【来週の見通し】米物価鈍化傾向一服へ=米消費者物価指数

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【来週の見通し】米物価鈍化傾向一服へ=米消費者物価指数

 10日に7月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想通り0.25%の利上げを決めた7月25、26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「引き続きデータに依存した手法をとる」「入手するデータの全体像と、それらが経済活動とインフレ見通し及びリスクバランスに与える影響に基づき、会合毎に決定する」という従来姿勢を改めて示しました。
 直近の物価の鈍化傾向もあり、市場は7月のFOMCでの利上げ打ち止め期待を強めていますが、あくまでこの後のデータ次第という面が大きいです。米国のインフレターゲットはPCEデフレータでCPIではありませんが、CPIはPCEデフレータより2週間以上発表が早く、両者の変化傾向が似ていることから、市場は物価統計の中でCPIを最も重要視する傾向があります。特に今回の場合は、FRBの姿勢の変化や、将来的な利下げの目途を示す場になるのでは市場が期待しているジャクソンホール会議が24-26日に開かれることから、市場の注目度が高まっています。ちなみに7月のPCEデフレータは8月31日発表のためジャクソンホール会議後となります。

 前回6月の米CPIは前年比+3.0%と5月の+4.0%から伸びが大きく鈍化した。市場予想の+3.1%も下回った。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+4.8%と5月の+5.3%を下回る伸びに留まり、市場予想の+5.0%を下回りました。前月比は総合・コアともに+0.2%と、市場予想の+0.3%を下回りました。
 
 前年比の内訳を見ますと、エネルギー価格が-16.7%と大きく低下し、全体を押し下げました。なかでもガソリン価格は-26.5%の低下となっています。エネルギー価格は4か月連続、ガソリン価格は5か月連続でのマイナス圏。共に下落率は直近で最も大きくなりました。
 食品価格は+5.7%と全体よりも伸びていますが、伸び率は10カ月連続で鈍化しています。5月と比べると1.0%ポイントの大幅な鈍化です。
 食品とエネルギーを除いたコア部分で目立ったのが8カ月連続でマイナスとなった中古車の-5.2%。5月の-4.2%から下落率が大きくなりました。新車は+4.1%とプラス圏ながら5月の+4.7%から伸び率が鈍化しています。
 CPI全体を100としたとき34.7%を占める住居費は+7.8%と全体よりも伸びているものの、3カ月連続で伸びが鈍化しています。住居費、特に家賃は基本的に更新時のみの価格改定となる関係で全体の変化に対して遅行する傾向がありますが、住居費も今年3月をピークに低下に転じたと見られています。
 変化が特に大きかったのが輸送サービスの中の航空運賃で-18.9%。昨年9月、10月と+42.9%という上昇を見せた同部門ですが3カ月連続でマイナス圏となっています。
 衣料品や医療サービスといったその他の主要コク目も伸び鈍化が見られるなど、前回は総じてインフレ鈍化を印象付ける結果となっていました。

 7月28日に発表された米インフレターゲットの対象指標である6月の個人消費支出(PCE)デフレータは、前年比+3.0%と5月の+3.8%から大きく鈍化。市場予想とは一致しました。食品とエネルギーを除いたコア前年比は+4.1%とこちら5月の+4.6%から大きく鈍化。市場予想の+4.2%を下回りました。CPIに続いてPCEデフレータでも物価鈍化傾向が確認される形となりました。インフレターゲットの2%は依然大きく上回っていますが、今後のターゲットに向けた展開が期待される水準となっています。

 こうした状況を受けて今回のCPIですが、市場予想は前年比+3.3%と前回から伸びが強まるという見込みになっています。コア前年比は+4.8%と前回と同水準が見込まれています。物価鈍化傾向が一服し、少し反発する予想です。

 こちらはエネルギー価格特にガソリン価格の上昇見込みが背景にあります。今年の6月から7月にかけて米国のガソリン価格はEIA(米エネルギー情報局)調査による全米全種平均で前月比+0.8%と小幅ながら上昇。CPIの算出は都市部のみのデータとなるため、そのままイコールではありませんが同じく小幅な上昇が見込まれます。さらに比較対象元の2022年の数字が大きく違っています。昨年6月から7月にかけてガソリン価格は前月比-7.7%の大幅な低下となりました。5月から6月にかけてが+9.9%となったことと対照的です。前回に比べて低くなった価格からの比較で前年比を計算しますから、数字上は大きな伸びになる可能性が高いです。

 その他の項目は6月と大きな違いがないとの思惑から、コアは6月と同水準の伸びが見込まれています。ガソリン価格はある意味特殊事情ですから、予想前後であれば影響は抑えられると見られます。

 コア指数も全体同様に物価の上昇が見られた場合や、予想を超える上昇となった場合は、追加利上げ期待が再燃し、ドル高となる可能性があります。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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