5%程度の賃上げを求める方針を決めている。経営者側も賃上げには前向きな姿勢を示しているものの、どれだけ応えられるか注目される。 為替市場ではドル円は今後3月末までに急速に下落し、その後も下落が続くが、かなり慎重になると見ているようだ。オプション市場ではドル円は3月末までに121円台半ばまでの急速な下落の可能性を見ている一方、更に3カ月後は117円台前半までの下落の可能性を見込んでいる。下げのスピードは緩やかになると見ているようだ。黒田総裁が任期切れとなる4月までにドル円は急速に下落し、新総裁の就任後は、そのスピードは緩むことが想定されている模様。 きょうもユーロドルは底堅い値動きが続いており、1.06ドル台後半での推移となっている。とは言え、1.06ドル台での上下動に変化なく、次のアクション待ちの面も大きい。市場では上に出る可能性が高いと見ており、目先は1.10ドルを目指すとの見方が優勢のようだ。 来週は6日に12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の速報値が公表される。エコノミストはユーロ圏の史上最悪のインフレは恐らく一息ついて終わっただろうと予想している。12月のHICPは総合指数で9.5%への鈍化を見込んでいる。一方、コア指数については過去最高の5%を維持すると予想。 ECBは11月のHICPが予想以上に鈍化を示した後に、利上げペースを0.50%ポイントに緩めた。しかし、予想以上にタカ派姿勢を強調し、追加利上げを約束する決定を下した。ラガルド総裁は0.50%ポイントの利上げをもう2回実施する可能性にも言及していた。 11月分のHICPは物価ショックが和らいでいる可能性を示唆していたものの、ECBは警戒感を市場に植え付けようとしている。ECBの首席エコノミストのレーン委員は「すでにピークなのか、来年初めにピークを迎えるのかはなお不確実」と述べていた。 ECBは2月2日の理事会までに、12月分と1月分(速報値)の2カ月分を確認できる。 ユーロドルは9月安値からリバウンド相場が強まり、200日線を上放れている。テクニカル的には2021年の6月以降1年半続いた下げトレンドに終了のサインが点灯している状況。ドル高に限界が見られているほか、上記のようにECBのタカ派姿勢がユーロの買い戻しを支えているようだ。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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