【米国の対中輸入関税緩和の可能性が重石も安全資産需要が下支えか】 NY金6月限は16日に3358.4ドルまで上昇。グッドフライデーの休場明けの 22日に3509.8ドルまで上昇し、一代高値をさらに更新した。ただ、その後は反 落に転じて3400ドルを割り込み、23日は100ドルを超える下げ幅を記録し、今 月16日以来の低い水準まで値を落としている。 金市場は米トランプ政権による関税政策に対する思惑を手掛かりに前後する足取りが 続くなかで米国発のリスクに対する意識が高まり、安全資産を求める資金が流入してき た。特に象徴的なのが今月9日の動きで、この日、米トランプ政権は一律の相互関税、 および国・地域別の相互関税を発表したことが世界貿易停滞および米景気不安を高めた 結果、安全資産とされてきた米長期債が売り込まれた。 ただ、米トランプ大統領は米国債が売り込まれると、相互関税の上乗せ分の90日停 止をすぐさま発表しており、これを受けて世界貿易停滞懸念を後退させた結果、リスク 回避のため市場から流出していた資金がNY金市場に還流してくる動きが見られてい る。 また、その後も3月の米消費者物価指数(CPI)が前年比+2.4%にとどまり前 月の2.8%を下回ったことでインフレに対する警戒感が後退したことやスマホ、パソ コンなどの電子機器に関し一律の10%相互関税を含めた相互関税の適用除外が発表さ れながらも、中国に対しては145%の関税が賦課されていることで米中貿易戦争が依 然として警戒されており、安全資産としての金需要を刺激する要因になっている。 なお、スマホ・パソコン関連部品以外の米国で生産できない部品を含めた品目に関し ては輸入関税の適用が除外される可能性はあるものの、米トランプ政権による関税政策 に関してはある程度、織り込んだ感がある。 その一方では米連邦準備理事会(FRB)に対し利下げを要求すると同時に17日に はパウエルFRB議長は一刻も早く解任すべき、とSNSに投稿したことでパウエルF RB議長の解任リスクが高まりながらも、その後、同議長の解任について否定するな ど、依然として米トランプ大統領の発言は不確実性が高い。 ただ、一律10%の相互関税と上乗せ分の発表を行った際、高まる世界経済不安から 安全資産の金を求める動きが活発化するなか米国債が売られると相互関税の上乗せ分に は90日の停止を発表した。そのうえ、パウエル議長の解任を巡る発言に関しても米株 式市場の急落を受けて撤回している。米債券や米株式市場、米ドルが大きく下落する動 きが見られると、その発言や発表の修正を行うケースが続いていることは、トランプ大 統領による不確実性の高い発言後の動向を探るうえで参考の一つとなってきそうだ。 なお、23日の大幅下落も米トランプ大統領が145%に設定すると発表した中国か らの輸入関税を大幅に引き下げる可能性が示唆したことが背景になっている。こレに加 え、ベッセント米財務長官は米中報復関税競争は持続不可能、と発言したことで、米中 間の協議への期待が高まるところで今後も金市場の重石になってくると見られる。 ただ、二転三転するトランプ政権による政策や発言に対する不確実性が米国への信頼 性を後退させているうえ、米関税政策を巡る交渉のなかで他諸国による米国債売却の可 能性がくすぶるなか金市場には依然として安全資産を求める資金が流入してくることが 予想される。 MINKABU PRESS
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