石油週間展望=イラン懸念で戻り基調もOPEC+会合、トランプ関税に注意

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
           [7月7日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     6 月 30 日〜 7 月 4 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   78,000    78,000(30)    78,000(30)   78,000         ±0
灯  油  先限   81,000    81,000(30)    81,000(30)   81,000         ±0
原  油 12月限  57,110    58,790( 4)    56,660( 2)   58,140        +350
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                                        6 月 30 日〜 7 月 3 日
<海外原油> 週間4本値 始 値  高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油  8 月限     65.15    67.58( 2)   64.50(30)  67.00     +1.48
ブレント原油  9 月限     66.48    69.21( 2)   65.92(30)  68.80      +2.00
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4日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 144.22 前週末比 0.02円の円高
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油は凄まじい乱高下。8月限は米国のイラン核施設
攻撃で78.40ドルまで急騰したが、翌日には64.00ドルまで暴落。その後はひ
とまず下げ渋り模様となっている。チャート上は、一代安値54.13ドルから一代高
値78.40ドルまでの上げ幅の半値押し(66.27ドル辺り)をすでに達成してお
り、61.8%押し(63.40ドル辺り)で下げ止まるの否かが目先の焦点となると
した。

【NY原油は水準固めから戻り基調】
 ニューヨーク原油8月限は前述の61.8%押しまで下落せず、暴落後の水準固めか
ら戻り基調に転じてきた。直近の高値は2日と3日に付けた67.58ドルと、前述の
半値押し水準を上回った。また78.40ドルから64.0ドルまでの下げ幅の
23.6%戻し(67.40ドル辺り)を達成しており、目先は38.2%戻し
(69.50ドル辺り)、70ドルの節目、61.8%戻し(71.20ドル辺り)が
次の上値目標となる。なお11日が満月となるため、その前後で戻り高値を付ける可能
性も考えておきたい。

 材料的には、イランの核開発を巡る懸念が燻っている。米国の攻撃以降、事前のイラ
ンの濃縮ウラン搬出疑惑も出るなか、イランが国際原子力機関(IAEA)の核査察を
拒否する姿勢を見せている。欧米諸国やIAEAのイスラエルの核保有を黙認する一
方、イランの核保有は許さないというダブルスタンダードは相変わらずだが、米国防総
省は今回の米国の攻撃でイランの核開発計画が最大で2年遅延したとの見解を示してい
る。一方、米国防情報局(DIA)は数カ月の遅延にとどまるとしており見方が分かれ
ている。そのようななか、米国のウィットコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相が
米独立記念日明けの7月第2週にノルウェーのオスロで核開発問題を巡る協議を行う計
画であることが報じられている。実施の有無を含めて目先注目したい。
 両国は4月以降、すでにイランの核開発を巡る協議を5回も実施している。

 産油国側のニュースとしては、6日にオンラインで実施される予定の石油輸出国機構
(OPEC)プラスの会合も注目される。すでに市場のコンセンサスとして、8月も日
量41万1000バレルの増産で合意することが確実視されており、発表がどの程度弱
気のインパクトとなるのか分からないが、それは市場の反応を注視するしかない。
 なお、OPECプラス5月、6月、7月と日量41万1000バレルずつの増産を決
定しており、今回実際に決定すれば、4カ月連続の増産となる。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は再び騰勢を強めて4万4000ドル
台後半まで上昇し直近の戻り高値を更新してきた。
 ドルインデックスは再び底割れして96ポイント台で推移している。

【トランプ関税問題の再燃にも注意】
 原油の独自要因以外としては、相互関税の上乗せ分の停止が9日に猶予期限を迎える
が、トランプ政権が4日から各国に対して関税率を通知することを明らかにした。再び
関税問題に焦点が集まり、米株や為替などの他市場でリスクオフの動きが強まれば、原
油もその影響を避けられないだろう。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である12月限は暴落後、21日移動平均線でもあるボリンジャー
バンドの中心線(5万9280円辺り)が上値抵抗となり、−1シグマ(5万6520
円辺り)の間でもみ合いが続いている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油8月限は暴落後、65ドルの節目を挟んだもみ合いが続いたが、こ
のところは戻り高値を更新して、ボリンジャーバンドの中心線(66.92ドル辺り)
を上回って来た。

 ブレント原油9月限はほぼ同様に暴落後、66ドル台を中心としたもみ合いが続いた
が、直近は戻してボリンジャーバンドの中心線(69.33ドル辺り)を試している。

<当面の予定>
 7日【経済】景気動向指数 2025年5月速報(内閣府)
   【経済】ユーロ圏小売売上高 2025年5月(EUROSTAT)
   【経済】独鉱工業生産指数 2025年5月(経済技術省)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)

 8日【経済】国際収支(経常収支) 2025年5月(財務省)
   【経済】景気ウォッチャー調査 2025年6月(内閣府)
   【経済】独貿易収支 2025年5月(連邦統計庁)
   【経済】仏国際収支 2025年5月(フランス銀行)
   【経済】仏貿易収支 2025年5月(INSEE)
   【経済】米消費者信用残高 2025年5月(FRB)
   【工業】米週間石油統計(API)
   【工業】米短期エネルギー見通し・月報(EIA)

 9日【経済】マネーストック 2025年6月(日本銀行)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】中国消費者物価指数 2025年6月(国家統計局)
   【経済】中国生産者物価指数 2025年6月(国家統計局)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米卸売在庫 2025年5月確報値(商務省)
   【経済】米FOMC議事録公表 6月17-18日(FRB)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

10日【経済】企業物価指数 2025年6月(日本銀行)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)

11日【経済】独消費者物価指数 2025年6月確報(連邦統計庁)
   【経済】仏消費者物価指数 2025年6月確報(INSEE)
   【経済】英貿易収支 2025年5月(国立統計局)
   【経済】英鉱工業生産指数 2025年5月(国立統計局)
   【経済】英製造業生産指数 2025年5月(国立統計局)
   【経済】米財政収支 2025年6月(財務省)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)
   【工業】国際エネルギー機関(IEA)月報

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