石油週間見通し=さらに戻すか否か、中国需要懸念重視なら戻り売りの可能性

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は1.618倍押しから戻す展開。10
月限は20日に納会を迎えるため、11月限に指標限月が移行するが、目先は戻り高値
がどこまであるのかが注目される。日柄的には18日が満月となるため、その辺りでひ
とまず戻り高値を付ける展開も想定しておきたいとした。

【NY原油は38.2%戻し達成】
 ニューヨーク原油11月限は19日に71.53ドルの戻り高値を付けた。これで7
月5日の高値81.75ドルから9月10日の安値64.61ドルまでの下げ幅に対し
38.2%戻しの71.16ドルを達成したことになり、目先はさらに戻して半値戻し
の73.18ドルを達成できるのか、あるいは38.2%戻しでひとまず反落するのか
が注目される。18日にFOMCの声明文公表と満月が重なったことで、前回の当欄で
はこの辺りを戻り高値を付ける時間帯と見ていたが、その是非は目先数日間の値動きで
判断できそうだ。

 材料的には、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文公表で0.50%
の大幅利下げが示されたことや、ヒズボラの戦闘員が所持していたポケットベルが一斉
に爆発するなど、中東情勢が再び緊迫化していることに支援された。ただ前者はウォー
ルストリート・ジャーナルの記事などで事前に予想されていたこともあり、インパクト
が軽減された感があり、後者もそこまで強気を囃すような材料とはなっていない。
 中期的に見れば、米国は今年末から来年にかけて追加利下げ観測もあり、また大統領
選挙年で、米株高が誘導されやすい背景も考えると、原油にとっては下支え要因となる
だろう。

 ただ一方でこのところ何度か記しているように、世界最大の原油輸入国である中国の
需要懸念は根強い。8月の同国原油処理量は日量1396万バレルと、前年同月比
6.2%減となり、これで5カ月連続で前年同月を下回っている。また今年の累計でも
前年同期を1.2%下回っている。
 もっとひどいのは、8月の同国の石油製品輸出で前年同月比44%減となった。9月
に入って石油会社が2社倒産したことも報じられている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万2000ドル台に乗せて過去最
高値を更新する展開。
 ドルインデックスは、18日のFOMC後に一時100ポイント台を割り込んだ後、
101ポイント再びに乗せるなど乱高下したが、再び100ポイント台前半まで下落し
てドル安基調となっており、再び100ポイントの節目を試す可能性が出てきている。
 原油にとっては、米株高にドル安と追い風が続いている。

【インド、ロシア産原油購入意欲強いがウクライナへの武器供給で影響も】
 現在、中国とともにロシア産原油の二大輸入国になっているインドだが、同国のプー
リー石油・天然ガス相が17日、同国が安価なロシア産原油の購入を今後も継続する方
針であることを示した。
 ただロイター通信の19日の報道によると、欧州企業がインドの軍需企業から購入し
た砲弾や弾薬がウクライナに供給されていることが明らかになり、これについてロシア
政府がインド側に抗議しており、これがロシア産原油のインドへの輸入に影響する可能
性も出てきている。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である2月限は12日の安値5万8250円からの反発基調。20
日には6万3700円の戻り高値を付けた後に1000円弱上げ幅を削り、21日移動
平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(6万3690円)を上値抵抗として日足
はトンカチとなり、目先の天井を示唆した。
 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばいが続いている。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油11月限は10日の64.61ドルを安値に19日には71.53
ドルまで戻り高値を更新して、ボリンジャーバンドの中心線(70.38ドル辺り)を
上回った。

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