●論点解説金、EU関税先送りの調整売り=マーケットエッジ

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する50%の関税発動を7月9日まで延期
すると表明したことを受けて、週明けのリスクマーケットは総じて底固く推移した。米
市場はメモリアルデーで休場だが、GLOBEXでは17ドル程度下げている。23日
にEUに対する新たな関税措置を警戒して急伸したことに対する修正安になっている。
一方で、現状はあくまでも先送りであり、その間に米欧間で通商合意が成立するのかは
不透明感が強い。そして最も警戒されるのは、トランプ大統領がEU以外に対しても新
たな関税措置を脅しに使うことで、強引に通商合意を迫る展開になる。そうしたリスク
が払しょくできないことが、金相場に調整売りを誘いながらも、値崩れが回避される要
因になっている。
 EU絡みでは、欧州中央銀行(ECB)ラガルド総裁が、ユーロがドルの代替機能を
担うことに意欲を示している。流動性の向上、そして軍事力の強化で地政学リスクに対
する懸念を払しょくしていくことが重要としている。ドル回避の動きについては現状だ
と一部を金市場が吸収しているのみだが、ユーロにもドルの代替性が認められれば、こ
の面では金と競合することになる。しかし、ラガルド総裁もそのためには金融システム
に対する信頼性向上と同時に、軍事力増強を進めることが条件になるとしている。しか
し、金はそもそも信頼性の向上、地政学リスクへの懸念払しょくが求められない資産ク
ラスになっている。
(マーケットエッジ・小菅 努)

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