石油週間見通し=70ドル台乗せ、露ウ戦争のエスカレート懸念で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油はV字型の切り返し。1月限は10月29日の安
値66.32ドルと13日の安値66.80ドルでダブルボトムを付けた形となってお
り、チャート上はネックラインである72.41ドルが目先の上値目標となるとした。

【NY原油1月限が70ドル台乗せ】
 ニューヨーク原油は結局、小幅に直近安値を更新した後に大きく戻す展開。1月限は
18日に66.53ドルの安値を付けたあと急反発した。21日には70.38ドルま
で戻り高値を付けて、70ドル台を回復した。本稿執筆時の22日午後時点のアジアの
時間帯の時間外取引で、ここまでの高値は70.58ドルとすでに21日の戻り高値を
更新している。チャート上の上値目標は、前回の当欄の指摘と同じく72.41ドルと
なる。

 材料的には、下落局面では国際エネルギー機関(IEA)月報で、来年の世界石油需
給が日量100万バレルの供給過剰になる見込みが示されたことや、10月の中国の製
油所の原油処理量が前年同月比4.6%減少して、7カ月連続で前年同月を下回ったこ
となど、需給面の弱材料に圧迫された。
 しかし、欧米がウクライナにロシア本土への長距離ミサイル攻撃を許可して、それを
ウクライナが実行したことで、一気にロシアとウクライナ戦争のエスカレート懸念が浮
上して、センチメントが一変している。予想通りロシアは反撃して新型の大陸間弾道ミ
サイル(ICBM)をウクライナに向けて発射したことが報じられている。これは「核
の脅し」とも受け取られており、ロシア対NATOの第三次世界大戦の危険性を孕むも
のである。
 また一過性の材料となったが、ノルウェー石油大手、エクイノールが運営する北海の
ヨハン・スヴェルドルップ油田の生産が停止したことも支援材料となった(すでに稼働
再開)。

 大局的には、需給面は弱い認識だが、地政学的リスクが優先される状況となってお
り、目先、投機的にどこまで買われるのか、ロシアやウクライナ関連のニュースがより
注目される。ただ、ロシアの石油施設の攻撃など実際の供給障害が起きるような事態と
ならなければ、急伸しても短命に終わる可能性も考えておくべきだろう。

 他の産油国側のニュースとしては、石油輸出国機構(OPEC)プラスが12月1日
に閣僚級会合を開く予定だが、有志国による自主減産の縮小をさらに延期する可能性が
出てきている。11月3日の会合で、本来12月から予定していた減産縮小を1カ月延
期することで合意した経緯があるが、ある関係者は「来年第1四半期まで延期しても強
い反対は出ないだろう」と述べている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値から反落後、再び戻す展
開となっており、さらに高値を更新する可能性が残っている。
 ドルインデックスはさらに戻り高値を更新する展開となり、引き続きドル高傾向。直
近は107ポイント台に乗せてきた。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である4月限は結局、ボリンジャーバンドの−1シグマ(6万
5630円辺り)に支持される形で反発して、22日は引けで1シグマ(6万8410
円辺り)を上回った。ガソリン先限は名目値で8万円ちょうどの横ばいが続いている。

【NY原油のテクニカル】
  ニューヨーク原油1月限は再び下振れしたものの、ボリンジャーバンドの−2シグ
マ(66.17ドル辺り)に割り込まずに反発した。直近は21日移動平均線でもある
ボリンジャーバンドの中心線(69.23ドル辺り)も上抜けて、70ドル台に乗せて
きた。

MINKABU PRESS

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