ドル円が155円台に上昇 介入警戒の中で上にレベルシフトするか注目=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円が155円台に上昇 介入警戒の中で上にレベルシフトするか注目=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は155円台に上昇。介入警戒感もある中で155円台に入ると利益確定売りも出ていたが、ロング勢の上値追い意欲も根強く、155円台を維持した。米国債利回りが上昇していたこともドル円をサポート。

 明日は第1四半期の米GDP速報値の発表があり、予想はプラス2.5%と、強かった第4四半期からは伸び鈍化が見込まれているものの、個人消費はプラス3.0%が予想されており、利下げ期待を遠のかせる力強い米経済を示すことが期待されているようだ。

 財務省による介入警戒感の中で、米GDPや金曜日のPCEデフレータを経て、ドル円は155円台を固めて上にレベルシフトして行くのか注目される。

 先週の日米韓財務相会合で、「通貨安を巡る日本と韓国の深刻な懸念を認識しつつ為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」との共同声明を発表していた。G7財務相会合でも、為替の過度な変動は経済に悪影響を与えるとしたコミットメントを再確認。

 それらを受けて市場では、155円を超えると財務省がいつ介入してもおかしくないとの警戒感が広がっている。本日は介入が観測されていなかったが、明日以降の展開が注目される。

 明日から日銀決定会合が開催され、金曜日に結果が発表されるが、日銀が将来の利上げの可能性をほのめかし、円買いを誘導するといった見方も一部には出ているようだ。ただ、日銀が細かい策を労しても、財務省が介入しても、ドル円の下落は恐らく一時になりそうだ。FRBの利下げ期待が復活しない限り、潮の流れは変わらない。

 いずれにしろ、いまは米国のインフレが本格的に落ち着くのを待つしかないようだ。FRBも本音では利下げをしたがっているとの見方も出ている。高金利をあまり長期間放置すると、景気が急速に失速する危険性があることや、金融機関および商用不動産の信用状況も気掛かりなところではある。

 ユーロドルは戻り売りが優勢となり、一時1.06ドル台に値を落としたものの終盤には買い戻された。ECBによる6月の利下げが確実視されているが、その後についてナーゲル独連銀総裁が「金利軌道にコミットできない」との考えを示していた。

 この日は4月調査分のドイツIfo景況感指数が発表になっていたが、予想を上回っていた。一部からは、前日のドイツPMIと伴に今週のドイツの景況感指標は、同国の経済活動が底を打ったという明確な兆候が含まれているとの指摘が出ている。

 ドイツ経済はサービス部門によって支えられている一方、設備投資の低迷、建設業の小康状態、輸出環境の低迷によって製造業はなお後退局面にある。それでも、消費者の実質的な購買力と労働市場の回復力がサービス業を支え、利下げ期待と世界的な在庫動向が製造業への期待を支えているという。そのため、年後半のドイツ経済は全体的に改善するだろうと分析している。

 ポンドドルは1.24ドル台前半に一時値を落としたものの、終盤に買い戻される展開となった。ただ、ここに来て英中銀の早期利下げ期待が高まっており、早ければ6月との見方も出ている。市場での織り込みの確率は40%程度。8月であればほぼ完全に織り込んでいる。

 利下げに前向きとも思われているベイリー総裁も、英中銀はFRBよりも先に利下げに踏み切る可能性を示唆していた。そのような中、ポンドドルの上値は依然重いようだ。

 前日に3月の英公共部門純借入額が発表になり、110億ポンドと予想を上回っていた。ただ、それにもかかわらず、英政府は減税を躊躇わない可能性があるとの指摘が出ている。予想を上回る借入額はハント財務相の余力を奪うようだが、年内にも予定されている総選挙に向けて与党への支持獲得のために、今秋にも減税を発表する可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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