貴金属4品週間見通し=金は転売で一段安の可能性はあるが底意は強い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金4月限は27日にかけ値を崩し、今月7日以来の安値となる2879ドルを記
録。終値ベースで2890ドル台を回復したが、終値で前週末比で63ドル程度の下げ
幅を記録した。
 27日の大幅安のきっかけとなったのは、米トランプ政権が対メキシコ、カナダの輸
入関税を3月4日に発動すると発表したことを受けてドル高が進行したことにある。2
月に一代高値を複数回に渡って更新し、高値警戒感が強く、買い材料を織り込むなか、
転売の動きが広がったことが背景になっていると見られる。
 1月の米消費者物価指数(CPI)、同月の生産者物価指数(PPI)の発表を受け
てインフレ加速化基調にあることが確認される一方、個人消費の落ち込みが明らかとな
り、加速化するインフレに消費意欲が後退している可能性が示されている。
 また、1年先インフレ率の上昇見通しが強まるなか、景況感の低下も伝えられいる
が、このような中で米トランプ政権が次々と輸入関税の引き上げを発表していることで
米景気、米国の主要貿易相手国である中国の景気後退に対する警戒感が強まっている。
 米中の景気後退に対する警戒感は安全資産として金買い刺激した結果、2900ドル
を大きく超える水準まで金価格は上昇したが、その一方でファンド筋を含む大口投機家
の買い越し数は縮小傾向を強めており、大口投機家が転売を進めている可能性が見受け
られていた。
 転売の動きが今週に入ってからの大幅下落の主因と見られるが、金の投資環境事態が
軟化に転じた可能性は低い。米トランプ政権は新たに中国からの輸入に対する関税の引
き上げの意向を示しており、今後も関税を取引のカードとした外交政策がとられること
が予想されるうえ、輸入関税の引き上げによる米国内のインフレ加速化観測、そしてこ
れを受けた景気後退懸念がくすぶると予想されるからだ。また、SPDRの金ETF残
高も900トン台に達しており金への投資意欲の根強さを窺わせている。
 目先はこれまでの高騰後の玉整理から再度、値を落とす可能性はあるが金市場を巡る
強気な環境に変化はなく、今月6日の安値2855ドルが支持線として意識されるとみ
る。2890〜2855ドルのレンジでは押し目買いの動きが喚起されると予想。
<銀>
 NY銀5月限は大きく値を崩したNY金に連動して値位置を落とし27日は前日比
46.5セント安の3211セントで終えた。25日以降は3200セントを割り込む
場面が見られながらも終値ベースでは3200セント台を維持しており、軟調な足取り
の中にも底堅さを窺わせている。
 金と同様にこれまでの上伸後の修正による下落という側面が強いが、3200セント
を割り込むと買い戻される動きが続くなど、底意の強さも窺われるだけにもちあいへシ
フトする可能性も高まっている。
<白金>
 NY白金4月限は24日以降は975ドルを前後する足取りが続いていたが27日の
取引ではNY金の大幅安とドル高を受けて大きく値を落とし、一時は950ドルに迫る
下落となった。
 米関税政策を受けた中国の景気不安に加え、欧州での電気自動車(EV)需要の後退
が懸念されることも重石と見られる。NY金が底堅い足取りが見込まれるだけに、ここ
からの下げ余地は限定されそうだが反発力は限られるとみる。950ドルの節目が支持
になるかに注目。950ドル割れとなると、1月16日の安値938.5ドルまで下げ
余地が生まれる。
<パラジウム>
 NYパラジウム6月限は24日の取引で大きく値を崩した後も値位置を切り下げる足
取りが続き、27日には915.30ドルと今年1月上旬以来の水準まで値を落として
いる。
 独自の材料に乏しく他貴金属に追随する動きが続いているが、白金との値開きが再び
逆転しているだけに、その修正のために買い戻す動きが見られる可能性もある。
 MINKABU PRESS

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。