ドル円、156円台を回復 パウエル講演で再び買い強まる=NY為替概況 きょうのNY為替市場、終盤に入ってドル円は再び買いが強まり156円台を回復した。終盤になってパウエルFRB議長の講演が伝わり、ドル高の反応を強めている。議長は「利下げを急ぐ必要性を示す経済状況ではなく、慎重に決断を下すことができる」と述べた。また、「政策はより中立的な設定に移行している」とも語った。 これを受けて市場は12月利下げの期待を再び後退させており、OIS市場では利下げの確率が50%を割り込んだほか、CMEのフェドウォッチでも60%程度まで利下げの確率が低下している。FRBは先週のFOMCで中立でオープンな姿勢を強調していたが、本日のパウエル議長の講演は改めてその姿勢を再確認する内容となっている。 ただ、トランプトレードも一服する中、上値での戻り売り圧力も強まっており、積極的に上値を追う雰囲気もなさそうだ。ドル円は155-160円ゾーンへのレベルシフトが見られ、日本の当局の介入が警戒され始めているが、それには懐疑的な見方も出ている。ドルに対して下落しているのは円だけではなく、それ以上にユーロも下落している。今月に入って円は約2.5%の価値を失っているが、トランプ氏が大統領選に勝利して以来、G10の通貨はすべて下落しており、実際に円の下落は一部の欧州通貨の下落に比べれば取るに足らない状況だという。 また、日本の当局者にとって重要なのは水準よりもペースで、1カ月間の円の実質的なボラティリティは比較的穏やかで、過去の為替介入の事例でみられた水準よりも遥かに低い状況にあるとも指摘している。 ユーロドルは一時1.05ドルを割り込んだ後、NY時間に入って買い戻しが出ていたが、パウエル議長の講演を受けて再び下落する展開。下向きの流れに変化はなく、ECBの利下げ加速の見通しでユーロドルは1.0450ドルを試しに行くとの声も出ている。市場はECBが12月に0.25%ポイントの利下げを実施すると見込んでいるが、徐々に大幅利下げ観測も増えつつあるようだ。 短期金融市場では0.25%ポイントは確実、0.50%ポイントの大幅利下げを25%程度の確率で織り込み始めている。 ポンドドルも1.27ドル台に買い戻されていたものの、再び1.26ドル台半ばに下落する展開。ロンドン時間には一時1.26ドル台前半まで下落し、8月安値をブレイクしていた。本日はタカ派で知られるマン英中銀委員の講演が伝わっていたが、利下げに慎重な姿勢を堅持している。「待つことはインフレリスクを認識するための時間」と述べている。 東京時間の朝に英国王立公認鑑定士協会(RICS)が10月の英住宅販売と価格指数を発表していたが、住宅販売は2021年以来の高水準となっていた。リーブス英財務相が金融市場を動揺させた予算発表直前に過去3年以上で最高となった格好。ストラテジストからは、「英住宅市場の改善は英中銀の緩やかな利下げサイクルを正塚している」との指摘も出ていた。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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