<金> NY金4月限は2050ドル前後での膠着状態が続いている。1月30〜31日に開 催された米公開市場委員会(FOMC)後に早期利下げ観測が後退して値を落とした が、2030ドル台まで値を落とすと買い戻され、下値堅く推移した。 米連邦準備理事会(FRB)が利下げを実施に向けて前進する条件の一つとなるのが タイトな雇用情勢の緩和だが、今月2日に発表された1月の米雇用統計は非農業部門の 雇用者数の前月比が事前予想の18万人増を大幅に上回る35万3000人増となり、 米雇用情勢にタイト感が残っている状況が示された。 雇用統計に先立ち発表された米労働省のJOLTS求人件数は12月の求人件数は 11月時点の879万人から871万人に減少するとの事前予想に反し、902.6万 人増加していたことが明らかになったが、11月までは減少傾向にあった求人件数が増 加に転じ、依然としてコロナ禍以前の水準を上回っていることは、タイトな雇用情勢が 今後も賃金に上昇圧力をかけ続ける可能性があることを示唆している。 米消費者物価指数(CPI)が低下傾向を維持しているうえ、米個人消費支出(PC E)デフレーターはFRBの目標インフレ率の達成が近づいている可能性を示している が、雇用情勢が落ち着きを見せるまでは利下げ着手に動く可能性は低いと見られる。 一方で高金利環境の長期化に伴う米国の財政悪化に対する警戒感が強まっているう え、高金利とコロナの影響によるテレワークの普及により商業用不動産向け融資債権で 損失を抱えた地方銀行の経営不安も浮上している。 パレスチナや中東など地政学が台頭していることも逃避用としての金需要を支える要 因になると見られるため底意も強い。引き続き2050ドルを前後する足取りになると 予想される。 <銀> NY銀3月限は2月上旬に金に連動して値位置を落とした後も逃避買い需要の弱さか ら下値を探る足取りが続いていたが、1月23日の低水準に近づいたところで買い戻さ れている。 ただ、銀を巡る環境が好転したわけではないため、8日の大幅高はこれまでの下落の 後の反動高にとどまると見られる。金の頭重い足取りが想定されることから、2300 セントに近づくと上値を抑制される展開となりそうだ。 <白金> NY白金4月限は7日に大きく値を崩してそれまで下値支持線となっていた900ド ルを割り込んだ。続く8日には昨年11月14日以来の水準まで値を落とした後に買い 拾われているが、900ドル台回復に至らないなど、上値の重さが窺われる足取りとな っている。 中国の景気不安に加え、米利下げ観測後退に伴うドル買いの動きが重石になってい る。チャート面の悪化もあって上値は抑制されそうだ。目先は21日移動平均線 (911.6ドル)を抵抗線にして安値圏で値固めの場面となるか。本格反発は中国の 春節が終わり、19日のプレジデンツ—デー明けの20日以降か。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は8日に大きく値を落として860ドルを記録。独自の需給の 弱さに白金市場の頭重い足取りが意識されるなか売り優勢で運ばれている。この下落で 白金とパラジウムの価格関係が逆転に転じており、パラジウムの割安感が強まる可能性 がある。 ただ、米利下げ観測後退に伴うドル買いの動きが重石となっていることもあって戻り は限られそうで、900ドルを下回る水準での往来継続が見込まれる。 MINKABU PRESS
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