【直前まとめ】関連指標の強さもあり、好結果期待広がる=米雇用統計

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 本日22時半に12月の米雇用統計が発表されます。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、先月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.5%に縮小する一方、利上げの終着点となるターミナルレートを従来の4.50-4.75%、市場予想の4.75-5.00%を超える5.00-5.25%に引き上げました。
 次回のFOMCでの利上げ幅については、約7割が0.25%への縮小を見ており、この場合5.00-5.25%に到達するのは5月のFOMCとなります。また、前回のFOMCで示されたターミナルレートは19名中7名と、かなりのメンバーが5.25-5.50%以上を見ていました。この場合は6月以降も利上げ続く形となります。先月のFOMCまでは3月には利上げ打ち止めという見方が多かっただけに、こうした利上げ終了時期先送り、利上げの終着点引き上げ見通しはドル買いの大きな材料となっています。 
 今後実際の米利上げ動向がどうなっていくのかは、FRBも示している通り、データ次第となります。なかでもFRBの二大命題である物価の安定と雇用の最大化の状況が重要となってきます。それだけに雇用統計が相場に与える影響は大きなものとなります。

 まずは前回の雇用統計をおさらいしてみましょう。
 前回11月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比26.3万人増と市場予想の20万人増前後を大きく上回る伸びとなりました。娯楽・接客部門の8.8万人増、教育・医療サービス部門の8.2万人増が全体を押し上げた形です。製造業の1.4万人増、建設業の2万人増など、財部門(広義の製造部門)の堅調さも目立ちました。
 一方で、年末商戦を控えた小売業が2.99万人減、運輸倉庫業が1.51万人減となり、サービス部門の先行き見通しの慎重さが目立ちました。雇用者数変化の先行指標とされるテンポラリーヘルプサービスも1.72万人減と低調な数字となっています。
 失業率は10月から横ばいの3.7%でした。失業率計算で利用される家計調査ベースでの雇用者数は18.6万人減となっており、10月分同様に雇用の減少が確認されています。平均時給は前月比+0.6%、前年比+5.1%と共に10月から伸びており、家計調査ベースでの冴えない雇用者数や、一部サービス部門の慎重な姿勢などを加味しても、力強い状況と印象でした。

 続いて関連指標を見ていきましょう。週間ベースの新規失業保険申請件数は計測期間の被る12日を含む週の比較でみると、11月が22.3万件、12月が21.6万件 誤差の範囲です。ただ昨日発表された最新の結果は20.4万件と昨年9月終盤以来、約3カ月ぶりの低水準となりました。
 4日に発表された12月の米ISM製造業景気指数は48.4と前回の49.0、市場予想の48.6を下回りました。新規受注と生産がともに2020年5月以来の低水準となっています。ただ、内訳のうち雇用部門に関しては51.4と前回から3ポイント改善し、好悪判断の境となる50も超えてきています。
同じく4日に発表された雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は11月末時点で1045.8万件。10月末の1051.2万件から若干の減少も市場予想の1000万件前後に比べると多くなっています。また、そもそも1000万件を超える件数がかなり高水準です。
 昨日発表された12月のADP雇用者数は前月比23.5万人増と、市場予想の15万人増前後を大きく超える高水準です。11月の数字も12.7万人から18.2万人に大きく上方修正された上での好結果となりました。

 今回12月の米雇用統計の予想はNFPが20万人増前後。失業率が3.7%で横ばいとなっています。前回から伸びが大きく鈍化も、水準的には弱いものではありません。コロナ前2019年までの5年間の平均は19.02万人 20万人は堅調な数字の目途となっている水準でした。また今週に入ってからの関連指標の軒並みの強さを受けて、市場予想を超える結果が出るとの思惑が直前になって広がっています。

 市場予想前後の数字となった場合、次回のFOMCについては0.25%利上げ見通しが大勢も、0.5%利上げ見通しが3割程度残るという状況に変化がなく、判断は米消費者物価指数次第となりそうです。一部の思惑通り強めに出た場合、次回FOMCでの0.5%利上げ維持期待が広がり、ドル買いとなりそうです。一方期待感が広がっている分、弱めに出た場合はドル売りの反応がかなり大きくなる可能性があります。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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