<金> NY金8月限は5月21日から28日にかけて3300ドルを支持線にしてのもちあ いが続いた。29日に3300ドルを割り込んだが、3269.1ドルまで値を落とし たところで買い戻され、3343.9ドルで引けた。 5月の米消費者信頼感指数が予想を上回る強気な内容となったことで、米経済に対す る過度な不安感は後退している。ただ、6月1日からの発動が表明されていた欧州連合 (EU)からの輸入品への関税引き上げも7月9日に延期されるなど、朝令暮改の状態 が続いており、トランプ政権による関税政策は依然として見通しに不透明感が強い。 また、現時点では大幅引き下げで合意されているとはいえ、中国からの輸入品に対す る関税は30%が維持されている。相互関税に関しても上乗せ分は暫定的に停止状態に ある。すべての国との間で協議および合意を形成するのが難しい状況が続いている。 現時点では、米国の物価に反映されている輸入価格の上昇は限られているものの、サ ービス手数料の引き下げにより輸入価格の上昇が相殺されていることもあって、物価の 上昇、または物価が上昇しない場合には賃金の伸び悩みが予想される。 公開された米公開市場委員会(FOMC)の議事録においても、米連邦準備理事会 (FRB)は今後の米スタグフレーション発生の可能性を指摘していることが明らかと なっており、米景気見通しについての不透明感および懸念は根強い。 米経済指標は4月の米中古住宅販売仮契約指数が前月から6.3%低下するなど、高 金利に加え米経済の先行き不透明感から大幅な落ち込みを見せるなど、弱気な内容が続 いている。 米国際貿易裁判所がトランプ関税を違法と判断したことは、米景気見通しにとっては 強気要因の一つになり得るものの、相互関税の撤廃に動くかどうか、見通しはつかな い。トランプ政権による一連の関税政策の発表とその後の調整や停止などの不確実性は 米国に対する信頼性の低下を促し、米国発の資産離れの動きが続いている。 NY金は再び一代の高値を更新するほどの勢いには乏しいとはいえ、根強い逃避買い 需要に支えられることが予想され、8月限は引き続き3300ドル台での高下が想定さ れる。 <銀> NY銀7月限は5月21日以降、3300セントを下値支持線にしてのもちあいが続 いている。金の底固い足取りに下支えられているものの、米景気に対する不安感は工業 用としての銀の需要見通し不透明感を強める要因だけに、NY銀がさらに上を目指すに は手掛かりが乏しい。引き続き同値圏での推移が見込まれる。 <白金> NY白金7月限は20日から上放れとなり、23日に1104.8ドルと1100台 台まで値を伸ばした。その後は伸び悩みから1050ドルを下値支持線とするもちあい に転じている。 NY金の上昇に追随高となったものの、独自の要因に欠けることから勢いに欠ける状 況が続いている。安全資産としての需要がNY金の下支え要因になると見られるだけに 金に連動する展開ながら、金の深押しがなければ、高値圏でのもみあいになると予想。 <パラジウム> NYパラジウム9月限は5月22日以降は軟調な足取りが続き19日から21日にか けての上げ幅を相殺した。他貴金属との連動性に乏しく薄商いのなか独自の展開が続い ているが、チャート面で下げ一巡感が強まっているだけに、もちあいへシフトすること になるか。 MINKABU PRESS
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