金・銀週間展望=上げ一服、ウクライナ停戦期待やドル高で利食い売り

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [3月3日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年 12 月限  2 月 25 日〜 2 月 28 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          14,277    14,346 (25)   13,806 (28)     13,870        -390
  銀           159.2     159.2 (25)    152.0 (26)      152.0        -7.2
 プラチナ       4,649     4,679 (25)    4,495 (28)      4,508        -133
 パラジウム     4,800     4,800 (25)    4,600 (26)      4,600        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        27  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 4) 2,895.9     -57.3   | ドル・円    149.99      0.47 円高
  銀       ( 5) 3,211.0    -122.8   | 日経平均  37,155.50      -1621.44
 プラチナ   ( 4)   957.7     -30.0   | NY原油 ( 4)  70.35         -0.05
 パラジウム ( 6)   915.30    -81.60  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 27日
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【前回のレビュー】
 金は米国の関税に対する懸念や地政学的リスクが支援要因、とした。
 金はウクライナの停戦期待や米大統領の関税発言によるドル高を受けて売り優勢とな
った。現物相場は10日以来の安値2859.26ドルを付けた。金先限は1月31日
以来の安値1万3845円を付けた。
 米仏首脳会談後、トランプ米大統領はできるだけ早期のウクライナ停戦を望む立場を
示し、そのために取り組んでいると説明した。合意が成立すればモスクワでプーチン氏
と会談することも可能だと述べた。マクロン仏大統領はまず停戦交渉を行い、その後、
安全保障に裏付けられた和平合意を結ぶ必要があるとして、より慎重なアプローチを主
張した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、同国の鉱物資源の権益を巡り米国と「暫
定的な」合意に達したと発表した。ゼレンスキー大統領は28日に訪米し、署名する見
通しだが、合意案にはウクライナが求める米国による「安全の保証」は盛り込まれてお
らず、先行きは依然不透明である。
 トランプ米大統領は、カナダとメキシコに対する関税に関して3月4日に発動すると
述べた。また中国に対しても、同日に追加で10%の関税を課すとした。合成麻薬「フ
ェンタニル」を含む違法薬物の流入が続いていると指摘した。米大統領は26日、対メ
キシコ・カナダ関税を4月2日に発動すると表明し、発動再延期への期待が高まった
が、政権当局者によると、これは「相互関税」の期限のもよう。また欧州連合(EU)
からの輸入品に対する25%の関税賦課を近く発表するとした。
 2月の米消費者信頼感指数は98.3と前月から7ポイント低下した。低下幅は3年
半ぶりの大きさ。市場予想の102.5も下回り、2024年6月以来の低水準となっ
た。第4四半期の米国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比2.3%増となっ
た。前四半期の3.1%増から減速した。米新規失業保険申請件数は前週比2万
2000件増の24万2000件だった。予想以上に増加し、増加幅は5カ月ぶりの大
幅なものとなった。申請件数の基本的な増加傾向は労働市場の着実な減速と一致してい
る。米カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は、最近のインフレ期待の上昇を踏
まえ、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制において「警戒を緩めるべきでな
い」という認識を示した。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は27日時点で
1098.12トンとなり、前週末比1.54トン増加した。米国で1.72トン、英
GBSで0.04トン、オーストラリアで0.02トン、南アで0.14トン増加、英
ETFSで0.38トン減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明
細報告によると、2月18日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万
8674枚となり、前週の28万4504枚から縮小した。今回は手じまい売りが
9723枚、新規売りが6107枚出て、1万5830枚買い越し幅を縮小した。
 イスラエルは、パレスチナ地区ガザにおけるイスラム組織ハマスとの第1段階の停戦
合意を延長するため、交渉団をエジプトに派遣すると明らかにした。第1段階の停戦期
限を3月1日に控えるなか、さらなる人質の解放を確実にし、ガザの将来を巡る最終合
意を遅らせる狙いがある。ハマスは第2段階の協議を開始する用意があり、残りの人質
が解放される唯一の方法は停戦へのコミットメントと言明した。
【銀はドル高や金軟調が圧迫】
 銀の現物相場は3日以来の安値31.16ドルを付けた。ドル高や金軟調が圧迫要因
になった。米大統領のカナダやメキシコ、中国に対する関税発言を受けてドル高に振れ
た。欧州連合(EU)からの輸入品に対する関税も近く発表するとしており、各市場の
反応を確認したい。
 27日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比77.87ト
ン増の1万3613.12トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の
建玉明細報告によると、2月18日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
5万4454枚となり、前週の4万9710枚から拡大した。新規買いが新規売りを上
回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
3日 中国製造業購買担当者景況指数 2025年2月(財新)
   ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年2月確報(Markit)
   ユーロ圏消費者物価指数 2025年2月速報(EUROSTAT)
   米製造業景況指数 2025年2月(ISM)
4日 労働力調査(失業率) 2025年1月(総務省)
   ユーロ圏雇用統計 2025年1月(EUROSTAT)
5日 中国サービス業購買担当者景況指数 2025年2月(財新)
   ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年2月確報(Markit)
   ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年2月確報(Markit)
   ユーロ圏生産者物価指数 2025年1月(EUROSTAT)
   全米雇用報告 2025年2月(ADP)
   米製造業新規受注 2025年1月(商務省)
   米非製造業景況指数 2025年2月(ISM)
   米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
6日 ユーロ圏小売売上高 2025年1月(EUROSTAT)
   欧州中央銀行(ECB)理事会結果公表
   米貿易収支 2025年1月(商務省)
   米新規失業保険申請件数(労働省)
7日 中国貿易収支 2025年2月(税関総署)
   独製造業受注 2025年1月(経済技術省)
   ユーロ圏域内総生産 2024年10-12月期確報(EUROSTAT)
   米雇用統計 2025年2月(労働省)
   建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

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