プラチナ週間展望=下げ一服、米国の相互関税一部停止で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [4月14日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  2 月限  4 月 7 日〜 4 月 11 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          14,628    14,947 (11)   13,985 ( 9)     14,930        +274
  銀           153.6     153.6 ( 7)    140.0 ( 7)      145.0        -8.0
 プラチナ       4,362     4,374 ( 7)    4,071 ( 7)      4,255        -113
 パラジウム     4,400     4,400 ( 7)    4,400 ( 7)      4,400        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        11  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6) 3,244.6    +209.2   | ドル・円    144.06      1.98 円高
  銀       ( 5) 3,191.0    +268.0   | 日経平均  33,585.58       -195.00
 プラチナ   ( 7)   944.6     +30.0   | NY原油 ( 5)  61.50         -0.49
 パラジウム ( 6)   906.70     -0.90  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 11日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米国の相互関税発表でリスク回避が圧迫要因、とした。
 プラチナは中国の米国の相互関税に対する報復措置を受けて急落したが、米大統領が
相互関税の90日間停止を発表したことや金堅調を受けて下げ一服となった。現物相場
は2024年4月以来の安値893.73ドルを付けたのち、下げ一服となった。プラ
チナ先限は2023年10月以来の安値4071円を付けたのち、下げ一服となった。
一方、パラジウムの現物相場は2024年8月以来の安値889.56ドルを付けたの
ち、下げ一服となった。
 中国財政省は、米国の相互関税への対抗措置として10日から全ての米国製品に34
%の追加関税を課すと発表。2日にトランプ米大統領が発表した中国への追加関税と同
率を適用した。米大統領は、中国が米国産品に対する報復措置を撤回しない場合、中国
からの輸入品に50%の追加関税を9日から課すと警告した。中国財政省は、米国から
の輸入品に対する追加関税率を当初発表していた34%から84%に引き上げると発表
した。米大統領は9日、中国に対する追加関税を125%に引き上げ即時発効すると発
表した。米ホワイトハウスは、中国に対する追加関税の税率が合計145%になると発
表した。合成麻薬フェンタニル対策に絡み年初に発動した20%の関税を合わせた累計
と説明した。一方、ベッセント米財務長官は、新たな関税は必要な措置だと主張し、関
税が米経済の景気後退(リセッション)を招くとの見方を否定した。また50カ国余り
が交渉を求めて政権に連絡を取ってきたとしつつ、いかなる交渉も時間がかかると述べ
た。米大統領は9日、貿易相手国に対する相互関税について、国・地域ごとに設定した
上乗せ部分を90日間停止すると発表した。一律10%の基本関税は維持する。各国と
の交渉の行方を確認したい。
 3月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万8000人増加し、事前予
想の13万5000人増を大幅に上回った。しかし、トランプ米大統領の関税措置によ
って企業や消費者の信頼感は揺らいでおり、労働市場が今後も勢いを維持できるかが注
目される。失業率は4.2%と前月の4.1%から上昇、事前予想は4.1%だった。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、米大統領の新たな関税措置は「予想以上
に大きく」、インフレや成長などへの影響も同様に予想以上となる公算が大きいという
見解を示した。3月18〜19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、米
経済は高インフレと成長鈍化が同時に起こるリスクに直面しているとの見解でほぼ一致
していたことが分かった。一方、3月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%
上昇し、前月の2.8%から伸びが鈍化した。前月比では0.1%下落し、2020年
5月以来、約5年ぶりの下落となった。ただ米FRBの政策に対する不透明感が強い。
【プラチナ・パラジウムETF残高は減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで19.19トン(前
週末18.97トン)に増加、10日のニューヨークで32.49トン(同33.36
トン)に減少、9日の南アで10.74トン(同10.62トン)に増加した。またパ
ラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.19トン(同4.20トン)、ニューヨ
ークで10.82トン(同11.78トン)に減少、南アで0.24トン(同0.24
トン)と変わらずとなった。米中の貿易戦争が激化するなか、ETF残高は合計でプラ
チナが0.53トン、パラジウムが0.97トン減少した。一方、米商品先物取引委員
会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月1日時点のニューヨーク・プラチナの大
口投機家の買い越しは1万4975枚(前週1万3558枚)に拡大、パラジウムの売
り越しは7864枚(同8309枚)に縮小した。
【米GSは自動車販売・生産見通しを引き下げ】
 米ゴールドマン・サックスは、今年の米国の自動車販売台数の予想を約100万台引
き下げた。トランプ米大統領が発表した関税により自動車購入コストが上昇すると見込
んだ。2025年の米国の自動車販売台数は1540万台と予想。従来は1625万台
だった。2026年の販売台数予想も110万台下方修正し、1525万台とした。ア
ナリストらは、自動車メーカーが関税関連のコストを計上するため、米国内での新車価
格は今後6〜12カ月で約2000〜4000ドル上昇すると予測した。需要が弱まっ
ている状況下でこの追加コストを顧客に完全に転嫁するのは難しいとみている。また
2025年の世界の自動車生産台数見通しは、従来の9040万台から8870万台に
引き下げた。2026年の世界生産台数見通しも、9260万台から9070万台に引
き下げた。
当面の予定(イベント・経済統計)
14日 中国貿易収支 2025年3月(税関総署)
15日 英雇用統計 2025年3月(国立統計局)
    ユーロ圏鉱工業生産 2025年2月(EUROSTAT)
    独景況感指数 2025年4月(ZEW)
    米輸出入物価指数 2025年3月(労働省)
    米製造業景況指数 2025年4月(ニューヨーク連銀)
16日 機械受注 2025年2月(内閣府)
    中国住宅価格指数 2025年3月(国家統計局)
    中国国内総生産 2025年1-3月期(国家統計局)
    中国小売売上高 2025年3月(国家統計局)
    中国鉱工業生産 2025年3月(国家統計局)
    英消費者物価指数 2025年3月(国立統計局)
    ユーロ圏消費者物価指数 2025年3月確報(EUROSTAT)
    米小売売上高 2025年3月(商務省)
    米鉱工業生産・設備稼働率 2025年3月(FRB)
    米企業在庫 2025年2月(商務省)
    対米証券投資 2025年2月(財務省)
    政策金利発表(カナダ銀行)
17日 貿易収支 2025年3月速報(財務省)
    理事会結果公表(ECB)
    米住宅着工・許可件数 2025年3月(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2025年4月(フィラデルフィア連銀)
18日 ●豪州、香港、欧米、南ア(聖金曜日)
    消費者物価指数 2025年3月(総務省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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