石油週間展望=下振れ後に戻してWボトム含みも支援材料難の感

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [11月18日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     11 月 11 日〜 11 月 15 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   80,000    80,000(11)    80,000(11)   80,000        ±0
灯  油  先限   81,000    81,000(11)    80,000(11)   80,000       ±0
原  油 4月限   68,250    68,310(15)    65,800(14)   67,100     -1,260
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                                        11 月 11 日〜 11 月 14 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値      安 値     終値   前週末比
  NY原油  1 月限     69.99    70.30(11)    66.80(13)  68.53    -1.58
ブレント原油  1 月限     73.85    74.13(11)    70.72(13)  72.56    -1.31
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8日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 152.70 前週末比 0.22円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油は、石油輸出国機構(OPEC)プラスの減産縮
小延期の合意、米大統領選挙、米連邦公開市場委員会(FOMC)などビッグイベント
が重なったこともあって、思惑が交錯した印象が強いが、直近は戻り高値を更新してき
ているため、目先はどこまで上値を伸ばすのが焦点となりそうだとした。

【NY原油は下振れ後に戻す】
 ニューヨーク原油は前回の予想に反して反落する展開。12月限は20日に納会する
ために1月限が指標限月となるが、1月限は7日の戻り高値72.41ドルから大きく
崩れて、13日には66.80ドルの安値を付けたが、直近はV字型の切り返しとな
り、14日には69.24ドルの高値を付けた。現状は10月29日の安値66.32
ドルと前述の13日の安値でダブルボトムを付け形となっており、チャート上はネック
ラインである72.41ドルが目先の上値目標となる。なお本稿執筆時点の15日の午
後には67ドル台後半で推移している。

 材料的には、下落局面では8日に発表された中国の全人代での景気刺激策に対する失
望感が続くなか、12日の石油輸出機構(OPEC)の月報で、世界石油需要見通しの
伸びが下方修正されるなど需給緩和見込みが示されたことに圧迫された。また安値から
戻す場面でも、14日の国際エネルギー機関(IEA)の月報が弱材料視されて上値が
抑えられた。一方、米国内の石油製品需要が予想以上に強いことが強材料となった。た
だドル高基調などを考慮すれば、現状では強材料不足の感は否めない。

 産油国側のニュースとしては、直接、原油相場に影響することはないとみられるが、
米ウォールストリート・ジャーナルによると、ロシアは最大の石油会社である国営のロ
スネフチ、半官半民のガスプロムの子会社であるガスプロムネフチ、民間会社のルクオ
イルの3社を統合することを計画しているという。
 仮に統合した場合、サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコに次ぐ世界第2
位の石油会社となる。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値水準から反落している
が、依然として高値圏でのもみ合いの範疇での値動き。
 ドルインデックスは戻り高値を更新する展開が続き、ドル高が大きく進展している。
直近は107ポイント手前まで上昇した。

【来年の世界石油需給、日量100万バレル以上の供給過剰へ=IEA月報】
 統計物では、12日に発表されたOPEC月報では、今年の世界石油需要見通しの伸
びが前年比日量182万バレルと、前月の同193万バレルから、来年の世界石油需要
見通しの伸びも同154万バレルと、前月の同164万バレルからそれぞれ下方修正さ
れた。
 一方、14日のIEA月報では、今年の世界石油需要見通しの伸びが同92万バレ
ル、来年の世界石油需要見通しの伸びが99万バレルと、OPEC見込みよりかなり低
いが、来年はOPECが減産政策を維持した場合でも同100万バレル以上の供給過剰
になるとの見通しが示された。

【米国の原油と石油製品在庫、5月以来の低水準】
 米国内に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報によると、原油在
庫は前週比208万9000バレル増の4億2975万バレルと増加したが、製品在庫
はガソリンが同440万7000バレル減の2億0687万バレル、留出油が同139
万4000バレル減の1億1442万バレルと、ともに減少した。原油と石油製品在庫
の合計は5月以来の低水準となっている。また、石油製品需要の4週間移動平均は日量
2080万3000バレルと、目安の同2000万バレルを上回り、今年最高水準とな
っている。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である4月限は、このところボリンジャーバンドの1シグマ(6万
8130円辺り)を上限、−1シグマ(6万5650円辺り)下限としたレンジ取引と
なっているが、直近はその上限を試した後に反落して、日足はかなり長い上ひげを引い
た。。
 ガソリン先限は名目値で8万円ちょうどの横ばいが続いている。

【NY原油のテクニカル】
  ニューヨーク原油1月限は下振れしたものの、ボリンジャーバンドの−2シグマ
(66.43ドル辺り)に支援される形で大きく切り返した。直近は21日移動平均線
でもあるボリンジャーバンドの中心線(69.47ドル辺り)が上値目標となってい
る。

<当面の予定>
18日【経済】機械受注 2024年9月(内閣府)
   【経済】ユーロ圏貿易収支 2024年9月(EUROSTAT)
   【経済】英住宅価格指数 2024年11月(ライトムーブ)
   【経済】米対米証券投資 2024年9月(財務省)

19日【経済】ユーロ圏国際収支 2024年9月(ECB)
   【経済】ユーロ圏消費者物価指数 2024年10月確報(EUROSTAT)
   【経済】米住宅着工・許可件数 2024年10月(商務省)
   【工業】米週間石油統計(API)

20日【経済】貿易収支 2024年10月速報(財務省)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】独生産者物価指数 2024年10月(連邦統計庁)
   【経済】英消費者物価指数 2024年10月(国立統計局)
   【経済】英小売物価指数 2024年10月(国立統計局)
   【経済】英生産者物価指数 2024年10月(国立統計局)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【工業】米週間石油統計(EIA)
   【納会】米WTI原油 2024年12月限(NYMEX)

21日【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米製造業景況指数 2024年11月(フィラデルフィア連銀)
   【経済】米景気先行指数 2024年10月(カンファレンスボード)
   【経済】米中古住宅販売統計 2024年10月(全米不動産協会)

22日【経済】消費者物価指数 2024年10月(総務省)
   【経済】チェーンストア販売統計 2024年10月(日本チェーンストア協会)
   【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年11月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年11月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2024年11月速報(Markit)
   【経済】独国内総生産 2024年7-9月期確報(連邦統計庁)
   【経済】英小売売上高 2024年10月(国立統計局)
   【経済】米消費者信頼感指数 2024年11月確報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
   【商品】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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