プラチナ週間展望=堅調、米中貿易戦争の緩和期待で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [4月28日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  2 月限  4 月 21 日〜 4 月 25 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          15,340    15,811 (22)   15,040 (24)     15,328         -22
  銀           151.0     157.0 (24)    150.0 (21)      157.0        +4.0
 プラチナ       4,404     4,412 (21)    4,265 (23)      4,354         -56
 パラジウム     4,400     4,400 (21)    4,300 (23)      4,300        -100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        25  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6) 3,298.4     -30.0   | ドル・円    143.52      1.18 円安
  銀       ( 5) 3,301.0     +54.0   | 日経平均  35,705.74       +975.46
 プラチナ   ( 7)   972.9      -4.1   | NY原油 ( 6)  63.02         -0.99
 パラジウム ( 6)   936.70    -24.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 25日
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【前週のレビュー】
 プラチナは金堅調や米自動車関税の軽減検討が支援要因、とした。
 プラチナは米中貿易戦争の緩和期待やドル安見通しを受けて買い優勢となった。現物
相場は3日以来の高値980.95を付けた。プラチナ先限は14日以来の安値
4265円を付けたのち、押し目を買われた。一方、パラジウムの現物相場は
927.36ドルで押し目を買われた。
 トランプ米政権の高官は、米大統領が任期途中のパウエル連邦準備理事会(FRB)
議長の解任を検討していることを明らかにした。米大統領は、原油価格や食料品価格が
下がってきているとしてFRB議長に利下げを要求した。フランスのロンバール経済・
財務相は、米大統領がFRB議長を解任したら、ドルの信認が損なわれ、米経済が不安
定になると警告した。米大統領は22日、FRB議長を解任する意向はないと述べる一
方、FRBは金利を引き下げるべきだと改めて主張した。ニューヨーク連銀のウィリア
ムズ総裁は、「金融政策は適切な位置にある」としつつも、米政権の関税措置がインフ
レを加速させると同時に成長を鈍化させ、失業率を押し上げる公算が大きいため、近い
将来において「金利政策を変更する必要はない」という見解を示した。ウォラーFRB
理事は、米大統領が掲げる関税政策で米経済は大きな衝撃を受けるとし、景気後退(リ
セッション)を回避するために利下げを実施する可能性があるとの考えを示していた
が、大型関税の一部が夏まで延期された点に言及し、明確な見通しを得るには今年後半
までかかると述べた。国際通貨基金(IMF)は最新の「世界経済見通し」を公表し、
米関税の影響を理由に米国や中国など多くの国・地域の経済成長率予測を引き下げた。
貿易摩擦が悪化すればさらに低下すると警告した。世界経済の成長率予測について、
2025年を2.8%、2026年を3.0%とし、1月時点の3.3%からそれぞれ
0.5ポイント、0.3ポイント下方修正した。米大統領の発言でFRBの独立性が脅
かされるとの懸念が高まったが、景気後退の可能性が高まれば利下げが協議される可能
性も出てくる。
 ベッセント米財務長官は、中国との貿易を巡る交渉を進展させるには緊張緩和が必要
とし、米中が互いに表明している関税率を現在の過度に高い水準から引き下げる必要が
あるとの見解を示した。米中の合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まり問題を巡る協議
は難航していることが伝えられたが、中国外務省報道官は「中国と米国は関税について
協議や交渉を行っていない」とし、協議を巡る報道は「誤報」と表明した。トランプ米
大統領は、米中は会合を開いたとし、中国の主張に反論したが、詳細は明らかにしなか
った。中国政府は米国に対する125%の報復関税を巡り、米国からの一部輸入品を対
象から除外することを検討していると伝えられており、米国と各国の関税交渉の行方を
引き続き確認したい。加藤財務相は、ベッセント米財務長官との会談後に会見し、「為
替水準の目標や、それに対する、管理する枠組みとか、そういった話はまったくなかっ
た」と述べた。また日米貿易協定との整合性に対する懸念も伝え、関税措置の見直しを
強く申し入れたという。
【ロンドンのプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで19.24トン
(前週末19.21トン)に増加、24日のニューヨークで32.49トン(同
32.49トン)、23日の南アで10.73トン(同10.73トン)と変わらずと
なった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.22トン(同4.22ト
ン)、ニューヨークで11.03トン(同11.03トン)、南アで0.24トン(同
0.24トン)と変わらずとなった。米中貿易戦争の緩和期待を受けてロンドンのプラ
チナETF残高が増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告
によると、4月15日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は6034枚
買い越し(前週794枚売り越し)に転じ、パラジウムの売り越しは1万0008枚
(同1万0728枚)に縮小した。
【中国のファーウェイがAI向けGPUを発表】
 中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が人工知能(AI)向けのGPU
(画像処理半導体)910Cの量産出荷を5月にも始める予定だという。910Cは従
来品である910Bと比べて計算能力とメモリ容量を2倍に高め、中国での販売が禁止
されたエヌビディアのH100と同等の性能を有しているという。トランプ米政権は、
米半導体大手エヌビディアに対し、中国向けのAI半導体H20に輸出許可が必要だと
通知していた。ただ半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の半導
体が910Bに使用されていることが発覚しており、米商務省は910Cの製造企業を
調査している。ファーウェイは、新チップASCEND920を発表し、今年下半期か
ら量産するとした。AIチップを巡る米中の争いが続くことになりそうだ。米国の半導
体に対する関税の行方も確認したい。
当面の予定(イベント・経済統計)
28日 ●南ア(自由の日)
    香港貿易収支 2025年3月(香港統計局)
29日 ●昭和の日
    米卸売在庫 2025年3月速報値(商務省)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年2月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2025年4月(カンファレンスボード)
30日 鉱工業生産指数 2025年3月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2025年3月速報(経済産業省)
    金融政策決定会合(日本銀行、1日まで)
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年4月(中国物流購買連合会)
    中国非製造業購買担当者景況指数 2025年4月(中国物流購買連合会)
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年4月(財新)
    ユーロ圏域内総生産 2025年1-3月期速報(EUROSTAT)
    独消費者物価指数 2025年4月速報(連邦統計庁)
    全米雇用報告 2025年4月(ADP)
    米国内総生産 2025年1-3月期速報値(商務省)
    米雇用コスト指数 2025年1-3月期(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2025年4月(シカゴ購買部協会)
    米個人所得・支出 2025年3月(商務省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年3月(全米不動産協会)
 1日 ●中国、香港、欧州、南ア(メーデー)
    総裁記者会見(日本銀行)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2025年4月(ISM)
 2日 ●中国(労働節)
    労働力調査(失業率) 2025年3月(総務省)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年4月確報(Markit)
    ユーロ圏消費者物価指数 2025年4月速報(EUROSTAT)
    ユーロ圏雇用統計 2025年3月(EUROSTAT)
    米雇用統計 2025年4月(労働省)
    米耐久財受注 2025年3月確報値(商務省)
    米製造業新規受注 2025年3月(商務省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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