石油週間展望=70ドルを挟んだもみ合い、地政学的リスクや寒波襲来に注意

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [12月23日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     12 月 16 日〜 12 月 20 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   80,000    83,000(19)    80,000(16)   83,000     +3,000
灯  油  先限   81,500    84,000(19)    81,500(16)   84,000     +2,500
原  油 5月限   67,510    69,500(20)    66,920(18)   68,360       +910
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                                        12 月 16 日〜 12 月 20 日
<海外原油> 週間4本値 始 値  高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油  2 月限     71.00    71.00(16)   68.42(20)  69.46      -1.36
ブレント原油  2 月限     74.60    74.60(16)   72.00(20)  72.94      -1.55
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20日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 156.99 円 前週末比 4.15円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油はレンジ内で上値を試す展開。2月限は差し当た
り11月22日の高値71.02ドル、それを上抜くと11月7日の71.97ドル辺
りが上値目標となるとした。

【NY原油は70ドルを挟んだもみ合い続く】
 ニューヨーク原油は2月限は結局、70ドルの節目を挟んだもみ合いが続いている。
値動き的にはこう着感が出ており、指標限月の交代とともに市場が早めにクリスマス休
暇入りした感も出てきている。
 チャート的にこの70ドル水準は、9月10日の安値63.73ドルから10月8日
の高値76.41ドルまでの上げ幅のほぼレンジ中央(70.07ドル)に位置してお
り、売り方、買い方双方に居心地の良い水準となっている。とは言え、10月以降のこ
の四半期の値動きを見ると、時間的には70ドルを割り込んで推移することが多く、現
状は70ドル台では上値が重くなる印象は拭えない。これは来年の需給緩和見通しが市
場のコンセンサスとなっていることを映したものだとも言えそうだ。
 本稿執筆時の20日午後時点で、2月限は69ドル台をやや割り込む水準で推移して
いる。

 年内はさらにクリスマスムードが強まりそうで、値動きがこう着する可能性がある
が、突発的なニュース(産油国の地政学的リスクの高まり、米国の寒波襲来など)はい
つ発生してもおかしくないので注意する必要はあろう。ただ一時的な高騰は「待ってま
した」と戻り売り好機と捉えられやすい状況にある。
 なお20日の執筆時に、AP電として、ウクライナが18から19日にかけて、ロシ
アのロストフ州のノボシャフチンスク製油所をミサイルとドローン攻撃したことが報じ
られているが、原油市場はほとんど反応していない。
 これとは別に、ロシアのタンカー2隻がアゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡で座礁し
て、約3000トンの重油が流出する事故が起きている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は大統領選挙年ということもあり、と
くに下半期は過去最高値更新の上昇を続けて来たが、12月に入り高値から大きく崩れ
る展開となり、ファンドの益出しの動きが如実に表れている。直近は4万2000ドル
まで下落。
 ドルインデックスは米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、ドルがさらに上昇す
る展開。直近は108ポイント台に乗せている。
 原油相場にとっては、米株安、ドル高と向かい風が強まっている。

【中国の石油需要はピークアウトか=同国の大手石油企業】
 中国の大手石油企業から相次いで、これまで米国と並んで世界の石油需要をけん引し
てきた同国の石油需要がピークアウトする見通しが発表された。
 まず同国最大手の中国石油天然気集団(CNPC)が13日、中国の精製石油の消費
量が2023年に3億9900万トン(日量798万バレル)でピークに達し、24年
は1.3%減の3億9400万トンとなる見通しを発表した。
 また同国の大手石油企業、中国石油化工集団(シノペック)は19日、同国の石油消
費量が2027年にピークに達するとの見通しを示した。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である5月限は12日に21日移動平均線でもあるボリンジャーバ
ンドの中心線(6万6580円辺り)を突破後は、それを下値支持、2シグマ(6万
9460円辺り)を上値抵抗としたもみ合いが続いている。
 ガソリン先限は名目値で段階的に8万3000円まで上昇した。

【NY原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油2月限は、70ドルの節目を挟んで、ボリンジャーバンドの中心線
(68.99ドル辺り)を下値支持、2シグマ(71.08ドル辺り)を上値抵抗とし
た展開が続いている。

<当面の予定>
23日【経済】英国内総生産 確報値 2024年7-9月期(国立統計局)
   【経済】米消費者信頼感指数 2024年12月(カンファレンスボード)

24日【経済】金融政策決定会合議事要旨公表 10月30-31日分(日本銀行)
   【経済】チェーンストア販売統計 2024年11月(日本チェーンストア協会)
   【休日】独クリスマス
   【経済】米耐久財受注 2024年11月速報値(商務省)
   【経済】米新築住宅販売 2024年11月(商務省)
   【工業】米週間石油統計(API)

25日【休日】欧米クリスマス
   【経済】景気動向指数 2024年10月改定状況(内閣府)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【納会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
       2024年12月限(東京商品)

26日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 12月15日-12月21日(財務省)
   【経済】貿易収支 2024年11月確報(財務省)
   【発会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
             2025年6月限(東京商品)
   【休日】独仏クリスマス休暇
   【休日】英ボクシング・デー
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

27日【経済】労働力調査(失業率) 2024年11月(総務省)
   【経済】一般職業紹介状況(有効求人倍率) 2024年11月(厚生労働省)
   【経済】鉱工業生産指数 2024年11月速報(経済産業省)
   【経済】小売業販売額 2024年11月速報(経済産業省)
   【経済】自動車生産・輸出実績 2024年10月(JAMA)
   【経済】中国工業利益 2024年11月(国家統計局)
   【経済】米卸売在庫 2024年11月速報値(商務省)
   【商品】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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