プラチナ週間展望=軟調、予想以上の米経済指標が圧迫

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [1月15日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2024 年 12 月限  1 月 9 日〜 1 月 12 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金           9,535     9,553 ( 9)    9,376 ( 9)      9,502         -20
  銀           108.5     108.5 ( 9)    107.6 (12)      107.6        -0.9
 プラチナ       4,368     4,418 ( 9)    4,261 (12)      4,275         -95
 パラジウム     4,700     4,700 (12)    4,700 (12)      4,700        -300
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        12  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,051.6      +1.8   | ドル・円    145.12      0.21 円安
  銀       ( 3) 2,332.9      +1.4   | 日経平均  35,577.11     +2199.69
 プラチナ   ( 4)   921.1     -50.7   | NY原油 ( 2)  72.68        -1.13
 パラジウム ( 3)   978.50    -58.60  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 12日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待は行き過ぎとの見方が圧迫要
因、とした。
 プラチナは米労働市場の堅調や予想以上の米消費者物価指数(CPI)を受けて売り
優勢となった。現物相場は12月12日以来の安値908.50ドルを付けた。プラチ
ナ先限は12月18日以来の安値4261円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は
12月13日以来の安値969.92ドルを付けたのち、下げ一服となった。
 12月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比21万6000人増と、伸びは事
前予想の17万人増を上回った。時間当たり平均賃金は前年比4.1%上昇し、伸びは
前月の4.0%から加速した。失業率は3.7%で先月から横ばい。一方、12月の米
ISM非製造業総合指数は50.6と前月の52.7から低下し、昨年5月以来の低水
準となった。12月の米消費者物価指数(CPI)前年比3.4%上昇と前月の3.1
%から伸びが加速し、事前予想の3.2%上昇を上回った。米連邦準備理事会(FR
B)の3月利下げ確率が低下する場面も見られたが、CMEのフェドウォッチでは3月
から利下げを開始し、年末まで150ベーシスポイント(bp)利下げを織り込んでい
ることに変わりはない。米クリーブランド連銀のメスター総裁は、3月の連邦公開市場
委員会(FOMC)会合での利下げを検討するのは時期尚早との見解を示しており、米
金融当局者と市場の見方はかい離している。
 欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は、ユーロ圏が第4四半期に景気後退
(リセッション)に陥っていた可能性があると指摘し、先行きは依然厳しいと述べた。
最近急速に鈍化したインフレ率は今後、一時的に上昇する可能性が高いとの見方を示し
た。ECB理事会メンバーのブイチッチ・クロアチア中銀総裁は、今後数カ月で物価上
昇率が予想外に急低下した場合、早期の利下げもあり得ると語った。ラガルドECB総
裁は、金利はピークに達した可能性が高いと述べた。ただ金利が下がり始める正確な時
期については言えないとした。ECBの利下げ期待も強いが、利下げの時期は今後発表
される経済指標次第である。
【ロンドンのプラチナ・パラジウムETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、10日のロンドンで12.17トン
(前週末12.18トン)に減少、11日のニューヨークで30.87トン(同
30.87トン)、10日の南アで11.89トン(同11.89トン)と変わらずと
なった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.62トン(同3.64ト
ン)に減少、ニューヨークで6.00トン(同6.00トン)、南アで0.36トン
(同0.36トン)と変わらずとなった。ロンドンのプラチナ・パラジウムETFの残
高が減少した。予想以上の米経済指標を受けて手じまい売りが出た。一方、米商品先物
取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月2日時点のニューヨーク・プラ
チナの大口投機家の買い越しは2万9039枚(前週2万3662枚)、パラジウムの
売り越しは8155枚(同7801枚)に拡大した。
【中国経済の先行き懸念も自動車販売は好調】
 12月の中国の消費者物価指数は前年比0.3%低下(予想0.3%低下、前月
0.5%低下)、生産者物価指数は同2.7%低下(予想2.6%低下、前月3.0%
低下)とデフレが続いた。中国指導部は経営難に陥ったシャドーバンキング(影の銀
行)大手の中植企業集団について、昨年12月に破産させることを承認し、処理手続き
を進めた。金融リスクの波及を防ぐためだが、投資家のセンチメントを悪化させるリス
クが残っている。一方、中国汽車工業協会は、2023年の中国の新車販売台数は前年
比12.0%増の3009万4000台となり、世界で初めて3000万台を超えたと
発表した。乗用車は同10.6%増の2606万3000台、商用車は同22.1%増
の403万1000台となった。上海プラチナの出来高は年初から伸び悩んでおり、ど
の水準で安値拾いの買いが入るかを確認したい。
当面の予定(イベント・経済統計)
15日 ●米国(ルーサーキング牧師の誕生日)
    ユーロ圏鉱工業生産 2023年11月(EUROSTAT)
    ユーロ圏貿易収支 2023年11月(EUROSTAT)
16日 企業物価指数 2023年12月(日本銀行)
    英雇用統計 2023年12月(国立統計局)
    独消費者物価指数 2023年12月確報(連邦統計庁)
    独景況感指数 2024年1月(ZEW)
    米製造業景況指数 2024年1月(ニューヨーク連銀)
17日 中国住宅価格指数 2023年12月(国家統計局)
    中国国内総生産 2023年10-12月期(国家統計局)
    中国小売売上高 2023年12月(国家統計局)
    中国鉱工業生産 2023年12月(国家統計局)
    英消費者物価指数 2023年12月(国立統計局)
    ユーロ圏消費者物価指数 2023年12月確報(EUROSTAT)
    米小売売上高 2023年12月(商務省)
    米輸出入物価指数 2023年12月(労働省)
    米鉱工業生産・設備稼働率 2023年12月(FRB)
    米企業在庫 2023年11月(商務省)
    米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
18日 機械受注 2023年11月(内閣府)
    ユーロ圏国際収支 2023年11月(ECB)
    米住宅着工・許可件数 2023年12月(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2024年1月(フィラデルフィア連銀)
19日 消費者物価指数 2023年12月(総務省)
    独生産者物価指数 2023年12月(連邦統計庁)
    英小売売上高 2023年12月(国立統計局)
    米消費者信頼感指数 2024年1月速報値(ミシガン大)
    米中古住宅販売統計 2023年12月(全米不動産協会)
    対米証券投資 2023年11月(財務省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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