金・銀週間展望=軟調、利下げペース鈍化見通しが圧迫

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [12月23日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年 10 月限  12 月 16 日〜 12 月 20 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          13,262    13,292 (20)   12,886 (19)     13,196         -75
  銀           155.0     155.0 (16)    148.8 (20)      148.9        -6.1
 プラチナ       4,606     4,656 (20)    4,521 (19)      4,619         +16
 パラジウム     4,800     4,800 (16)    4,600 (19)      4,600        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        20  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,645.1     -30.7   | ドル・円    156.99      4.15 円安
  銀       ( 3) 2,995.8    -107.0   | 日経平均  38,701.90       -768.54
 プラチナ   ( 1)   936.4     +12.1   | NY原油 ( 2)  69.46         -1.36
 パラジウム ( 3)   919.20    -42.50  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 20日
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【前回のレビュー】
 金は地政学的リスクや米利下げ見通しが支援要因、とした。
 金は米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて手じまい売りが出ると、利下げペー
ス鈍化見通しをきっかけに急落した。現物相場は11月18日以来の安値
2584.49ドルを付けた。金先限は10日以来の安値1万2886円を付けたの
ち、円安を受けて下げ一服となった。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
0.25%ポイント引き下げ、4.25〜4.50%とした。金利・経済見通しでは
2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減した。パ
ウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で「今後はインフレの進展を見極め
ながら慎重に進む必要がある」と述べた。英中銀は金利据え置きを決定し、ベイリー総
裁は、利下げについて「段階的なアプローチ」を続ける必要があると指摘した。トラン
プ次期米大統領の就任を2025年1月に控えるなか、主要中銀は金利見通しに関して
慎重な姿勢を示した。一方、日銀金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌
日物金利の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決めた。ハト派的な内容とな
り、円安が進んだ。
 11月の米小売売上高は前月比0.7%増加した。自動車やオンライン販売の加速に
支えられ、事前予想の0.5%を上回った。第3四半期の米国内総生産(GDP)確報
値は年率換算で前期比3.1%増と、改定値の2.8%から上方改定された。堅調な個
人消費が示された。米新規失業保険申請件数は、前週比2万2000件減の22万件と
なった。事前予想は23万件だった。一方、トランプ次期米大統領は、議会指導部が発
表した来年3月までの政府予算を手当てするつなぎ予算案に反対した。米議会の共和党
議員らは一部政府機関の閉鎖回避に向け、新たなつなぎ予算案を策定し、次期米大統領
が支持したが、米下院で否決された。米議会が20日深夜の期限までに法案を可決でき
るかどうかを確認したい。
【金ETF残高は減少】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は19日時点で
1048.40トンとなり、前週末比3.15トン減少した。米国で3.16トン減
少、オーストラリアで0.01トン増加した。主要中銀の利下げペース鈍化見通しを受
けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告に
よると、12月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは27万5586
枚となり、前週の25万9736枚から拡大した。今回は新規買いが1万6721枚、
新規売りが871枚入り、1万5850枚買い越し幅を拡大した。
 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争終結に向けトランプ次期米大統領と協議
し、妥協する用意があると言明した。ただウクライナに対する攻撃で使用した新型の中
距離弾道ミサイル「オレシュニク」について、ウクライナで再度発射を計画し、西側諸
国の防空システムが撃墜できるかどうかを確認する用意があると述べた。一方、カター
ル系新聞「アルアラビー・アルジャジーダ」は、パレスチナ自治区ガザの停戦交渉に関
し、イスラム主義組織ハマス幹部がイスラエルとの停戦合意に向けて「ほとんどの問題
が解決した」との見解を示したと報じた。次期米大統領の就任までに停戦合意がまとま
るかどうかを確認したい。
【銀は利下げペース鈍化見通しやドル高で急落】
 銀の現物相場は利下げペース鈍化見通しやドル高を受けて急落し、9月12日以来の
安値28.76ドルを付けた。来年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ回数が半減
する見通しとなったことに加え、他の主要中銀も慎重な見方を示した。トランプ次期米
大統領の関税引き上げで貿易摩擦に対する懸念が残ることも圧迫要因である。
 19日のニーヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比14.17トン
減の1万4232.86トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建
玉明細報告によると、12月10日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
4万1165枚となり、前週の4万3260枚から縮小した。新規売りが新規買いを上
回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
23日 英国内総生産確報値 2024年7-9月期(国立統計局)
    米消費者信頼感指数 2024年12月(カンファレンスボード)
24日 ●ドイツ(クリスマス)
    金融政策決定会合議事要旨公表 10月30-31日分(日本銀行)
    米耐久財受注 2024年11月速報値(商務省)
    米新築住宅販売 2024年11月(商務省)
25日 ●豪州、欧米、南ア(クリスマス)
    景気動向指数 2024年10月改定状況(内閣府)
26日 ●豪州、独仏英(ボクシング・デー)、スイス、南ア、カナダ
    貿易収支 2024年11月確報(財務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
27日 労働力調査(失業率) 2024年11月(総務省)
    鉱工業生産指数 2024年11月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2024年11月速報(経済産業省)
    中国工業利益 2024年11月(国家統計局)
    米卸売在庫 2024年11月速報値(商務省)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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