<金> NY金6月限は4月22日に3509.9ドルの一代の高値更新した。4月23日か ら30日にかけ3280ドル前後を支持線に下値堅く推移したが、5月1日に3280 ドルを割り込み、4月14日以来の安値となる3209.4ドルまで急落した。 米トランプ政権が自動車輸入関税の一部適用除外を検討する姿勢を見せたことで、関 税政策に対する強硬姿勢を和らぎ、米国と他諸国との貿易戦争に対する警戒感が後退し たことが急落の一因となった。ただ、2日の時間外取引でNY金は買い戻されており、 安全資産としての需要の底固さも示されている。 4月上旬にトランプ米大統領が関税政策を次々と発表したことで将来的な物価高に対 する警戒感を高め、駆け込み輸入の動きが広がり輸入額が輸出額を上回った結果、米国 の今年第1四半期(1月〜3月)の国内総生産(GDP) は3年ぶりのマイナス成長 となり、前期比で−0.3%の成長率を記録した。 また3月PCEコア価格指数は予想を大きく上回り根強いインフレの兆候を示した。 トランプ政権による関税引き上げが活発化したのが4月以降であるため、関税引き上げ による物価高の影響は4月以降の指標に本格的に表れると見られる。 これは米国のインフレ傾向の高まりとこれを受けた景気後退に対する警戒感を強めて る要因であり、金には引き続き安全資産を求める資金が集まりそうだ。 同時に米国のインフレ懸念やこれを受けた米景気不安は米連邦準備理事会(FRB) による利下げ期待を高めるものとなっている。 利下げが実施されれば、金利による差益が生じるドル離れの動きが促される可能性も あるため、これも金市場においては買いを支える要因となってきそうだ。 5月1日のNY金市場では、米トランプ政権の関税政策に対する強硬姿勢が緩和の動 きを見せるなかアジア市場の多くが休場を迎えるタイミングで手じまいと見られる売り が活発化したが、今後の米国内のインフレ観測やこれを受けた米景気不安は引き続き 逃避買い需要を刺激する要因になってくると見られるだけに、6月限は3200ドル台 前半を維持する底固い足取りが見込まれる。 <銀> NY銀7月限は金の頭重い足取りに連動安となっている。3200セントを割り込む と買い戻される動きも見られているが、米景気不安の根強さや関税引き上げの動きを受 けて企業が設備投資に慎重な姿勢を見せていることは工業用としての銀需要の重石にな ると見られる。 NY金の底固い足取りはNY銀市場でも買いを支援する要因ながら浮上に向かうほど の手掛かりには乏しいとっ見られ、3200セント台での高下が想定される。 <白金> NY白金7月限は980ドルを上値抵抗線にしての高下が続いている。米トランプ政 権が自動車輸入関税の一部適用除外の可能性を見せたことは強気材料ながら、米景気不 安は依然として上値を抑制する要因になっている。 一方で米利下げ期待は買いを支援する要因となっているだけに底意も強いと見られ、 960〜990ドルのレンジを中心にしての高下が続きそうだ。 <パラジウム> NYパラジウム6月限は4月下旬以降、960ドルを上値抵抗線にしての高下が続い ている。白金との連動性や金の値動き、ドルの高下が意識されながらも独自の手掛かり に乏しいだけに、もちあい継続の可能性が高い。 MINKABU PRESS
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