[今日の視点]貴金属=続落、米相互関税でリスク回避

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 貴金属は、続落して寄り付く見通し。金は円高を受けて売り優勢となろう。銀はドル
建て現物相場の下落と円高を受けて軟調となろう。プラチナ系貴金属(PGM)はプラ
チナがニューヨーク安と円高を受けて軟調となろう。
 午前8時10分現在の現物相場は前営業日の引け時点と比べ、金は31.45ドル高
の3149.29ドル、銀が12セント安の3364セント、プラチナが0.90ドル
安の979.60ドル、パラジウムは26.06ドル安の958.33ドル。
 午前8時10分現在のドル・円相場は1ドル=148.24/26円で、前営業日の
大引け時点から1.54円の円高。
 先限の寄り付き目安は、金が1万5110円前後、銀は162.0円前後、プラチナ
は4550円前後、パラジウムは4750円前後。
【NY金は米相互関税発表後の押し目を買われる】
 金はきのうの海外市場では、労働市場の減速の見方などを受けて買い優勢となった。
 金は労働市場の減速の見方などを受けて買い優勢となった。3月の全米雇用報告によ
ると、民間部門雇用者数は15万5000人増加し伸びが加速した。ただ、関税による
経済不確実性の高まりを背景に労働市場が減速しているとのエコノミストの見方は変わ
らなかった。市場予想は11万5000人増。2月は7万7000人増から8万
4000人増に上方修正された。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、ト
ランプ米大統領が打ち出す包括的な関税措置によって特に打撃を受ける恐れがある経済
分野を対象に緊急支援策を準備している。
 トランプ米大統領は、世界の貿易相手国に対して相互関税を課すと発表した。米国へ
の全輸出国に最低10%の関税を賦課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に
一段と高い関税率を適用するという。関税率は対中国が34%、欧州連合(EU)は
20%、日本は24%、ベトナムは46%となる。このほか韓国は25%、インドは
26%、カンボジアは49%、台湾は32%となっている。カナダとメキシコは既に麻
薬密売と不法移民に関連した25%の関税を課せられている。中国の場合、合成麻薬フ
ェンタニルの米国への流入に関して先に賦課された20%の関税と合わせると、税率は
計54%に達する。リスク回避の動きとなり、株価が急落し、円高に振れた。金は相互
関税発表後の押し目を買われた。各国の反応を確認したい。
 銀はきのうの海外市場では、ドル安や金堅調を受けて買い優勢となったが、相互関税
発表後はリスク回避の動きを受けて戻りを売られた。
【NYプラチナはリスク回避も金堅調が下支え】
 プラチナはきのうの海外市場では、予想以上の全米雇用報告を受けて売り優勢となっ
た。
 プラチナは予想以上の全米雇用報告が圧迫要因になった。3月の全米雇用報告による
と、民間部門雇用者数は15万5000人増加し伸びが加速した。市場予想は11万
5000人増。一方、トランプ米大統領の相互関税発表を受けてリスク回避の動きが出
ると、一段安となったが、金堅調を受けて下げ一服となった。
<今日の予定>
・中国サービス業購買担当者景況指数 2025年3月(財新)
・ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年3月確報(Markit)
・ユーロ圏生産者物価指数 2025年2月(EUROSTAT)
・米貿易収支 2025年2月(商務省)
・米新規失業保険申請件数(労働省)
・米非製造業景況指数 2025年3月(ISM)
MINKABU PRESS 東海林勇行

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