【来週の注目材料】米FOMCを目前にして米消費者物価指数に注目

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 今月19日、20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、11日に8月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されています。
 米FRBの2大命題(デュアルマンデート)が物価の安定と雇用の最大化。物価の安定がなければ、大幅な利下げは難しいだけに注目が集まるところです。
 
 前回7月のCPIは前年比+2.9%と4カ月連続で物価が鈍化。2021年4月以来の3%割れとなりました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.2%とこちらも4カ月連続の鈍化となりました。前月比は+0.2%と6月の-0.1%から上昇、コア前月比は0.2%とこちらも6月の+0.1%を上回る伸びとなりました。市場予想は前年比が+3.0%、同コア前年比が+3.2%、前月比が+0.2%、コア前月比が+0.2%となっており、全体の前年比がやや低かったほかは予想通りでした。

 前年比の内訳をみますと、ガソリン価格の低下(-2.2%)を受けて、エネルギー全体も+1.1%と低い伸びとなりました。コア部門では自動車の低下が強まっており、新車が-1.0%(6月-0.9%)、中古車は-10.9%(6月-10.1%)と厳しい状況が続いています。中古車は2023年3月以来の下落率です。CPI全体を100としたとき36.2%を占める大きな項目である住居費は+5.1%となり、6月の5.2%からは鈍化も、かなりの高水準。医療サービスが3.3%と6月と同水準で全体よりも強めの伸びを維持。自動車保険が+18.6%と6月の+19.5%からは鈍化もかなり高い水準ということもあり、同部門を含む輸送サービスが+8.8%となっています。

 こうした状況を受けて、今回の予想ですが、前年比+2.6%の大幅鈍化見込みとなっています。もっともコアは+3.2%と横ばい見込みです。
 米国ではガソリン価格が7月から8月にかけて低下しました。米エネルギー庁エネルギー情報局(EIA)調査での全米全種平均の小売価格は7月の1ガロン当たり3.600ドルから3.507ドルへ2.6%の低下となりました。なお、2023年は7月の3.712ドルから3.954ドルに上昇。EIAの数字は全米平均のため、都市部平均のCPIとは若干異なりますが、EIAベースでは7月の前年比-3.01%から8月は-11.3%まで低下しています。こうした変化がCPIを大きく押し下げるとみられています。

 ただガソリン価格の変化は需給だけでは決まらないため、どこまで意識するべきかは微妙なところです。コアが横ばいということを重視する必要があるかもしれません。コアの鈍化がみられるようだと、大幅利下げ期待を後押しし、ドル売りにつながる可能性があります。

MINKABUPRESS 山岡

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