石油週間見通し=70ドル台割れ後に戻す、底入れか否かが焦点

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限は70ドルを下値支持、73ドルを上値抵
抗とする展開となっており、こう着感も出て来た。直近はそのレンジ上限を伺う値動き
となっているが、目先はこれを上抜けるか否かがチャート上の焦点となりそうだとし
た。

【NY原油4月限は一時70ドル台割れも早期に回復】
 ニューヨーク原油4月限は結局、レンジを下抜けして70ドル台を割り込んだ。ただ
26日に68.36ドルの安値を付けてたあと大きく戻す展開となり、すぐに70ドル
台を回復している。本稿執筆時の28日午後現在、4月限は70ドルの節目近辺で推移
している。
 チャート上は、昨年9月10日の安値63.61ドルから今年1月15日の高値
77.86ドルまでの上げ幅の61.8%押しの69.05ドルを達成後に戻した形。
これで底入れとなるか否かが目先のチャート上の焦点となる。

 材料的には、ウクライナのゼレンスキー大統領が26日、米国との資源権益に関する
協定案に合意したことから、ロシア・ウクライナ戦争の停戦協議にとってプラスとの見
方から圧迫要因となったが、同日にトランプ米大統領が石油大手シェブロンに対するベ
ネズエラでの事業許可を取り消すとしたことで、同国からの原油供給が遮断されるとの
見方で支援材料となった。ただシェブロンが輸出する同国産原油は日量24万バレル
と、さほど多くなく、これは一過性の材料にとどまりそうだ。
 むしろ現在懸念されているのは、トランプ大統領の全方位的な「関税攻撃」の方で、
これが今後中長期的に原油需要の抑制するとの見方が強まっている。
 またあまり材料視はされていないが、17日のカスピ海パイプライン・コンソーシア
ム(CPC)に続き、23〜24日にかけてロシアのリャザニ製油所も攻撃されるな
ど、ウクライナのロシアのエネルギーインフラ攻撃が断続的に続いていることには注意
したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はこのところの高値もみ合いから崩れ
る展開となっており、4万3000ドル台前半まで軟化している。
 ドルインデックスは軟調地合いから反転基調に転じており、直近は107ポイント台
前半まで戻している。
【イランは原油輸出縮小、イラクはクルド地区からの原油輸出を2年振りに再開】
 米財務省が24日、新たなイラン制裁として、同国石油産業に関連する30を超える
団体や個人に対して制裁措置を発動したことで、今後同国の原油輸出がさらに縮小する
のがほぼ確実となってきた。
 当然イラン側は反発して、アラグチ外相は25日、「米国の圧力と制裁の下では核協
議を行わない」としている。
 国際原子力機関(IAEA)は26日、イランが核兵器に使用可能な60%の高濃縮
ウラン貯蔵量を過去3カ月で約50%増加させたことを報告している。

 逆にイラク石油省は22日、約2年ぶりに同国北部のクルド人自治区からの原油輸出
が再開したことを発表している。イラクとクルド人自治政府の関係改善を受けての措置
だが、これにより同国からの原油輸出が日量約50万バレル増加すると見込まれてい
る。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である7月限はボリンジャーバンドのー2シグマ(6万70700
円辺り)を割り込む下落となっていたが、27日に6万5000円の心理的節目を試し
た後に28日は反発。引けてー2シグマを上回った。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油4月限も70ドルの節目を割り込んだ後、ボリンジャーバンドのー
2シグマ(69.00ドル辺り)も割り込んで下落したが、27日の大陽線で70ドル
の節目やー1シグマ(70.12ドル辺り)を上回って引けた。

 ブレント原油5月限も同様の下落で、ボリンジャーバンドのー2シグマ(72.52
ドル辺り)を割り込んだが、27日の急伸でー1シグマ(73.58ドル辺り)を試し
た。

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