【前週までのレビュー】産地相場が反発を続けているため、上値を試す可能性があると した。ポイントは、380円の攻防とみた。 【レンジから上放れ】 JPXゴムRSS3号は、売りがやや優勢となった。活発限月の5月限は、9日には 383.4まで上昇したが、同水準では売りを浴び、365円手前まで下落している。 上海ゴムも売りが優勢となっているうえ、産地相場の戻りも一服となっている。目先、 JPXゴムRSS3号はやや売りが優勢となりそうだ。ポイントは、節目の365円に なる。現状、同水準が支持となっているが、この水準を割り込むと、11月25日の安 値356.7円を目指した下げになると予想。 【タイオファーの上昇一服】 産地価格の上昇が一服となった。12月12日のタイ南部の天然ゴム主要積み出し港 のソンクラ渡しのオファー価格は、前営業日比0.88バーツ低下の83.18バーツ が提示された。9日に86.14バーツまで水準を引き上げたが、その後、ジリジリと 軟化している。 10日に気象庁から発表されたエルニーニョ監視速報によると、「冬の間はラニーニ ャ現象時の特徴が明瞭となるが、その後は弱まる」と予想されており、産地でラニーニ ャ現象による、樹液採取作業(タッピング)障害が発生する可能性が現時点では低くな ってきたようだ。産地相場にとっては、弱材料となる。 【上海ゴムは1万9180元が目先天井か】 上海ゴムの中心限月5月限は、11月18日の安値1万7360元と11月22日の 安値1万7400元でダブルボトムとなり、戻りを抑えていた1万8000元もしっか り突破すると、12月6日には1万9180元まで上昇した。だが、同水準では売り浴 び、終値ベースでの1万9000元台乗せに失敗すると、13日には1万8350元ま で下落した。目先、節目の1万8000元を意識した展開となりそうだ。 【中国が金融緩和・積極財政に動く】 9日、中国共産党は中央政治局会議を開き、2025年の経済政策などについて議論 した。国営新華社通信によると、2025年の経済政策について「より積極的な財政政 策と適度に緩和的な金融政策を実施する」ことが決定されたようだ。 金融政策について「適度に緩和的」という表現が用いられたのは、リーマンショック 後に景気のテコ入れを実施した際の2009〜2010年以来となる。当時は、中国の 積極的な緩和政策が世界経済回復の一翼を担ったとされる。このため、来年の金融緩和 によせる市場の期待は大きく、昨日から香港ハンセン指数は上昇している。 ただ、その一方で2009〜2010年と比べ、中国景気の悪化が著しいうえ、デフ レ懸念も依然として根強い。11月の中国の消費者物価指数は、前月比では伸び率が低 下している。一度、デフレスパイラルに陥ると回復には多くの時間が掛かる。また、ト ランプ政権発足後は、米中関係が一段と悪化するとの見方もある。期待で買われ、事実 で売られる可能性があるとみる。 【東京ゴム活発限月の5月限のテクニカル要因】 ゴムRSS3号の活発限月の5月限は、やや売りが先行した。11月中旬からの値動 きをみると、産地安を背景に11月14日には341.0円まで一時下落した。だが、 同日の日足が下ヒゲが長く、実体の短い陰線となると反発を開始、上海ゴムが地合いを 引き締めたことから、11月291日には376.5円まで上昇した。その後、35 7.7円まで押されたが、12月は上海高から買いが優勢となり、9日には383.4 まで水準を引き上げる場面があった。ただ、終値ベースでの380円乗せに失敗する と、その後は365円付近まで軟化している。現状、355円前後が支持になってお り、同水準での攻防が注目される。 地合いを再度引き締めた場合は、節目の380.0円の攻防がポイントになる。38 0円台に乗せると、9日の高値383.4円や節目の390円が意識される。390円 超えとなれば、400円を試そう。一方、売りが先行すれば、上記した365円に注目 したい。同水準をしっかり割り込むと、節目の360円や11月25日の安値356. 7円、さらには節目の350.0円が視野に入る。 【今週の注目ポイント】 上海ゴムに注目したい。直近の上昇は、上海ゴム主導である。ただ、上海ゴムの中心 限月5月限は、節目の1万9000元手前で上値が重くなり、1万8400元付近まで 下落してきた。上海ゴム投機的な面が強いことから、一段安の可能性もある。その場合 は、JPXゴムRSS3号は連れ安となる。 【相場予想レンジ】 12月16〜20日のJPXゴムRSS3号5月限の中心レンジ予想は350〜39 00円。テクニカルの支持線は360.0円(節目)、抵抗線は380.0円(節 目)。 MINKABU PRESS ※投資や売買は御自身の判断でお願いします。
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