<金> NY金8月限は5月21日以降、概ね3310〜3420ドルのレンジ内での高下が 続いている。 米中通商協議が6月9日から11日にかけて開催され枠組みの合意に至ったことで米 中貿易摩擦に対する過度の警戒感は和らいでいる。100%を超える関税からは引き下 げられているとはいえ、中国からの輸入品に対する関税はトランプ政権以前よりは引き 上げられた状態が続くと見られる。 米経済指標からは、不確実性の高いトランプ政権による関税政策を受けて、企業が長 期的な計画をたて難くなっている様子が明らかになっている。 また、5月の米消費者物価指数(CPI)総合の前年同月比は+2.4%と、変動が 激しい食料とエネルギーを除いたコアCPIの前年同月比は+2.8%と共に事前予想 を下回っているものの、これも関税引き上げを前にした在庫確保の動きや手数料引き下 げによる輸入価格の相殺によってもたらされた可能性が高い。 今後は駆け込み輸入によって蓄えられた在庫の消化が進むなか、輸入価格の上昇も小 売価格に転嫁されると予想されるうえ、鉄鋼・アルミの輸入関税が50% に引き上げ られた影響や25%の自動車、関連部品輸入関税賦課が小売価格に反映されると予想さ れ、米経済不安感が強まると見られる。 また、イスラエルによるイラン攻撃が伝えられており、中東情勢に対する不安感も強 まると見られる。 米経済不安、中東情勢不安が安全資産を求める動きを刺激する。13日のアジア時間 で大幅高で推移し、一時3460ドル台まで上伸し、最近のレンジを上放れた。ドル安 が一段と進めば3500ドル台を目指す動きか。5月7日の高値3477.3ドルを上 抜くことができるかに注目。 <銀> NY銀7月限は6月9日に3703セントに達した後に値位置を落としたが3600 セントが下値支持線となっており底堅さを窺わせている。 米中通商協議に対する期待感やドル売りの動きが価格上昇の背景となっているが、安 全資産としての需要を受けて高止まりする金に対して上値を抑制される動きが続いてい た反動からの上伸と見られる。 引き続きNY金が高値圏で高下すると予想されるだけに、これに追随し3600セン トを下値支持線にしての高下が想定される。 <白金> NY白金7月限は続伸となり12日は1293ドルまで浮上。ディーゼル車の触媒用 としての需要増による供給不足が指摘されるとともに、安全資産としての金への意識が 高まった。NY白金の上値が抑制される場面が続いていたが、NY金市場が堅調に推移 するなか、白金の供給不足を強材料に買い増す姿勢が感じられる。 NY白金の中心限月が1200ドル台後半まで値を伸ばすのは昨年10月以来とな り、1300ドルに迫るのは2021年以来の動きとなる。 NY金の高止まり観測は買い支援要因。株安からいったん利食い売りの動きが強ま り、修正安となった場合、金が堅調に推移なら1250ドルが支持線になると予想。 る。 <パラジウム> NYパラジウム9月限はNY白金の急伸に追随高となり1100ドル台まで値を伸ば したものの、騰勢を維持できずに軟化。 独自の手掛かりに欠けるため勢いには乏しいながら、NY白金の堅調が下支え要因と なるなか1050ドルを下値支持線にしての高下が続きそうだ。 MINKABU PRESS
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