プラチナ週間展望=調整局面、ドル高も株高や中国の刺激策が下支え

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月11日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  8 月限  11 月 5 日〜 11 月 8 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          13,511    13,624 ( 6)   13,184 ( 7)     13,239        -316
  銀           161.3     161.3 ( 5)    155.5 ( 8)      158.0        -4.0
 プラチナ       4,814     4,911 ( 8)    4,772 ( 7)      4,848         +26
 パラジウム     5,300     5,300 ( 5)    5,100 ( 8)      5,100        -500
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         7  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12)  2,705.8    -43.4   | ドル・円    152.70      0.22 円安
  銀       (12)  3,185.5    -82.6   | 日経平均  39,500.37     +1446.70
 プラチナ   ( 1)    999.1     -3.8   | NY原油 (12)  72.36        +2.87
 パラジウム (12)  1,020.70   -88.10  |* ドル・円は15時15分現在、原油は  7日
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【前週のレビュー】
 プラチナは金急落も米利下げ見通しが下支え、とした。
 プラチナは米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利し、インフレ懸念から
ドル高に振れたことが圧迫要因になったが、株高や米連邦公開市場委員会(FOMC)
で利下げが決定されたことが下支えになった。現物相場は10月10日以来の安値
963.90ドルを付けた。プラチナ先限は10月18日以来の安値4778円を付け
た。一方、パラジウムの現物相場は10月17日以来の安値1018.80ドルを付け
た。
 米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利した。追加関税や減税、移民抑制
を公約に掲げており、インフレ懸念から米国債の利回りが上昇し、ドル高に振れた。ま
た減税や規制緩和への期待感から米主要株価3指数が最高値を更新した。格付け会社S
&Pグローバルは、輸入品に一律10%、中国製品に60%の関税を課すとした公約
は、交渉の出発点に過ぎない可能性が高いとの見方を示した。一律10%の関税は米国
のインフレ率を1.8%ポイント押し上げ、生産を1%ポイントほど押し下げるとし
た。またトランプ前大統領は米国第一主義を掲げ、戦争を終わらせ、アメリカの資金流
出を食い止めるとしている。中東ではイランに対する厳しい制裁を課し、イスラム組織
ハマスへの資金供給を断ち、イスラエルとの戦闘をやめさせる可能性がある。ウクライ
ナについては、ロシアとの和平交渉を始めるべきと主張しており、北大西洋条約機構
(NATO)にも影響が及ぶとみられている。欧州の金融当局者は世界経済の下振れリ
スクを指摘しており、トランプ前大統領の発言と政策見通しを確認したい。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
0.25%ポイント引き下げ、4.50〜4.75%とした。12月の米FOMCでも
利下げが見込まれている。ただ声明では、インフレが持続的に2%に向かいつつあるこ
とに関して「自信を深めている」との文言が削除された。10月の米雇用統計による
と、非農業部門雇用者数は前月比1万2000人増と市場予想の11万3000人増を
大幅に下回り、2020年12月以来の最小の伸びとなった。失業率は4.1%で前月
と変わらず。イングランド銀行も政策金利を5.00%から4.75%に引き下げるこ
とを決定した。ベイリー総裁は声明で、「目標に近いインフレ水準を維持するため、早
急な、あるいは大幅な金利引き下げはできない」と指摘した。
【ロンドンのプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、6日のロンドンで17.11トン(前
週末17.01トン)に増加、7日のニューヨークで33.43トン(同33.45ト
ン)に減少、6日の南アで11.38トン(同11.38トン)と変わらずとなった。
またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.07トン(同4.07トン)と変
わらず、ニューヨークで13.30トン(同12.91トン)に増加、南アで0.24
トン(同0.24トン)と変わらずとなった。ロンドンのプラチナETF残高やニュー
ヨークのパラジウムETF残高が増加した。押し目買いが入った。一方、米商品先物取
引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月29日時点のニューヨーク・プ
ラチナの大口投機家の買い越しは3万5543枚(前週3万4876枚)に拡大、パラ
ジウムの売り越しは2453枚(同5080枚)に縮小した。
【10月の中国の輸出は約2年ぶりの大幅な伸び】
 10月の中国の財新サービス業購買担当者指数(PMI)は52.0と前月の
50.3から上昇した。事前予想の50.5も上回った。「市場の改善に伴い、需要と
供給は引き続き拡大した」とされた。10月の中国の輸出は前年比12.7%増と前月
の2.4%増、事前予想の5.2%増を大きく上回り、約2年ぶりの大幅な伸びとなっ
た。ただ米国の関税引き上げに備え、駆け込み的に輸出が膨らんでいることが指摘され
た。一方、輸入は2.3%減と4カ月ぶりにマイナスに転じた。事前予想の1.5%減
を下回り、内需の弱さを示した。これまでに発表された景気刺激策に加え、米大統領選
挙でトランプ前大統領が勝利したことから、全国人民代表大会(全人代)常務委員会で
財政刺激策がさらに拡大されるとみられている。ただ内需の回復が遅れており、先行き
不透明感が残っている。また欧州の金融当局者は世界経済の下振れリスクを指摘した。
当面の予定(イベント・経済統計)
11日 ●仏(第一次大戦休戦記念日)、米(退役軍人の日)、加(戦没者追悼日)
    国際収支(経常収支) 2024年9月(財務省)
12日 英雇用統計 2024年10月(国立統計局)
    独消費者物価指数 2024年10月確報(連邦統計庁)
    独景況感指数 2024年11月(ZEW)
13日 企業物価指数 2024年10月(日本銀行)
    ユーロ圏鉱工業生産 2024年9月(EUROSTAT)
    米消費者物価指数 2024年10月(労働省)
    米財政収支 2024年10月(財務省)
14日 英国内総生産 速報値 2024年7-9月期(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2024年9月(国立統計局)
    ユーロ圏域内総生産 2024年7-9月期改定(EUROSTAT)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米生産者物価指数 2024年10月(労働省)
15日 国内総生産 2024年7-9月期1次速報 (内閣府)
    中国住宅価格指数 2024年10月(国家統計局)
    中国小売売上高 2024年10月(国家統計局)
    中国鉱工業生産 2024年10月(国家統計局)
    米小売売上高 2024年10月(商務省)
    米輸出入物価指数 2024年10月(労働省)
    米製造業景況指数 2024年11月(ニューヨーク連銀)
    米鉱工業生産・設備稼働率 2024年10月(FRB)
    米企業在庫 2024年9月(商務省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

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