ドル円は152円台に下落 FOMCへの反応限定的 利下げペースより不透明に=NY為替概況 きょうの為替市場はドルの戻り売りが強まり、ドル円は152円台に下落。米大統領選でトランプ氏が勝利したことで前日はドル買いが強まったが、やり過ぎとの批判もあり、過熱感も指摘されている。ファンダメンタルズからは、ここまでドルが買われる理由もなく、期待先行との冷やかな見方もあるようだ。これまでのトランプトレードでドルロングがかなり積み上がっている面もあり、目先は利益確定の動きも留意される。ただ、基本的にはドル高の流れに変化はないと見られている。 午後にFOMCの結果が公表。市場の予想通りに0.25%ポイントの利下げを発表したが、市場は12月のヒントを探していた。その意味でも声明やパウエル議長の会見に注目していたが、声明文からは「インフレが持続的に2%に向かっているというより大きな確信」という一行が削除され、「雇用の伸びは減速している」との文言も削除された。ただ、「リスクはおおむね均衡」との文言は維持されている。 FRBはインフレ再加速をまだ懸念していないことを示唆しているものの、これまでのように利下げに前向きな雰囲気は後退させている印象もあり、今後はすべてオープンとの姿勢を強調していたようにも思われる。 パウエルFRB議長も今後も会合ごとに決定を下す意向を示し、入ってくるデータに柔軟に対応する用意があることを示唆していたのかもしれない。今回のFOMCを受けて短期金融市場でも、12月の利下げ確率が五分五分になっており、今後の利下げペースはより不透明になったようだ。 なお、トランプ氏について議長は、要求されても議長は辞任しない意向を示していた。財政政策やその他については予想通りに具体的な言及を避けている。為替市場の反応は限定的に留まった印象。 ユーロドルは買い戻しが強まった。前日は特にユーロドルは急速に下落。一時1.06ドル台まで急落する場面も見られていた。さすがに下げ過ぎ感も出ているようだ。ただ、来年のトランプ政権の復活で欧州経済が打撃を受けるとの見方が広がっている。そのため今回の利下げサイクルにおけるECBの利下げ幅は、これまでの想定以上に大きくなるとの見方がエコノミストから出ている。 従来は、今回の利下げサイクルのターミナルレート(最終到達点)は2.00-2.50%を想定していたが、それを0.75%ポイント下方修正し、1.25-1.75%を想定しているようだ。来年4月までの全理事会で0.25%ポイントずつ引き下げ、その上で6月と7-9月、10―12月にも追加利下げを行う可能性があるという。トランプ次期政権による関税導入の可能性を考慮したとしている。 ポンドドルは買い戻しが強まり、一時1.30ドル台を回復。ドルの戻り売りもさることながら、この日の英中銀の政策委員会(MPC)の結果もポンドを押し上げた。英中銀は予想通りに政策金利を0.25%ポイント引き下げたが、追加利下げには慎重姿勢も垣間見せた。 英中銀は、リーブス英財務相が提示した予算案がインフレを最大0.5%ポイント押し上げる可能性があると警告したほか、ベイリー総裁は声明で「インフレを目標付近で確実に維持する必要があるため、あまりに急激な、あるいは大幅な利下げはできない」と表明している。 本日のMPCを受けて市場は、今回が今年最後の利下げであると受け止めたようだ。短期金融市場では12月の利下げの確率を15%程度と、決定前の25%からさらに後退させている。また、来年の利下げ予想も後退させており、あと2回の利下げは完全に織り込んでいるものの、3回目については50%程度の確率でしか織り込めていない。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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