プラチナ週間展望=堅調、ドル安や米中の貿易交渉に対する期待感で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [6月9日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  4 月限  6 月 2 日〜 6 月 6 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          15,361    15,755 ( 6)   15,264 ( 2)     15,680         +330
  銀           157.0     167.9 ( 6)    157.0 ( 2)      167.9        +10.9
 プラチナ       4,747     5,120 ( 6)    4,601 ( 3)      5,115         +370
 パラジウム     4,700     4,700 ( 2)    4,600 ( 3)      4,600         -100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         5  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 8) 3,375.1     +59.7   | ドル・円    144.07      0.27 円安
  銀       ( 7) 3,580.5    +277.6   | 日経平均  37,741.61       -223.49
 プラチナ   ( 7) 1,136.5     +81.6   | NY原油 ( 7)  63.37         +2.58
 パラジウム ( 9) 1,010.40    +41.80  |* ドル・円は15時45分現在、原油は  5日
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【前週のレビュー】
 プラチナは高値での買いが一服し、もみ合いとした。
 プラチナはドル安や金堅調、米中の貿易交渉に対する期待感を受けて買い優勢となっ
た。現物相場は2022年3月以来の高値1170.58ドルを付けた。プラチナ先限
は2024年10月以来の高値5120円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は5
月22日以来の高値1022.88ドルを付けた。
 トランプ米大統領は、輸入鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を2倍の50%に引き
上げる計画を表明した。3日に大統領令に署名し、4日に発動した。ただ英国は適用対
象外となった。カナダ首相府は、米政権が新たに発表した鉄鋼とアルミニウムへの追加
関税や他の輸入関税の適用除外を得るため「集中的かつ活発な」交渉を行っていると表
明した。貿易摩擦に対する懸念が残るが、市場ではTACOトレードが意識されるな
か、楽観的な見方もある。一方、米大統領と中国の習近平国家主席は電話会談を行い、
両国間で高まる貿易摩擦やレアアース(希土類)を巡り議論した。ただ、主要課題は今
後の協議に委ねられる形となった。ベセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア米
通商代表部(USTR)代表が率いる代表団が中国側と「近く」会談する予定だと述べ
た。
 4月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.1%上昇した。伸びは前月の
2.3%から鈍化した。米国の関税措置を巡る状況が常に変化し、経済的な不確実性が
高まるなか、家計が消費よりも貯蓄に資金を振り向けていることが背景にあるとみられ
る。5月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値は52.2となり、速報値の50.8
から上方修正された。1年先のインフレ期待は6.6%と速報値の7.3%から下方修
正された。5月の米ISM製造業景況指数は6カ月ぶりの低水準となる48.5に低下
した。低下は3カ月連続。関税の影響でサプライヤーの納入に時間がかかっており、一
部商品の供給不足が迫っている可能性を示唆している。事前予想は49.3。5月の全
米雇用報告によると、民間雇用者数は3万7000人増となり予想を大きく下回り、増
加幅は2023年3月以来、2年超ぶりの低水準となった。事前予想は11万人増。5
月の米ISM非製造業総合指数は49.9と4月の51.6から低下、2024年6月
以来の低水準となった。事前予想は52.0。
【欧米のプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、4日のロンドンで19.21トン(前
週末19.06トン)、5日のニューヨークで34.59トン(同33.61トン)に
増加、4日の南アで11.00トン(同11.00トン)と変わらずとなった。またパ
ラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.22トン(同4.23トン)に減少、ニ
ューヨークで12.37トン(同12.37トン)、南アで0.27トン(同0.27
トン)と変わらずとなった。ドル安や金堅調を受けて欧米のプラチナETF残高が増加
した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月27日
時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5343枚(前週1万
7396枚)に拡大、パラジウムの売り越しは7526枚(同8352枚)に縮小し
た。
【ECB利下げで金融緩和サイクルは一時停止の見方】
 欧州中央銀行(ECB)は、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げ、預金金利
を2.00%とした。インフレ率がようやく目標の2%に戻ったことを受け、1年にわ
たる金融緩和サイクルを一時停止する可能性を示唆した。ラガルドECB総裁は記者会
見で「0.25%ポイントの利下げと現在の金利経路を踏まえると、われわれは良好な
状況にあると確信している」と述べた。さらに、「新型コロナウイルスやウクライナ戦
争、エネルギー危機など複合的なショックに対応した金融政策サイクルは終わりに近づ
いていると思う」と述べた。
当面の予定(イベント・経済統計)
 9日 ●オーストラリア(女王誕生日)、スイス(聖霊降臨祭月曜日)
    国内総生産 2025年1-3月期2次速報(内閣府)
    国際収支(経常収支) 2025年4月(財務省)
    中国消費者物価指数 2025年5月(国家統計局)
    中国生産者物価指数 2025年5月(国家統計局)
    中国貿易収支 2025年5月(税関総署)
    米卸売在庫 2025年4月確報値(商務省)
10日 英雇用統計 2025年5月(国立統計局)
11日 企業物価指数 2025年5月(日本銀行)
    米消費者物価指数 2025年5月(労働省)
    米財政収支 2025年5月(財務省)
12日 英貿易収支 2025年4月(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2025年4月(国立統計局)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米生産者物価指数 2025年5月(労働省)
13日 独消費者物価指数 2025年5月確報(連邦統計庁)
    ユーロ圏鉱工業生産 2025年4月(EUROSTAT)
    ユーロ圏貿易収支 2025年4月(EUROSTAT)
    米消費者信頼感指数 2025年6月速報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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