【前週のレビュー】ニューヨーク原油7月限は引き続き60〜65ドルのエリアでのも み合いとなっているが、このところはその上限を試す展開になりつつある。まだ5月 21日の高値である64.19ドルを上抜けるには至っていないが、目先はこれを上抜 けるのか否かが注目されるとした。 【NY原油は急騰、一時77ドル台】 ニューヨーク原油7月限は5月中旬以降のもみ合いレンジの上限だった64.19ド ルを上抜けると上げ足を加速する展開となり、とくに直近は後述するイスラエル軍によ るイランの核施設攻撃により急騰しており、本稿執筆時点の13日の午後現在、ここま での高値は77.62ドル。その後は74ドル半ばまで急落しており、激しい値動きと なっている。イランが報復を示唆する発言も聞かれ、目先はこの両国間の軍事衝突懸念 を中心に乱高下する可能性が高まっている。さらに突発高もあり得るし、逆に打ち上げ 花火に終わる可能性もあり得る。 チャートを見ると、7月限は昨年7月に付けた一代高値76.83ドルをすでに超え ており、青天井化しているが、7月限は20日に納会を迎えるため、上昇場面では利食 い売りも出やすくなるだろう。 材料的には、前述のイスラエルとイランの軍事衝突の行方が目先は最大の焦点となろ う。基本的にはイラン産原油の供給にどの程度障害が出ることが注目されるが、地政学 的リスクは投機的に買われやすくなるため、テクニカル要因も加わって、オーバーシュ ート(行き過ぎ)は避けらないため、場合によっては80ドル台乗せの可能性も十分に あるだろう。とくに世界の原油供給の約30%が通過するホルムズ海峡が封鎖された場 合は100ドル台乗せもあり得る。なお日本の輸入の約8〜9割を占める中東産原油は 100%このホルムズ海峡を通過する。 イランと米国が核開発協議を続けるなか、業を煮やしたイスラエルが先制攻撃を行っ た形となっているが、イスラエルののネタニヤフ首相はさらに攻撃を継続する旨の発言 を行っており、国民に対してもイランの報復攻撃に備えて長期間シェルターで過ごす必 要があるかもしれないと警告している。今のところ米国は関与を否定しているが、イラ ンとイスラエルの軍事衝突が激化することは必至の状況となってきた。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万2000ドル台後半で高止まり の様相だったが、イスラエルのイラン攻撃の報道で4万2000ドル台前半まで下落し ている。 ドルインデックスはイスラエルのイラン攻撃の報道で97ポイント台まで崩れたが、 その後は98ポイント台前半まで戻している。 【イラン核開発疑惑を巡り非難決議=IAEA】 国際原子力機関(IAEA)の理事会は12日、イランが未申告の核開発疑惑をめぐ り、核監視業務への協力を怠ったとして非難決議を採択した。米国、英国、フランス、 ドイツが提案したこの決議は、理事会の35カ国のうち19カ国が賛成票。棄権は11 カ国。反対はロシア、中国、ブルキナファソの3カ国だった。 またIAEAは直近の発表でイラン当局からの情報として、イスラエル軍による攻撃 の対象となったナタンツ核施設で放射線レベルの上昇はないとしている。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である11月限は12日の引けにボリンジャーバンドの2シグマ (直近は5万9650円辺り)を引けで突破して、13日は急騰で一時6万3200円 の高値。引けでも6万2000円台を維持して、完全にランナウェイ相場となって来 た。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油7月限はチャートは12日時点のもの。6日にボリンジャーバンド の2シグマ(直近は67.15ドル辺り)を上抜けて以降、その2シグマに沿った上昇 相場となったが、13日のアジアの時間帯の急騰で一時77ドル台に乗せた。 ブレント原油8月限もほぼ同様の値動き。直近はボリンジャーバンドの2シグマ (直近は68.73ドル辺り)に沿った上昇となり、70ドル水準でいったん上値づか えとなっていたものの、13日のアジアの時間帯の急騰で一時78ドル台に乗せた。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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