プラチナ週間展望=堅調、米FRBの9月利下げ見通しが支援

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [9月2日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  6 月限  8 月 26 日〜 8 月 30 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          11,707    11,832 (30)   11,629 (26)     11,753         +41
  銀           139.0     139.0 (26)    19.0 (26)       137.1        -1.9
 プラチナ       4,468     4,542 (27)    4,330 (29)      4,405         -69
 パラジウム     4,400     4,500 (30)    4,400 (26)      4,500        +100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        30  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 2,527.6     -18.7   | ドル・円    144.93      0.78 円高
  銀       (12) 2,914.3    -111.3   | 日経平均  38,647.75       +283.48
 プラチナ   (10)   932.2     -33.9   | NY原油 (10)  73.55         -1.28
 パラジウム (12)   962.80    +17.60  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 30日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米金融当局者が9月利下げを支持したことが支援要因、とした。
 プラチナはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が9月利下げを示唆したことが
支援要因になったが、月末を控えてドル高に振れたことに上値を抑えられた。現物相場
は7月18日以来の高値980.97ドルを付けたのち、上げ一服となった。プラチナ
先限は15日以来の安値4334円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は7月12
日以来の高値990.00ドルを付けた。
 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はジャクソンホール会議の講演で、雇用へ
の下振れリスクが高まったとし、インフレが米FRBの目標である2%に向かいつつあ
る中、政策を調整する「時期が来た」と述べた。市場では、9月の利下げが明確に示唆
されたと受け止められた。一方、米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、インフ
レ鈍化が自身の予想より速く、失業率が想定以上に上昇する中、利下げに動く時かもし
れないが、実際に踏み切る前に確信を得たいと述べた。9月17〜18日の米連邦公開
市場委員会(FOMC)を控えて米雇用統計と2つのインフレ統計で確認したいと述べ
た。米金融当局者の9月利下げを支持する発言が目立つが、今後発表される経済指標を
引き続き確認したい。
 第2四半期の米国内総生産(GDP)改定値は前期比3.0%増と、速報値の2.8
%増から上方改定された。堅調な個人消費が堅調だったことに加え、企業利益も回復
し、景気拡大の持続に寄与する可能性がある。景気減速懸念が後退し、米連邦準備理事
会(FRB)の9月大幅利下げの可能性が低下した。米新規失業保険申請件数は、前週
比2000件減の23万1000件と事前予想の23万2000件をわずかに下回っ
た。一方、7月の米中古住宅販売仮契約指数は前月比5.5%低下の70.2と、
2001年の統計開始以来最低となった。価格上昇と金利の高止まりにより、潜在的な
購入者が市場から遠ざかっていることを示唆した。事前予想は0.4%上昇。30日に
は7月の米個人消費支出(PCE)価格指数、9月6日には8月の米雇用統計の発表が
ある。
【プラチナ・パラジウムETF残高は横ばい】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、28日のロンドンで21.08トン
(前週末21.08トン)、29日のニューヨークで32.05トン(同32.05ト
ン)、28日の南アで11.21トン(同11.21トン)と変わらずとなった。また
パラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.20トン(同4.20トン)、ニュー
ヨークで9.19トン(同9.19トン)、南アで0.33トン(同0.33トン)と
変わらずとなった。プラチナ・パラジウムETF残高は軒並み横ばいとなった。米連邦
準備理事会(FRB)の利下げ見通しが支援要因だが、模様眺めの動きとなった。一
方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月20日時点のニ
ューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万4826枚(前週1万1939
枚)、パラジウムの売り越しは1万2265枚(同1万2224枚)に拡大した。
【中国の工業部門企業利益増加もカナダ関税やオランダ半導体制限】
 7月の中国の工業部門企業利益は前年比4.1%増と、前月の3.6%増から伸びが
加速した。中国の景気回復はさえない内需に圧迫されているものの、ハイテク製造業が
好調だった。リチウムイオン電池や半導体、関連機器を含むハイテク製造業の利益が1
〜7月に12.8%増加した。ただカナダのトルドー首相は26日、中国から輸入する
電気自動車(EV)に対して100%の関税を課すと発表した。米国や欧州連合(E
U)の動きに足並みをそろえる。中国製の鉄鋼とアルミニウムについても25%の関税
を課す方針を示した。同首相は、中国などの非市場志向の慣行に関し、半導体や太陽電
池への関税など追加の制裁措置を検討していると明かしたが、詳細な説明はなかった。
またオランダ政府は同国の半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングが中国で
半導体装置の修理およびメンテナンスを行うことを制限する計画である。中国でのサー
ビスおよびスペアパーツ提供に関するASMLの一部ライセンスが今年末に失効した
後、更新しない可能性が高いという。
当面の予定(イベント・経済統計)
2日 ●米国、カナダ(勤労感謝の日)
   中国製造業購買担当者景況指数 2024年8月(財新)
   ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年8月確報(Markit)
3日 米建設支出 2024年7月(商務省)
   米製造業景況指数 2024年8月(ISM)
4日 中国サービス業購買担当者景況指数 2024年8月(財新)
   ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年8月確報(Markit)
   米貿易収支 2024年7月(商務省)
   米耐久財受注 2024年7月確報値(商務省)
   米製造業新規受注 2024年7月(商務省)
   政策金利発表(カナダ銀行)
5日 独製造業受注 2024年7月(経済技術省)
   ユーロ圏小売売上高 2024年7月(EUROSTAT)
   全米雇用報告 2024年8月(ADP)
   米新規失業保険申請件数(労働省)
   米非製造業景況指数 2024年8月(ISM)
6日 全世帯家計調査・消費支出 2024年7月(総務省)
   独貿易収支 2024年7月(連邦統計庁)
   独鉱工業生産指数 2024年7月(経済技術省)
   ユーロ圏国内総生産 2024年4-6月期確報(EUROSTAT)
   米雇用統計 2024年8月(労働省)
   建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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