貴金属4品週間見通し=金は逃避買い需要受け高値圏での高下が続く

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金6月限は今月18日以降は3030ドルを支持線に堅調に推移後、27日に地
合いを引き締めて3102.2ドルを記録し、1週間ぶりに一代高値を更新した。利食
い売りを吸収し、前日比38.6ドル高の3090.9ドルで引けた。
 NY金は米トランプ政権が関税引き上げを発表するなか、米国内外の経済に与える影
響が警戒されて安全資産を求める動きが強まり、値位置を切り上げた。3月26日にト
ランプ大統領が自動車関税の25%賦課と4月3日発動の発表を行ったことで、世界経
済に与える影響が懸念されて金を安全資産として買い求める動きが活発化している。
 トランプ政権による輸入関税の引き上げは、その品物を米国に輸出している国の経済
にも大きな影響を及ぼすと同時に、米国内においては輸入価格の上昇と、これを受けた
インフレの加速化の可能性を高めることになる。
 2月の米消費者物価指数(CPI)は、総合、コア共に事前予想を下回り、インフレ
後退の傾向が見られながらも米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%を依然とし
て上回り、インフレ鎮圧までの道のりの遠さが意識される状況にある一方で、小売売上
高は後退しており、消費者の買い疲れの可能性も示されている。
 このような中での輸入物価の上昇は、米経済の7割を占める個人消費にマイナスの影
響を与えかねない。
 また、米国への輸出国においても、米国への輸入関税の引き上げによる輸出減は経済
成長に大きなマイナスの影響を与えることになる。
 この経済見通し不透明感を受けて安全資産を求める動きが活発化しているが、米国発
のリスクだけに、ドルや米国債に対する逃避買いとしての需要は限られる一方、万国共
通の安全資産とされる金を求める動きが膨らんでいる。
 このトランプ関税に加え、パレスチナ自治区ガザを巡り紛争が激化するなどの地政学
不安も高まっている。
 トランプ関税は自動車関税のみならず、相互関税の発動も見込まれているが、さらに
その後も輸入関税引き上げの動きが続くと見られるだけに、NY金は再び一代の高値を
更新する可能性があるなかでの高もみ継続が想定される。
<銀>
 NY銀5月限は今月19日から21日にかけて急速に値を落とした後に買い戻されな
がらも3450セントを抵抗線として意識する値動きが続いていたが、27日に急上昇
し3540.5セントと昨年10月23日以来の高水準まで値を伸ばした。
 NY金の大幅高に追随した形であり、NY金の高もみが見込まれるため、今後も更に
値位置を伸ばす可能性がある。
 ただ、安全資産としての役割の薄さが重石となりそうで、昨年10月22日に付けた
3580セントが目先の上値抵抗線になってきそう。
<白金>
 NY白金7月限は今月19日以降の続落後は980セントを下値支持線とするもちあ
いが続いていたが、27日に大幅高となり、抵抗線の1000ドルを上抜いた。安全資
産としての需要の高まりを受けて一代高値を更新しているNY金に追随する動きと見ら
れる。27日の上伸で目先の下値を固めたとも見られる動きとなった。1000ドル台
で値を固める動きとなるかに注目。
 ただ、米自動車追加関税が発動されるようであれば、自動車生産用としての白金需要
が減退する可能性もあるため、NY金の堅調な足取りが下支え要因となりながらも、金
に比べると上値の重い足取りとなるのではないか。
<パラジウム>
 NYパラジウム6月限は続伸となっているものの、3月13日以降の取引レンジとな
っている850〜1000ドルのレンジ突破には至っていない。
 独自の手掛かりに乏しいなか、白金との比価やNY金の足取りを参考にした高下が続
いているが、NY白金が1000ドル台に値を乗せてきたことで比価調整のための買い
が見られる可能性がある。
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