石油週間見通し=イラン懸念で戻り基調もOPEC+会合、トランプ関税注意

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油は凄まじい乱高下。8月限は米国のイラン核施設
攻撃で78.40ドルまで急騰したが、翌日には64.00ドルまで暴落。その後はひ
とまず下げ渋り模様となっている。チャート上は、一代安値54.13ドルから一代高
値78.40ドルまでの上げ幅の半値押し(66.27ドル辺り)をすでに達成してお
り、61.8%押し(63.40ドル辺り)で下げ止まるの否かが目先の焦点となると
した。

【NY原油は水準固めから戻り基調】
 ニューヨーク原油8月限は前述の61.8%押しまで下落せず、暴落後の水準固めか
ら戻り基調に転じてきた。直近の高値は2日と3日に付けた67.58ドルと、前述の
半値押し水準を上回った。また78.40ドルから64.0ドルまでの下げ幅の
23.6%戻し(67.40ドル辺り)を達成しており、目先は38.2%戻し
(69.50ドル辺り)、70ドルの節目、61.8%戻し(71.20ドル辺り)が
次の上値目標となる。なお11日が満月となるため、その前後で戻り高値を付ける可能
性も考えておきたい。

 材料的には、イランの核開発を巡る懸念が燻っている。米国の攻撃以降、事前のイラ
ンの濃縮ウラン搬出疑惑も出るなか、イランが国際原子力機関(IAEA)の核査察を
拒否する姿勢を見せている。欧米諸国やIAEAのイスラエルの核保有を黙認する一
方、イランの核保有は許さないというダブルスタンダードは相変わらずだが、米国防総
省は今回の米国の攻撃でイランの核開発計画が最大で2年遅延したとの見解を示してい
る。一方、米国防情報局(DIA)は数カ月の遅延にとどまるとしており見方が分かれ
ている。そのようななか、米国のウィットコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相が
米独立記念日明けの7月第2週にノルウェーのオスロで核開発問題を巡る協議を行う計
画であることが報じられている。実施の有無を含めて目先注目したい。
 両国は4月以降、すでにイランの核開発を巡る協議を5回も実施している。

 産油国側のニュースとしては、6日にオンラインで実施される予定の石油輸出国機構
(OPEC)プラスの会合も注目される。すでに市場のコンセンサスとして、8月も日
量41万1000バレルの増産で合意することが確実視されており、発表がどの程度弱
気のインパクトとなるのか分からないが、それは市場の反応を注視するしかない。
 なお、OPECプラス5月、6月、7月と日量41万1000バレルずつの増産を決
定しており、今回実際に決定すれば、4カ月連続の増産となる。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は再び騰勢を強めて4万4000ドル
台後半まで上昇し直近の戻り高値を更新してきた。
 ドルインデックスは再び底割れして96ポイント台で推移している。

【トランプ関税問題の再燃にも注意】
 原油の独自要因以外としては、相互関税の上乗せ分の停止が9日に猶予期限を迎える
が、トランプ政権が4日から各国に対して関税率を通知することを明らかにした。再び
関税問題に焦点が集まり、米株や為替などの他市場でリスクオフの動きが強まれば、原
油もその影響を避けられないだろう。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である12月限は暴落後、21日移動平均線でもあるボリンジャー
バンドの中心線(5万9280円辺り)が上値抵抗となり、−1シグマ(5万6520
円辺り)の間でもみ合いが続いている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油8月限は暴落後、65ドルの節目を挟んだもみ合いが続いたが、こ
のところは戻り高値を更新して、ボリンジャーバンドの中心線(66.92ドル辺り)
を上回って来た。

 ブレント原油9月限はほぼ同様に暴落後、66ドル台を中心としたもみ合いが続いた
が、直近は戻してボリンジャーバンドの中心線(69.33ドル辺り)を試している。


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